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大阪のポピュリストを回避

日本の政治は嘗て無いほど注目されているのだろう。それはフクシマ以後の政治的舵取りへの関心でもあり、それが少子高齢化の先進工業国の脱近代への歩みの一つであるからに違いない。これに関しては多くの論文が用意されている筈だ。当然のことながらそこでは容易な社会主義的な成長戦略などは経済政策としてありえない選択である。

東京から政局が伝えられて、いつか「近い総選挙」では、百議席を民主党、二百議席を自民党が獲得して、百議席を大阪からのポピュリスト政党「維新の会」が獲得する予想としている。

自民党は、橋下の政治手法をヒットラーと比較して「ハシズム」と呼んで非難しているので、この新興勢力の獲得議席数が多ければ多いほど大連合となるとされていて、その他の第三極を形成するであろう少数政党の状況も一通り紹介している。

「オ」で始まるだけで野田の顔をしかめ面とすると言う小沢何某の率いる党は未だに足が地に着いている様子も無く、そもそも東電と関係の深い小沢が十年での脱原発を訴えたとしてもそれ以上のものではないとする。社民・共産の革新政党が意味を持つこともなく、また自由市場主義「みんなの党」もその趨勢を終えたとされている。新たに結党となった緑の党も、いかな脱原発の後押しがあってもまだまだあまりにも非力であるとする。

どちらかと言えば嫌われている二大政党が大連合によって、半世紀以上続いた官僚と政治家の間で育んだ既得権を何が何でも守ろうとしたのが増税法案であり、核開発の安全保障政策であったとなるのだろう。

そこで、大連合となっても主導権を取ろうと、勝負勘の働く野田首相は、東京の反原連の代表たちと会って、脱原発へのソフトランディングを謀っているとFAZのこの記事は伝えるが、さてどうなるであろう。先日のIWJなどでの話では、そうしたフリージャーナリストを入れない密室で所謂官邸記者クラブの前での会見になるとされている。このこと一つを見ても如何に記者クラブ組織と呼ばれるものが歪な日本の政治状況を自ら「第四の権力」と嘯いて形成してきたかが知れるものである。原子力委員会の原子力ムラ人事が可決されて、首相官邸への抗議が終わるときには、その場で向きを変えて記者クラブ解体への大きな市民の運動へと展開しかねない。

在阪のラジオ局MBSの報道番組「たね蒔(ま)きジャーナル」放送打ち切りが話題になって、打ち切り反対の運動が起こっている。署名活動もある。要は、スポンサーがつかないということなのだろうが、民間放送の宿命であり、特に報道番組となると冠スポンサーとはならない分だけに厳しいのだろう ― この番組をネットで聴く限り、反橋下の姿勢が強く出ているので、大手スポンサーからの電通以上に意外に大阪市の圧力が掛かっているかも知れない。同様なことは新聞の独立性にも言えることで、如何にインディペンデントのジャーナリズムと言うものが大きな会社の大きな組織とは相容れないものであるかが分るかと思う。その意味からも記者クラブか経団連か分らないようなマスメディアが解体されなければ本当のジャーナリズムは生まれないのである。



参照:
Die Angst vor dem Populisten aus Osaka geht um, Carsten Germis, FAZ vom 13.8.2012
たね蒔(ま)きジャーナル (MBS)
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by pfaelzerwein | 2012-08-16 07:07 | マスメディア批評 | Trackback
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