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玉も、胃腸もごろごろ

怒涛の如くのグランクリュ試飲であった。試したワインの種類は、三件の醸造所で全部で25種類ぐらいである。グランクリュ以外のものが10種類混じっているのでグランクリュは15種類となる。その中で、解禁されたばかりの2008年ものは12種類あり、あとは2002年、2003年から3種類である。

2008年産は酸が強く、その独特の酸は胃液に混じって戻ってくるかのような独特の風合いがある。これが繊細さが失われないように上手に醸造されているかどうかが判断のしどころである。その酸が少し嫌味な感じで出ていたグランクリュとして、フォン・ブールのルッパーツブルクのライタープファードやバッサーマン・ヨルダンのペッヒシュタイン、ビュッルクリン・ヴォルフのガイスボェールなどが挙がる。

因みに2008年産のバッサーマン・ヨルダン醸造所のカルクオーフェンが発売されていないのはその品質に至らなかったとされていて、昨年の冬の土壌改良作業が思い起される。それはビュッルクリン・ヴォルフのそれも例年の火打石の趣よりも白胡椒風のスパイシーさに当たるのにも表れているかも知れない。また、2008年6月にはルッパーツベルクの地所は雹にやられたのを思い起させる。

そのような酸事情から例年ならばごつさが目だってあまり繊細さの感じられない2008年産イエズイーテンガルテンに薬草風のスパイシーさが感じられて良いアクセントとなっている。その中でフォン・ブール醸造所のそれはなかなかお買い得の商品となっていた。なるほどグランクリュの地所はバイオデュナーミで栽培されているからの熟成であると言われれば認めない訳にもいかない。もう一息他の地所もバイオ農業からもう一歩進めて手を掛けてほしいものである。

しかしなんと言ってもビュッルクリン・ヴォルフの2003年産のイエズイーテンガルテンには驚かされた。これと同年のペッヒシュタインと一騎打ちとなったが、難しい暑い年における酸の新鮮さで前者に軍配が挙がり、後者の熟成感の出ている繊細な趣には欠けるものの、ごつさはなく尚且つ清潔さに満ち溢れているのには驚かされた。スキヤキなどにも負けないアルコール13%のリースリングである。

そうなればフォン・ブールの隣り合わせの地所キルヘンシュトックは流石に見事な出来上がりで、何よりも赤いバラの香水香が素晴らしく、2008年の酸の特性を綺麗に包みこんでいる。やはりこの王者の地所の特産品の出来は違う。

甘口は今回試飲しなかったバッサーマン・ヨルダン醸造所の既に売り切れた2008年産ホーヘンモルゲンの素晴らしいバランスの美しさには至らないまでもビュッルクリン・ヴォルフのフォルスターアウスレーゼは、手軽な甘口として2008年9月30日に収穫されたキルヘンシュトックとイエズイーテンガルテンから葡萄の良さが出ていた。兎に角、上質の甘口は喉を水の如く流れ、引っかかりや後味のイガイガ感が皆無なのが肝要である。その意味からフォン・ブール醸造所はまだまだこれからである。

試飲は、強い酸が胃腸をごろごろさせたが、またもやそこで可也勉強させて貰った。今回の収穫は、最後の瓶であった2001年産ペッヒシュタインを入手出来、それを2008年3月と時間を開けて再び試せる機会を確保出来た事た。また、上の2008年産イェズイテンガルテンを安く購入したのでこれも二年後ほど先の年末年始に楽しめる。



参照:
旨くない途轍もない将来性 2009-09-03 | 暦
by pfaelzerwein | 2009-09-07 13:43 | ワイン | Trackback
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