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隠れビオデュナミニに驚愕する

茶会に来てくれた二人を試飲会に案内した。名門醸造所のそれであったので喜んで頂けたようである。まず試飲出来る量が違うと驚いていた。自己の地所だけでも四十ヘクタールあり、さらにブルグンダー種を中心に他の場所で造っていれば、三十何種類のワインが居並ぶのは当然である。

2009年産はバッサーマンヨルダン醸造所では本当にアイスヴァインはなかったようである。その中でアイスヴァインを収穫したクリストマンは一体。要するに2008年の甘口を欲しい者は確保しておくべきだろう。もしくは2007年産を買いそびれた者は今が最後のチャンスである。2010年はもはやあまり期待出来ないので、来年の飲み代を確保しておくことは重要ではなかろうか。

ホーヘンモルゲンの2006年から2008年への飲み比べをやったが、2006年は飲み干すべき熟成に達していて今ならまだ美味い。2007年は閉じているがその清楚さが結構良くなっている。2008年は開きっぱなしの雰囲気と共に今後が楽しみである。

それらに比較すると2009年産は、平均点はかなり高いが、熟成への期待ではそれほど大きいとは思われない。要するに数が限られているだけ早めに購入しておくべきものであろう。但し、2008年産に比較すると、なにも高級のそれでなくとも質が高いので、手ごろな物を見つけだすのが肝要かと思われる。

地下で流していた映像にビオデュナミの牛の角の風景が写っていたので驚いて外回り主任のケラー氏に聞いて見た。数年前からビオデュナミだというので驚いた。どこにも書いていないからだ。月齢に合わせて仕事をしているのは良いとして、元々が信心なだけに隠されていたと思うと、まるでハリウッドのホラー映画を見るときのように「お前もか」と驚愕しない訳にはいかない。

オーナが変ってから秘教のようなものが隠されていたのは心外であるが、醸造親方メル氏の明言はそれを覆すほどであった。要するに再び木樽の割合を増やしているという宣言である。これは、かなり心強い宣言で、もし偉大なグロース・ゲヴェックスを提供しようと思えばこれは欠かせない。さらにアウフデアマウワーのような天然酵母発酵へと踏み出すためには木樽は欠かせないだろう。しかし、前任のヘーネ氏からの反動でステンレスに拘った醸造から木樽への流れは自然なものであり、紆余曲折が多いこの名門中の名門醸造所の姿を浮き彫りにしている。何はともあれこれで安心して2009年産のグランクリュも予約注文出来るのである。

2009年産で質問も受けて尚且つ興味深かったのがレモン風に酸味の強かったヘアゴットザッカーだろうか。どちらかというとフォン・ブールのそれに近づいていて、爽やかさが加味されて来ている。先方のキーゼルベルクが良くなって来ているように、此方のこれが良くなってきて、尚且つ色の薄いそれを軽やかに造って来ている事から若干個性が弱まりそうで心配な反面、微妙な選択が出来る喜びもあろう。

今年からの新規ウンゲホイヤーSの良さは変らずその価格13ユーロも素晴らしいが、グラインヒューベルも明らかに残糖を残したそれからプリュミエ・クリュ風へと方向を変えてきた。あとは、スクリュー栓で何処まで瓶の熟成が期待出来るか、さらに自然な熟成が出来るだけの醸造になっているかが評価のしどころであろう。

その件を再び代表のハウク氏に質問して、さらにフロインドシュトックの行き先を尋ねて見た。驚いたことに予約販売でスペインなどに出ているらしい。それもグランクリュなのである。付属のレストランでは飲めるようなのだが、是非此方にも廻して欲しい旨を伝えておいたので何時か再会出来るかもしれない。ウンゲホイヤーが再び復活した様にである。
by pfaelzerwein | 2010-05-09 13:48 | 試飲百景 | Trackback
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