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スタート地点に戻ってみる

日曜日の朝はとても気持ちよかった。初秋らしい空と清々しさは格別である。わけあって、初めて日曜日に石切り場へと向かった。それも朝九時の待ち合わせで、羽織るものが漸く必要なくなったというような感じだった。

集中して二時間の練習であったが、初心者を相手に継続した練成週間の最後から二度目の日程である。予定していた項目を全てクリアーしてくれたのでとても嬉しく、来週末の余裕が生じて、天候次第であるがやれることはこれでやり切れると思われる。

室内でも四度ぐらいしか登ったことがない初心者であり、戸外では初のシーズンでここまでこぎつけるには苦労した。八月の第二週には、奇岩地帯の岩頭で途中で降りると言い出したものだから、こちらは焦ったのだった。私にとっても初めての経験で引っ張り上げることは出来たのだが、懸垂下降が出来ないような感じだったので、仲間がダブルで懸垂下降をしたぐらいである。

兎に角薄笑いのような怯えた表情がそのときは上からは理解できなかったのだが、石切り場で練習したときにも同じような状況になった。これはどうしたものかと思って、その次の機会に、あらかじめヒントを与えた。

それはここからという前段階でザイルにぶら下がってしまうことで、そこで息を整えながらそれからの身体の動きをシュミレーションしてみるということだけであった。それが功を奏して、その後は途中で諦めることは無く完登するようになった。

基本的には信頼関係なのだが、その基礎となる確保システムや考え方をレクチュアーされることで、自分自身で「息を整える」ことが出来るようになったようだ。その説明でもしたように、実際に難しい未知の場所では先行する我々でも中間支点の取れる場所で予めザイルにぶら下がって、手がかりなどを探ることが必要となり、必ずしも所謂レッドポイントで登っているとは限らないので、後続する者も同じように意識することは必ずしも悪くはないのである。

こうした練習に付き合って石切り場の最も簡単なところから虱潰しに登り直してみると、いろいろなことに気がついて自身とてもよい勉強になる。完璧に最も安全に登るためには必ずしもレッドポイントが良いわけではないことは当然なのだが、初心者のザイル確保は殆ど信用できないのでまるでノーザイルで登るようなもしくはシュタイクアイゼンとリュックサックを担いで登る感覚ですると、とても勉強になるのである ― やはりソロクライミングは体力勝負になるのかもしれない。

困難度六級となるとやはりどうしても所謂スポーツクライミングの域になってシュタイクアイゼンでは登れないような領域へと近づくのであるが、やはりそこまでの領域に岩登りの極意が隠されていることを教えてくれて、スポーツクライミングを最も安全に登る全てが隔されていたように認識し直した。要するにビックウォール登攀への基礎技術である。

これで最後の一日は、スポーツクライミング領域での最大限の安定した登り方を伝授できそうである。そしてそのまま自己の限界域まで登り直していくことで、可也天井が広がってきそうである。スキーなどでも同じであるが、シーズン度にスタート地点に一度戻ってみることが上達の秘訣だろうか?



参照:
中庸な道の歴史 2006-08-05 | アウトドーア・環境
ゲマインシャフトの人種 2008-09-25 | 生活
ゴミで咳き込んで酷く咽る 2009-04-02 | アウトドーア・環境
by pfaelzerwein | 2012-09-02 21:06 | 雑感 | Trackback
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