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シェーンレーバって一体?

アルテュール・シュニッツラーの夢日記が初刊行された。世紀末のヴィーンの作家で現在でも多くの読者を持ち、戯曲化されて舞台にも掛かることが多い。絵画や音楽などの芸術と同じく人気の絶えない時代の文学の一つである。

どの一冊でも一度手に取れば、他の作品においてもどのように話が展開していくのかが推測できる。その無常と無益な環境の大波に揺られ続けるのである。そうした作家であるから、当然のことながらフロイト博士はその作家を称えて二重人格と診断している。

待合室で待っていると、シェーンレーバさんと呼ばれるのである。何のことか分らず、それは精神分析では無くて、フロイトの事だった。アメリカのことではなくて、コロムブスだったのだ。

この作家が寝起きに夢日記で記録したのは、その感情的な機微機構であったようで、まさにそこに不安などが正確に細やかに描かれることになるのだろう。

そして正夢も記録されていて、娘リリが自殺をしようとしてそれを止めることが出来なかった夢は、そのまま現実となってファシストの旦那アーノルト・カペリーニの銃で実行される。作品のようにまるで避けられぬ機構のようである。



参照:
Träume, Das Traumtagebuch 1975 – 1931 von Arthur Schnitzler
Im Wartezimmer von Sigmund Freud, Von Wolfgang Schneider, FAZ vom 15.5.2012
ゲーテには難しい青粘板岩 2012-05-13 | 試飲百景
明治の叶わなかった正夢 2012-02-07 | アウトドーア・環境
夢ではない、目を覚ませ! 2011-10-26 | マスメディア批評
反照の音楽ジャーナリズム 2012-02-27 | 音
呵責・容赦無い保守主義 2007-11-19 | 文学・思想
鹿フィレ肉のクリーミーな香り 2004-11-25 | 料理
甘酸っぱい野いちごの風味 2010-09-01 | 文化一般
コン・リピエーノの世界観 2005-12-15 | 音
微睡の楽園の響き 2005-02-22 | 文学・思想
by pfaelzerwein | 2012-05-18 04:14 | 文学・思想 | Trackback
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