春の雪だ。それにしても気温が零下三度にもなると道路状況は悪く湿った雪なだけに滑りやすく、ABSやESBが活躍する。雪の量は少ないので積もった感じはあまりしないが、滑りに滑る。
前日が雨だったために朝起きして走るつもりだったが、屋根積雪に目覚める塩梅であった。それでも着替えて銀行により、パン屋に行くが降雪量が比較的多くて、濡れると風邪をひきそうなので家へと引き返した。
どこかで小澤征爾と見かけたので日本のYAHOOなどに入れると死亡と出る。そんなことは無い筈だと思ったが、如何に多くの人が死亡のニュースを気にしているかが分かるのである。二月までは完全休養の予定であったようで、NHKをはじめORFなどで二月の声明が短報として伝えられている。
先日バッサーマン・ヨルダン醸造所の2010年産アウフデアマウアーを開けた。天然酵母を使った商品で、今年からブルゴーニュの等級システムに全面改変した醸造所でもリストアップされている。購入理由は酸の強さと天然酵母の酵母臭さがいづれ綺麗に瓶熟成するとしたものである。
結果は予想通りで瓶詰め後二年を迎える前に十分に練れていた。酸も十分に角が取れていて上質であり、酵母臭は消えていて、それでも十分な広がりがあったので、昨今のこの醸造所のものとしては秀逸であった。もはや新酒試飲会にも行く気の失せた過去の朽ちた醸造所であるが、ブルゴーニュシステムで十分なテロワールの表出が叶うかどうか真に危ういところでもある。
兎に角、厳選はしていても過去の付き合いから行きつけの醸造所や送られてくる案内が増える一方で、購入や試飲のためにはより一層厳しい基準を設けていかなければ対応できない。名門と呼ばれるところはその価格も実力不相応に高くなってきておいり、古い顧客層に愛想を尽かされたこの醸造所の価格はその質とはかけ離れる一方であろう。
雪は降り続く。春の雪らしく大雪になるのだろうか?ジャパンイムポートと称するCDシリーズから、エラートの1986年録音のボストン交響楽団との小澤の悲愴交響曲に窓の雪を視野に入れながら耳を傾ける。それにしても見事な演奏であり、十万ヴォルトの指揮者全盛期の感もある。
小澤指揮のLPはいくらか持っていてもCDは二枚しかないようだ。ベルリンの管弦楽団との安売りのプロコフィエフ全集も断念したのはやはりそこの重い弦の響きよりもボストンなどの瀟洒なそれの方がこの指揮者の演奏実践には合うような印象は矢張り正しいだろうか。もう一つのラフマニノフの協奏曲集もサロン風と呼ばれるように軽やかで良いが、ピアニストのジメルマンがやろうとしていることに耳を傾けるとまた面白い。ある意味、欧州的な感覚でいくとなかなかラフマニノフ的感興も一筋縄ではいかないことも当然であろう。北米的な合理主義の限界や再構成された文化の姿が浮き彫りになるのかもしれない。
今晩の夕食は若ニシンにジャガイモの塩ゆでか。
参照:
既視感と焦燥感の恍惚 2007-12-03 | 文学・思想
天候不順の自立神経失調 2011-08-16 | 生活