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昨日の雪は昨年の雪

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シーズン十三日目と十四日目は敢えて全く違った練習方法を取った。十三日目の水曜日は日曜日に雪を駆け上がっていたので足が完全に遣られていたのと、大変込んでいたのでトップロープに拘って腹筋力強化練習と技術の洗練に徹した。

誰もほかに現れなかったので町医者の相棒と二人だけの練習となった。しかし彼は、完璧に登れるところが無いので、まるでこちらがドグマを押し付けているように主張する。合理的な練習法を自覚していないともしくは習うだけの信頼感がないとどうしてもそうした愚痴に繋がりやすい。

そうした上手くいかない雰囲気は他の日常生活の中でも埋葬の件だけでなく身辺に纏わりついていて、今ひとつ気が晴れないのは十二月と入っても零下でとても寒くなんとなく十一月の雰囲気を引きずっているからだろう。なんとなく今年の待降節は浮ついた感じで、今ひとつ集中度に欠ける。

そのような按配で十四日目金曜日はロープをリードする練習に徹して、何処を登ろうかと頭をめぐらしていたのだが、前日に睡眠が出来なく殆ど徹夜状態になった。町医者に言わせるとホルモン障害となるのだろう。なぜか女性も含めて身辺には精神不安定な状態の人が増えている。バイオウェザーの影響もあるに違いない。

さて午後から降り出した雪がアウトバーンにも積もったので、流石にホールには人出が少なかったが、秋に始めてアルゴイでザイルを組んだ我々支部の中では古典的なアルプス登山を最もするマルクが来ていた。仲間の女性と子供連れで登っていたが、正しく彼こそが今では珍しいスポーツクライミングをしない、でも強いクライマーである。嘗ての日本の世界で言えば植村直己よりは岩は登れるだろうが、彼にはそこまでの経験は無いだけである。

彼にアレクサンダー・フーバーの話をして、シュヴァルツヴァルトのアイスクライミングの話をすると直ぐに食いついてきた。ああして室内壁の練習に注目することとアイスクライミングを近所で練習することは全く同じ合理的な発想でしかないのである。若し彼がクラシックの難しい山を登ろうと思うならばアイスクライミングの技術を鍛えておくことはとても大切なのである。数十メートルほどの難しい氷壁が出てくるクラシックルートは幾らでも存在する。

そして相棒が今シーズンは燗立てている。それは全く同じように昨シーズン私が彼を叱りまくったザイル捌きの問題である。要するにリードしてみて初めて特に自己の限界域ではザイルに流れが如何に重要であるかに気がついてきたのである。決して嫌がらせではなくザイルをカラビナに掛ける時の体勢つくりを人工壁でのリードの練習の要と目しているので ― この点についてマルクにも触れたので経験のある彼ならば意図が分かったろう ―、容易にザイルを出さない私に腹を立てるのである。

しかし、昨シーズンの私が出来ないかったことの原因をそこに持って来ていたのと同じように、彼にもフラストレーションが大分溜まってきているのが分るのだ。つまり、私が完璧な技術で乗り切るので腕力を殆どつかない分、同じように後を登ることが殆ど不可能になってきているからである。それでも場合によっては私よりランク落ちのところを登って貰って、完璧に登ることで技術を身につけて貰おうと思っているのだが、まだ本人は昨年と比較して腕力が弱ってきていると勘違いしているらしい。それどころか前日に腕力トレーニングをしてきたと言うから勘違いも甚だしい。

なるほどまだ五十歳台のときのそれと比較すると弱ってきているのかもしれないが、それならばますます技術を叩き込んでおかないと八十歳まで登り続けることは不可能であろう。なぜそこを登れないか?、何が足りないか?を自覚して貰わない限りスポーツクライミングの領域にも入りきれない。

そしてなによりも自分自身は、昨シーズン危うく、骨折れだった所が確実に登れるようになって、微妙なバランスと思っていた場所が体重の移動でとても安定して来た。腕力を極力使わずに体重の移動だけで登れるようになってきた。このシーズンで完全にもう半スカラーは先に進めそうである。幾らでも習うことは尽きないのである。



参照:
人類の将来の進展のために 2012-12-02 | アウトドーア・環境
腕力で無しに知力で 2012-11-30 | アウトドーア・環境
by pfaelzerwein | 2012-12-08 06:39 | 雑感 | Trackback
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