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スポーティーなヤッケの生地

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注文したヤッケが届いた。予期していたように、最初期のゴアテックスの様に再び薄っぺらいハードシェルになっている。何よりも知りたかったのは重量である。なぜかと言えば新しいゴアテックス・アクティヴの商品は400G以上であったらいけないからだ。実はよりハードさを求められるプロと呼ばれる同じシリーズの商品の方が軽いのである。

そこで早速袋から取り出して量ってみた。なるほど412Gで公称415Gが正しいのである。先ずはタグを外してみた。すると402Gである。しかしこの商品には袋がついているのである。その袋が16G、つまり前提条件である400Gを下回って本体は386Gとなる。合格である。

それでも同じシリーズの上級商品つまり高価な商品よりも20Gほど重いのはなぜなのか?そもそもアクティヴという商品は、同じ三重構造を使ったとしてもサンドイッチの中の生地を貼り付けて実質的に二重構造にするラミネート加工をしているのである。そうすることによって、膜と膜の間の自由空間の気体の性質に関わらずに、通気性を上げれるのは少し想像してみれば誰でも合点が行く筈だ。二十年ほど前にそうした工場を見学して話を伺ったことがあるのだが、正しくラミネートの技術がそこでは重要になる。

そこから推測できるのはラミネート加工に使う溶剤などを含めた接着剤が重いのだろうということで、更に生地を薄くして肩などには更に厚い生地を使えばどうしても一枚の素材よりも縫い目が多くなって重さに繋がる縫製加工をしなければいけなくなったのだろう。しかし見た目には中国の細かな仕事振りがあるようで比較的綺麗に仕上がっている。

あまり長持ちは期待していないのだが、洗濯機で容易に洗えることや表面に防水スプレーをかけることで再び防水性能も上がるようなのでどんどん使いたくなる商品でもある。薄っぺらいので試しに摂氏八度のバルコンに腰掛けてみた。足先などは悴んで来るが、ヤッケを着ている部分は暑苦しくも寒くも無く快適である。これならば薄っぺらいフリースの上でも十分に雨風を防げるだろうが、アイスクライミングなどを考えるとそこからまだマイナス20度ほど低い環境の中では寒いだろう。先ずは、分厚目のフリースを購入してみて試してみるしかないであろう。分厚いといっても最近の衣料はボディーコンシャス化が進んでいるので、肩周りがごろごろするようなものではない。兎に角なんら抵抗無しに運動出来る性能が最新のアウトドーア商品には備わっている。

外界の厳しい環境から身体を守りつつ、同時にトレールランニングなどの更にハードな運動をこなせる素材としてアクティヴが使われるときには更に300G以下の商品とするということになっている。先ずは雪交じりの天候のような場合はこれで十分であり、Tシャツとこれがあれば夏はどうにかなってしまう。そこに薄めのフリースがあれば完璧である。〆て800Gの上着類で大分サヴァイヴァルできるのである。現在使っているゴアテックスのヤッケが780G程であるから、如何に軽くなって機能的になっていくことか。三十年ほど前の化繊の機能性下着やその他の時代とは何もかも変わって来てしまっていて、それだけスポーツ的な活動が高山でも可能になってきているのである。

因みにボディーコンシャスなカッティングのために下に分厚いセーターを着ると胸元がはちきれてしまうが、Lサイズでは大きくなり過ぎるだろう。英国のサイズは身体に合うので助かるが、若し日本製ならばLかLLでなければ窮屈で着れなくなる。それも英国の商品を選ぶ理由である。



参照:
求められる第二の肌感覚 2012-11-15 | テクニック
Not body conscious. Not baggy 2011-07-11 | アウトドーア・環境
Dry Toolingの練習に使えるかも? (NEXT DREAM 記憶と記録)
by pfaelzerwein | 2012-11-22 22:49 | テクニック | Trackback
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