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間違った国策と呼ばれるもの

パトリス・シェローの訃報が目に入った。書かなければいけないことが様々あり過ぎる。とても時間がなくて纏めることが出来ない。取り掛かる余裕すらない。それは様々なことが深く関連しているからである。

先日の国連での温暖化対策会議の結果などもEUの政治方針とも深く関わっており、特に航空機の発着規制で航空業界と対峙する形となっている。欧州内だけで厳しい排出取引が行われると、たちまちに欧州の航空機グループは国際競争力を失う。しかし、そもそも学術的な根拠の薄い排出規制で世界の隅々までを教育する優位性は無かったのだから、多くの分野で文明を指導していく立場の欧州のやり方が全てうまくいくとは限らない良い例である。

その一方で、皮相なことながら、エアバスが、ボーイングと米国が政治経済的に支配する日本の国策で存続する飛行機会社から発注となったことは大きく取り上げられた。ジャムボ無きボーイングのエアーライナーは三菱などの日本との共同制作でありその一角を崩してA380を31機も特注させるに至ったことはとても象徴的なことである。お蔭でユーロヘリコプターや様々な軍事部門で経済的に逆風にあるEADSの株価が市場で安定する効果をエアバスが齎しているということである。まだまだボーイング株に比較すると安いので倍以上の上昇は期待される。

それにしても不思議なことは、EUの政策では排出規制と原発推進が並行することは無いのだが、何故か亜細亜太平洋地域ではそれが同一線上で語られたような1990年度以降の原発推進の波である。当時は今ほどにネット情報が無かったので個人的には全く今でも関知していない幻の日本の失われた時代となっているのだが、ウエスティングハウス社などの買収や日立東芝の方針などが、政治的な政策の中でどのように進められたのかとても興味ある、一体なにがあの当時亜細亜太平洋地域で行われたのか?

山本太郎参議院議員が秘密保全法成立への警鐘を鳴らして全国行者している様子がIWJで伝えられている。なるほど本人が言うように「このような人物が国会議員で活躍しなければいけないのは世の終わり」なのかもしれないが、そのレトリックや演説の具体性は今までになかった本物の政治演説である。殆どアンゲラ・メルケルのそれを彷彿させる言葉の使いかたやレトリックである。一部では「学の無い無教養者」による政治のお茶の間ニュース化のように評されたが、どの程度の俳優かは知らないが少なくとも欧州では俳優と言う職業はその訓練や教育から芸術家として立派な文化人である。それがまざまざと彼のレトリックに表れている。

兎に角、日本の文化学術的な程度はとてもではないが低い。一つにはその基礎となる科学の体系が無かったことで、そこにマルキズムが導入されて初めて体系を持ち得たとするのが丸山真男の見解であった。正しく山本太郎評価にもそのような背景が色濃く出ているだけでなく、通常の頭脳での思考においての判断に直接問いかけることのない日本社会での合理的議論の欠如が山本太郎批判の基礎となっている。ああした議論の明白化とレトリックこそが本当のディベートの基礎であり、民主主義の基礎となる政治的発言なのである。日本人の学術経験者の多くは未だにそれを学んでいない。だから原発推進などが未だに囁かれ、とんでもなく間違った国策と言う間違った前提で語られ続けているのである。

アベノミクスの結果スタグレーションに至るという話題をちらほら見かけるようになった。既に連邦共和国では、労働賃金が伸びずに物価上昇率だけが上がるという危機感が紙面を飾っている。労働賃金ではポルシェぐらいでしか上がらないということで、高級な特別な労働作業にしかそれ相応の賃金が支払われなくて、大量消費品は安い賃金を求めて安い賃金の労働市場へと生産が移行されるのは当然である。もはやメルセデスにおいてもメードインジャーマニーは定められたシリーズにしかない。日本製品ではほぼ労働賃金の上昇を許すような製品は殆どないに等しい。これも文化である。オリムピック誘致の嘘公約が、フクシマ問題を再び世界の関心事としてしまったお蔭で、安倍政権の苦境が報道されているが、最終的には経済問題で大きな転換局面に至るのだろう。市場に左右される政策であるから予想以上に瞬時に転換局面が表れる。



参照:
今は昔の歴史と共に死す 2010-03-22 | 雑感
順調に巡航するEADS 2013-09-21 | 生活
全日空不時着のフラッキング 2013-01-17 | テクニック
現代の音環境への認知力 2012-03-10 | 音
緑のシンプルライフ推奨 2007-03-04 | 女
by pfaelzerwein | 2013-10-10 17:56 | 文化一般 | Trackback
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