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二人の阿保のミックス

金正恩がリフトに乗っている写真をネットで見かけた。とても興味深く思った。背後のスキー場らしい風景に反して、一人で腰かけている風景である。本人はスイスで過ごした日々を思い出して、故郷でも皆があのように娯楽を楽しめればよいと純粋に思っているに違いないような、どこか寂しい光景である。そうである、国民の隅々までが皆楽しめるスキー場や娯楽施設が彼の夢に違いないのだ。恐らく、皆が食べていけないことなどは全く分かっていないに違いない。スイスでは働かないでも豪勢な生活が出来る人が増え続けているのだから。

写真に注目したのはそのリフトの形状や塗装などの具合である。恐らく、スイスのフランス語地域で使われていた中古だろうか。正しく、彼が初めてのスキーなどで経験したリフトである。次に造らなければいけないのはチーズ工場やレストラン、そしてミネラルウォーターの工場などだろうか。とても国民想いの指導者なのである。

どこかでこの指導者の新年の挨拶やその内容が紹介されていたが、その映像をYOUTUBEで探して見た。肝心の「粛清された反逆者」を意味する部分は会場の外の冬景色が映されていて。話者の表情などが分からなくなっている。声を分析すればそれなりの分析は得られるのだろうが、最も見たい場所は映されていなかった。

しかし、2013年の新年の挨拶を探して見比べるととても面白かった。目につくのは体を揺らす演説の姿勢が今年の挨拶には無くなっていたのだ。昨年のそれは初代に似せて練習させられたと言われるものだろうが、真似が上手くなったのか、それとももはや真似をする必要をそれほど感じなくなったのか?声の質も太く、自信溢れる雰囲気になっていて、昨年とは大分変わっているのである。

もう一つの極東の指導者についてFAZが書いている。所謂アベノミクスについてである。それはもはや色褪せてしまったという見解である。スタンフォード大学のホシ教授が語るように、デフレ脱却に成功するのは僅か12%の確率で、八割八分は失敗するという予測で、それは市場関係者も一致した見方だという。だから驚くほどの市場の進展を見たが、弾けるのは時間の問題だとする共通認識である。昨夏には年末までに構造改革を明確にすると言ったが、安倍政権は全く何もしないどころか、国粋主義的なアジェンダを推し進めているのだという。

具体的には、経産省や大蔵省がリストアップした百にも及ぶ構造改革は古い工業政治の詰め合わせで、補助金と表面上の修正だけだと厳しい。ただ唯一の例外は経済特区なのだが、首都圏でそれを行うとなれば、地方との乖離を起こすだけだと批判される。要するにジャパン・アズ・ナムバーワンの時代の焼き直しで、まさしく浜矩子女史が名付けた「アホノミクス」そのものなのである。

高齢化が進み既に工業の飽和化が進んだ日本で、移民を受け入れる訳でもなく女性のキャリアーを推し進める訳でもなく、アベノミクスの行方は弾け、「工業世界の終焉」を逸早く示すことになるのではないかと言うのがこうした見解である。そうしたことを、アベノミクスの当初に騙された多くのケインズ学者は、気が付いていないというのである。そして、安倍政権は、金融政策だけでは満たされない構造政策のために何一つせずに、権力構造のそれにも何も手つかずにしているというのである。

こうして二人の極東の指導者を並べると、その程度がとても似ていて面白い。しかし国民は前者の国民の方が行間を読む力は身に付いていて、後者の国民の方が「裸の王様」を抱いている国民に違いない。そしてそうしたものを支持する国家主義教育は後者の若い国民に徹底的に為されてきたのである。前者の国民は寧ろ賢明で決して「国民の義務」などと言うようなことは誰も考えていないに違いない。



参照:
Abes Zauber verblasst, Carsten Germis, FAZ vom 3.1.2014
奥崎、安倍晋三を撃て! 2013-12-28 | 歴史・時事
必要な改革への粛清? 2013-12-15 | マスメディア批評
間違った国策と呼ばれるもの 2013-10-11 | 文化一般
by pfaelzerwein | 2014-01-05 17:14 | マスメディア批評 | Trackback
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