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無駄が聞こえない環境作り

ベルリンでIFAが盛大に開かれている。インターナショナル・フンク・アウスステールングの略であり、世界で最も古い電気博覧会で、今でも最も重要な家電博覧会である。嘗ては生活の豊かさを示したような家電がもはや先進工業国では重要な消費対象でなくなったが、それでも白物家電は必需品には変わりなく、特にスマートグリットなどの消費節約と、より再生可能なエネルギー消費が目指されているので、技術的には大きな進展が期待されている ― この九月から60W以上の電球が不売になったので駆け込み需要があったらしい。

新聞でのその報告の横に、音のしないPCの紹介があって、興味深く読んだ。それによると90年代から騒音を減らすように空冷無しの電源部を開発して、十年ほど前から「サイレントマックス」というシステムに様々な工夫を盛り込んできたようである。これまでの商品が雑音を感じないパーツに、耳を近づければハードディスクの回転だけだったのが、今回はSSDハードディスクを利用して、殆ど聞こえないシステムに近づいたということである。立ち上がりが早いとか、サブのハードディスクにデーターを引き継ぐとか、落ちてしまう可能性が高まるとかの様々な議論はあっても、こうした全体の傾向は変わらない。

静かなものに限ったことはない。ノートブックなどはもはや殆ど聞き取ることが出来なくなっており、大きなデスクトップで如何に作動を安定して雑音を減らせるかにあるのだろう。自身ワークステーションに、故障からファンの付いていないグラフィックカードを設置するようになって、若干の作動上のラグタイムは生じるようになったが、音が静かになっただけでも満足している。

特にPCで音楽を聴くというようなマルチメディアの使い方が盛んになってきていることを考えれば、こうした技術的進化はHIFIやTV受信機に変わる将来性のある市場に違いない。

十年前ではマッキントッシュのスタジオシステムにおいても、本機を室外に置くことで何とか音響のポストプロダクションシステムとして使用できていたが、現在のiMacでも上記サイレントマックスよりは喧しいという事で、こうしたシステムの発展には期待が高まる。

その場合もカタログに記載されているようなデシベル表示では実際の喧しさとはかけ離れていてソーン表示に留意している。1Kz に置けるサイン波の40dbを基準として、二倍にやかましければ2Soneとなる。通常のPCの場合は、0.5から1.0ソーンで、上の新製品の場合は0.1ソーンとなるようだ。

家庭で、PCで音楽を聴きたいとかの目的ならば、今後はこうした商品を選ぶことになるのだろう。兎に角、事務所においても雑音は無い方が歓迎されるのは当然で、更に熱工学的に考えれば出来るだけ無駄な発熱をしないようなシステムが今後のハイテク電化製品の主役となるのだろう。その意味からはIFAでの最新の商品の動向もあまり変わらないに違いない。



参照:
Die erholsame Ruhe des leisen PC, Michael Spehr, FAZ vom 6.9.2011
ハードの問題、ソフトの問題 2011-05-09 | 雑感
越えてはいけない収束への道 2011-05-03 | 雑感
テクニックそれでも収束に向かわなかった 2011-04-30 | テクニック
by pfaelzerwein | 2011-09-06 22:18 | テクニック | Trackback
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