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廃校間近のガイセンハイム

ドイツワイン愛好者なら139年の歴史を誇るプロイセンの専門学校ガイセンハイムの名前を聞いたことがあるだろう。ヴィースバーデンの高等専門学校の一つの分校扱いとなっているが、実はラインラントプファルツ州の援助を受けていた。そのことをもって我々は訝しく思ており、実際ノイシュタットのムスバッハの専門学校に今後は集中して投資する環境が整ってきた。そしてラインラント・プファルツ州が百三十万ユーロの支援を打ち切ることにすることは、昨年十一月にその対抗馬であるムスバッハの専門学校を訪れた仲間などからも改めて情報を得ていた。

そして、その財政の穴を埋め合わすべきヘッセン州は、高等学校の再編成などから、一方で徴兵制度の廃止による受け入れる高等専門学校生の増加に対応出来ない、ヴィースバーデンの本校自体の縮小を考えている。特にガイセンハイムでの教育はワイン大国プファルツで実践として活用されることになっており、ヘッセンにとっては意味を成さない一方プファルツにとっても財源の集中した投資が望まれることになった。

来週には議論会などがそのOBを集めて開かれるようであるが、2011年にガイセンハイムのその歴史は終わりを告げる予定である。既にノイシュタットの方では予算が投下されており、そのガイセンハイムの教育機関としてへの新たな利用法は限られている。近隣だけでも、ノイシュタットのみならず南ワイン街道にもワイン栽培の研究施設が充実しており、ドイツ一番と言われるヴィルヘルム・ヴァイル一行がヴァッヘンハイムを訪れる事実だけを見ても、今やガイセンハイムにて技術を磨くよりもミッテルハールトで研究する方が地形的にも合理的なのである。

しかしながら、ガイセンハイムからそれ程遠くないヘッセン州立の醸造所が立派な地下の醸造所を完成させて、更に最新の技術でリースリングを醸造し始めた矢先に、こうした基礎となる研究機関との共同作業がおろそかにされないかと些か人事ながら心配になるのである。広義な意味で、ミッテルハールトのワイン栽培や醸造は他の栽培地域よりも五年から十年ぐらいは先行しており、私自身地元研究機関や最新の研究成果を鑑みながら熱心なヴォランティアーのテスターとして叱咤激励のフィードバックこそが、住環境の維持・向上しいてはドイツの農業政策の将来へと自己の身に切実に降りかかってくるものと承知している。今まで以上に嫌な顧客として、現場に影響を与えていく所存である。しばしば、あまりにも不安定感さえ感じさせる「リースリングの飲み頃の山と谷の認識とその情報の伝達」に関しては、まだ多くの売り子への「教育的指導」が必要であると考えている。まさにこれが、コーラワインには絶対ありえない、世界中のリースリング愛好者が狂わせてしまう「女心と秋の空」なのである。



参照:
„2011 entscheidendes Jahr für Forschungsanstalt“, FAZ vom 14.1.2011
モーゼの杖が導びく環境認識 2010-08-19 | ワイン
グランクリュ解禁の秋の旅 2009-09-13 | 暦
大馬鹿者たち-試飲百景 2005-06-18 | 試飲百景
ヴァイル御一行様のご相伴 2010-10-01 | 試飲百景
by pfaelzerwein | 2011-01-13 00:43 | ワイン | Trackback
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