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陶酔の中で和声学を学ぶ

新聞の文化欄は一人の音楽学者の死を伝えている。オペラ作曲家マンフレート・トローヤンのヴィーンでの先生でもあるディーテール・デラ・モッテ教授の死である。

記事によれば和声学の書物としてとても面白い読み物となっているようで、オルランド・ディ・ロッソーからメシアンへと、ヴィーンの古典派では通じても、なぜドュビシイーでは駄目なのか?基本和声からの緊張がカンデンツ構造としてモーツァルトで最も強く効果を発揮して、そうした音の関係は決して自然の掟ではなく、百二十年後にはその妥当性を失った理由を、音楽実践的に綴っているようだ。

そして、シューベルトの「粉引き小屋の少女」に捧げる、その喜びはどうしたものかと言えば、以下の節に表れるようなものらしい。ベッカーの小説の一部だろうか?

"Den Pfälzer Weinen, insbesondere dem Rhodter und Schweigener, in tiefer Ergebenheit"

つまり、泥酔のなかで、プフェルツァーヴァインに捧げるように、それもロートのそれやシュヴァイゲンのそれに捧げるようにである。ロートはランダウより北の南ワイン街道の小さな村で、フランスとの国境にあるシュヴァイゲンと言えば沈黙のことであるが、この文章の冒頭で、それでも献呈された家族はその執筆中に充分に気を使わなくてはいけなかっただろうことが触れられている。



参照:
Den Musen, Zum Tod des Musikologen Diether de la Motte, FAZ vom 10.6.2010
Für alle (madamedej)
by pfaelzerwein | 2010-06-14 02:59 | Trackback
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