11月12日のフランクフルトでの壮行演奏会の席を押さえた。今回は定期公演が入っていたので、好みの席がなければ最安席で誤魔化しておいて、流れてくる最上席を拾おうと考えた。少しでも出金は後にしたい。しかし、一枚だけ残っていたので狙った。もの要りだけど仕方がない。 米国第二次ツアー前の壮行演奏会で夏のツアーの表プログラムのブルックナー五番を再演して、重要なツアーに備える。米国ツアーでは裏プログラムになるのだが、独墺管弦楽団としてブルックナーを米国で再認識させることになる。 夏のツアーの演奏会にも出かけるのだが、目的を徹底させることになるので、資本も上手に分散投資可能となる。 また8月31日状態で泣きそうになる。週末の「エレクトラ」が全くお勉強できていない。幸い一昨年にザルツブルクで観ているので、規模も複雑さも見当はついているのだが殆ど楽譜は目に浮かばず、最初の動機から追っていくしかない状態である。その次のヴァ―クナーガラも簡単に目を通しておけば足りるか。日曜日を空けてあるので、そこではシベリウスにも目を通しておかないと駄目だ。 土曜日にあまり肯定的な意味のなかった三つ目の音楽会に座りながら、時間を作ってワインを取りに行けたことを喜んでいた。なによりも今時半ダース購入して60ユーロしないピノノワールなんて、高品質のものにはありえない。 どのようにこれだけ価格が抑えられているのかはよく分からないのだが、葡萄を石灰のヌルヌルした土壌から上手に収穫して、安い培養酵母を上手にさっと仕上げているのだろう。滓とかの処理も工夫しているのだろうが、白ワインとは違って、そこを推測するだけの知識がない。しかしこれだけ安く、なるほど現行のベーシックが2022年物で12.5%のアルコールしかないということでも、長く寝かしている傾向があるのだろうが、驚きである。 フランスのスーパーでは10ユーロ以下の真面なピノノワールなんてない。そしてこのゼーガーの葡萄はドイツのシュペートブルグンダーではなくてフランスのクローンであると聞いている。要するにこれだけ本格的なピノノワールはドイツでここでしか知らない。 なるほどドイツでも最高価格帯のシュペートブルグンダーとフランスの同価格帯を比較すると中々コストパフォーマンスでは越えるのは難しいのだが、それでも二十年に一度ほどの良年には特別な赤ワインとなる。 上の価格で分かるようにグランクリュならともかく態々ベーシックなグートヴァインを送ってもらう訳にはいかないので、機会があれば取りに行きたいと思っていたのである。そしてコロナを越えては初めて購入できた。 そして簡単にスクリューキャップを開けて牛肉に合わせると、幾らでも進む。それは辛口で若干のタンニンの渋さがあるのでねとつかないのである。その意味ではブルゴーニュよりも男っぽい。しかし、僅かなざらつきもあり乍ら旨味もあるのだ。少なくとも年度としてはとても良い。但しアルコール度が示すように偉大な年度ではないだろう。 参照: '15年シュペートブルグンダ 2017-11-20 | 試飲百景 歴史的な瞬間にいること 2022-11-08 | 音 #
by pfaelzerwein
| 2024-03-18 21:57
| ワイン
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ブラームスはお嫌い?婆さんが、ゲルハーハーの歌曲の夕べの中休みにお友達らに素晴らしいでしょうと尋ねられて「ブラームスだから、昨晩も来たけど、よくない。」と答えていて、「今回のテーマでしょうが、」と言われても、「それは仕方ない。」ということだった。 まさしく先日言及したブラームスへの従来の印象を強化する。婆さん自体は顔を見たことがあるような常連さんには間違いないので、音楽愛好家には違いない。だからこそメランコリックなブラームス像から逃げられないのだと思った。 ブラームスの新古典的なその作風を理解するにはシェーンベルクを理解するのと同じぐらいにその書法をみれない事にはその面白さが分かりにくい。表面上は今でも男泣きの作曲家でとなると、少し趣味が洗練されている人には毛嫌いされるかもしれない。 その為、その後の世代であったレーガーのモーツァルト愛などが決して容易に理解されないということにも通じている。 その意味とは別に当日最後のコンセルトヘボ管弦楽団員のアンサムブルでの二曲を聴いて、なるほどその前夜の演奏でも同じ様なものだったから面白くなかったのはよく分かった。 抑々セレナーデ自体は交響曲に準じるもので指揮者の下での演奏の方がコンセプトが明白になる。逆に演奏自体は指揮者無しでも合わせることは可能なのだろうが、いちいち音楽的に調整していては埒が明かない。今回の演奏でも音楽的には後ろに座っているクラリネットのオッサンが引っ張っていた。しかし、それが明白な音楽を作るだけのものではない。 前半の弦楽六重奏になると今度は映像で持っているように四重奏に二人のゲストを加えるだけならば四重奏団と一人二人が合わせればことは済む。それ程弦楽四重奏団は一挙手一投足を平素から合わせているので音楽的にも技術的にも精査されている。そしてこの曲こそがシェ-ンベルクの「浄夜」の六重奏に繋がっている。 そのようなものにたとえ同じような面子が揃っていたとしても大管弦楽団の合奏技術程度では到底室内楽にもならない。それはたとえ現在のベルリナーフィルハーモニカーが試みても変わりないのだが、そもそも平素からの合わせ方が異なり、意識が全く違う。正直あの程度の意識で営業しようとしているのが恥さらしである。それも本体の大管弦楽の方の売りの弦楽合奏からして程度が落ちていて、その首席級が集まっているとしても程度が低いことを確認した。この名門楽団は最早可也ランク落ちしている。潰れるかもしれないと思っている。 それは管を加えた時にも肝心のハーモニーが音程が悪いので浮き上がらない。バランスを辛うじてとっているにしか過ぎない演奏なのである。そのようなことで営業をしてしまうというのが可也横着で、音楽家としても程度が悪い連中が集まっているとしか思えなかった。ブラームス云々をいう以前のお話しなのである。 これならば昨年演奏したブレーメンの室内楽団やそれどころか欧州室内合奏団でも比較に為らない位見事に演奏するだろう。しかしやはりセレナードには模範となったモーツァルトの「グランパルティータ」以上に指揮者は必要であろう。 参照: ブラームスのセレナーデ 2024-03-15 | 音 しっとりとした旧市街風景 2024-03-17 | アウトドーア・環境 #
by pfaelzerwein
| 2024-03-18 05:36
| 音
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土曜午後はハイデルベルク行だった。復路は50分も掛かっていないのだが、道路事情から若干遠のいている。マンハイムへの橋が補修中であることが一番のネックであるが、南回りのスパイヤー経由のアウトバーンも工事していたようだ。特に往路は買い物客もあってマンハイムを抜けるのに判断を誤ると渋滞に巻き込まれる。幸い勘が働いて、問題なく抜けれた。 そうなると早めの12時30分に出たので、ハイデルベルク旧市街到着が13時8分と出た。それならば南に数キロ離れたライメンの醸造所に行ける可能性が出てきた。講演会が始まるのが14時で五分前に来ないと席がないと書かれていたのだ。 アウトバーンから醸造所へは少し迷ったのだが、迷った経験を活かして18分ごろに入れて、22分には清算していた。地道で10分ぐらいいけるが15分見ていた。ナヴィを利かしても結局工事閉鎖で迷って、幸い土地勘で、13時45分に車庫入れした。なんとか間に合ったという感じだった。 駐車場は敢えて、一番近い図書館を外して、主催者が最初にあげた劇場のそれにした。理由は一ユーロでも安いことがあるが、やはり夜間料金などでお得になるのだろう。今後のことも考えて初めて使ってみた。道を横切っての入車は記憶がなかったので初めてだと思う。 因みにリーダーアーベントが終ってからは一時間半ほど時間があったので、劇場の前も通てみた。以前出かけた寂聴と三木稔が来ての初演の時は借りの場所であったので入った覚えがない。こここそがシュトッツガルトの音楽監督マイスターが最初に音楽監督をした劇場であり、またライプチッヒのカペルマイスターに出世して仕舞ったネルソンスやミルガやマルヴィッツが修行した劇場である。 講演会の内容は改めて纏めるとして、終って一時間程時間があった。先ずは手洗いに行って、コーヒーを飲んで、2ユーロでプログラムを購入して、ただの舐めラムネを食べた。プログラムにテキストが記載されていたので初めて目を通した。それでも前半分で、後半分は休憩時間に置いておいた。 ゲルハーハーのリーダーアーベントは予想以上に充実していた。これも見直していかないといけないが、会場は昨年の演奏会時には上階であったが、平土間も決して悪くはなかった。大学の現役の大講堂でこれだけの音響の会場はどれほどあるのだろう。広さが異なるので簡単には比較できないのだが、旧講堂とこちらの両方を使うとソロから室内交響楽団迄は全く問題がない演奏会が可能となっている。 ハウプトシュトラーゼで少し座ってから、テオドールブリュッケの写真を撮ったり、大学の食堂を覗いたりして、劇場の前を通って、講堂の裏口から入ると結構適当な時刻となっていた。お昼は少しパラついたのだが、その後は正常化して、穏やかながらもネッカーの少し湿り気があるような街の空気は冷たい感じになっていた。やっぱりケムブリッジなどにも似ていなくはない。 参照: 小恥ずかしい音楽劇仕分け法 2010-06-06 | 音 お家芸の指揮棒飛ばし 2023-03-26 | 音 #
by pfaelzerwein
| 2024-03-17 20:48
| アウトドーア・環境
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保守的なオーストリアの形式である。ザルツブルク音楽祭の芸術監督がまだ辞任するとは表明していないのだが、形式的に次期の監督への応募を募っている。指揮者のメストなどと並んで、シュトッツガルトのショーナーやスカラ座を辞めるメイヤーとミュンヘンのドルニーも応募した様である。 ショーナーも受けるとは思われないが、ドルニー体制の任期が2026年までになっていて、まだ延長されていないことからの圧力ともされる。たとえ師匠のモルティエが成功していたとしてもこうした革新的な人たちがそこでやれることは限られている。 それでも2025年以降契約延長されていないカタリーナ・ヴァ―クナーも既にそれ以降の計画の必要があってなされていることから後手に回っている。背景はよく分からないながらも、バイロイト、春夏のザルツブルク、そしてミュンヘンやスカラ座などは関連して着ていることは明らかで、バッハラーだけでなく、そこのドルニーやショーナーなの名前が挙がってくることはとても喜ばしい。一番期待したいのはバイロイトである。 さて、バーデンバーデンでの舞台稽古が始まった。一週間前の開幕を前に既に最初の稽古は終えていて、みっちりとした集中的な練習が繰り広げられているのだろう。昨年の「影のない女」に比較すれば容易く仕上げられる反面、演奏時間も短く飛び切りと決定的な演奏となる筈だ。 歌手陣に心配はいらないが、演出が上手く行くのかどうか。稽古写真を見ると独伝統的楽器配置を採用していて、ペトレンコ指揮のオペラでも「マイスタージンガー」に続くとても異例の配置である。それゆえに一番端にコンツェルトマイスターリンのサライカが座っているのだが、実際は内側のダイシンがリードするのかどうか分からない。もし彼女が受け持つとすればとてもしなやかな演奏となることだろう。 女性が主役の出しものの方が多いので、もっと多くの楽劇が女性のリードでなされた方が良い。同時にそこで期待したいのは、ブラームㇲを日本での公演とは違ってダイシンが受け持つとなればより硬質の交響曲四番となる筈である。 兎も角あと一週間で、その前の総稽古から録音されてカメラが回されるだろう。そして三回の公演から編集して、四月にラディオ全国放送される。映像は昨年同様に夏以降にTVで放映される。それ以外にブラームスの公演の録音が為されると良いと思うがさてどうなるか。そしてDCHでは日本で放映された11月の公演がハイレゾでアーカイヴされた。券を購入して公演前にもう一度しっかり観ておかなければいけない。 肉屋ではこの季節に合わせて、ヴィーガンのモッツァレッラの玉のペスト和えを売っていた。チーズも買いそこなっていたので、価格も4ユーロもせずに結構入っていたので購入した。ペストの臭みや後味はあるのだが、滋養強壮で良さそうで愉しめる。 食事やアルコールを節制していてもそれほど痩せる気配はない。やはり暖かくなると服装だけでなくて、消費するカロリーが可也減少するのだと思う。もう一息である。来週散髪をするのかどうか、考えどころだ。摂氏17度近くになると行かざるを得ないだろう。予約がとれるか。 参照: 総合評価8.6以上の価値 2024-02-22 | 文化一般 ヴィーンでの家庭騒乱 2024-02-20 | 音 #
by pfaelzerwein
| 2024-03-16 06:34
| 暦
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ブラームスのセレナーデ二番イ長調、子供の時から交響曲的な作品だという認識はあった。今回初めて詳しく見て行くと、思っていたよりも面白い。なによりも最近の演奏では、例えばコロナ期間中に無観客で放送されたBR交響楽団をサイモン・ラトルが振ったものでもその音楽の構造がよく見える。二管づつの管楽器にバスの弦楽が支える形になっているのだが、パッサカリアになったりで、この作曲家のαからΩとなるような作風だと気が付いた。 半世紀前の演奏は、何もNHKで当時の大木や藁科などの音楽評論家が特に選択したという訳でもないだろうが、ブラームスの情緒的な側面が強調された和声の響きしか分からないような演奏が持て囃されていた。 勿論ブラームスがクラシックのセレナードの原点に戻って創作したという認識は解説されたとしてもそれがどのような音楽的なエポックで以って新たな芸術への意志によって創造されたかまでは音響的に認識されなかった。 具体的には、浪漫派とされる五里霧中なものから後期浪漫派とされる形式化がなされる過程での古典回帰の所謂新古典主義とされる運動のエポックである。有名な梅毒に侵されたシューマンの浪漫から奥さんのクララのピアノ演奏がそうであったとされる古典的な均整美への憧憬でもある。 そうした音の重なり合いの妙は半世紀前にはまだまだあまり顧みられなかった傾向がある。この件は実はブラームスの交響曲四番における所謂シュタインバッハ版などの比較的小編成の交響楽団による瀟洒な演奏から巨大な大管弦楽団へと演奏形態が肥大化していった社会的背景があって、それがまた戦後の磁気録音のLPからステレオへと複製芸術の技術的な発展とも関係があって、カラヤン指揮ベルリナーフィルハーモニカーのブラームスの音響として完成していた。 今月には二回その交響曲四番を聴くことになるのだが、日本でも11月にペトレンコ指揮で録画されたものがもう一度再放送されるようで、そこからの更なる演奏として期待されるところである。 今回上の録画を改めて聴いてみて、コロナ期間中の特別な背景もあってかとてもよく準備されていたようで、素晴らしい音程で声部が重ねられたりしていて聴きごたえがある。なによりも、ブラームスのその筆捌きはやはり惚れ惚れするものである。ブラームスというとどうしても晩年の髭の加齢臭の漂うような写真が有名であるが、その若い姿はやはり魅力的であったろうと思わせる。 もう少しお勉強が出来れば、昨年からの流れで、この作曲家の全体像が今月で何とか描けるようになるのではないかと思っている。今回は弦楽六重奏一番変ロ長調も演奏されるのだが、そこでも本来の弦楽奏法なども少しは思い描いてみたいと思っている。なにかいい録音はないかネットを探してみたい。先ずはこれまたコロナ期間中のエルフィーでのベルチャ四重奏団を核にしたヴィデオを流してみる。 参照: 歌曲の会で初めて聴く 2024-03-14 | 生活 演奏実践の歴史的認識 2024-02-18 | マスメディア批評 #
by pfaelzerwein
| 2024-03-15 05:53
| 音
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