馬鹿続きのシーズン事始あまりに早く終わったので、予備のルートを登ろうとしたら、流石にそれらは家族連れなどで賑わっていて余地が無かった。そこで、当日二本目のメインの壁を懸垂下降して、先に登り切ってしまってから、再び戻ってこようということに為った。 そこで、ファラルケンヴァントに行き、当日二度目のトラブルとなった。先に懸垂するパーティーが初心者の女性の下降器の掛け方を確認して呉れといったのでみていたら ― その声を掛けた男がさっさと先に降りてしまったので、舟橋プロにネットで習った方法も教える暇も無かった ― 、相棒が出てきて色々と親切まがいなことをする。そもそも最低二回の懸垂でプルージックもしていない初心者に関わらない方が良いのである。先ずそれを相棒が理解していないのが問題なのだが、敢えて早めにその上の支点にザイルを掛けて下降の準備をする。そして壁の途中の確保地点でザイルを引っ張って試すと、上から「動く」と返事が来る。そこで相棒が降りてくるとどうしてザイルは全く動かないのである。恐らく相棒はそのテストの意味を殆ど理解していなかったかもしれない。 そこで上に居た者に手伝って貰うが、とても酷いお話にならない失敗である。まさしく、死亡事故へと繋がる致命的なミスなのだ。本人もそれを教訓と出来るかどうかわからないのがどうしようもないのだ。それどころか難しい場所で試してみた私が間違っていたように触れ歩く馬鹿さ加減である。そうした本当の岩登りの安全や危険を全く理解していない人が増えてきている感じがする。経験が未熟と言うよりも理解していないと言うのが正しい。 気を取り直すまでも無く、どんどんと御目当ての凹角を登り始めて、知らないうちに最初の確保地点とハーケンを見逃してしまったようだ。その上に確保地点があるのは知っていたので、更に登るのだがその分最初にかけたヘクセントリックに続いて可動式楔を一枚、岩角にアノーを、最後に変形楔を使った。少しでも不安があれば先に中間支点を差し込む習慣がついているのだが、登る技術的な向上もありそれほど苦労せずに差し込むことが出来たが、一箇所はそのお陰で、あまり指の掛かりの良くないところなども力を制御して登れた。そしてその最後の楔が問題となった、相棒がそこまで登ってくると、カラビナを持って下からなにかをしたあと、もう一息登り際に手前へと引き千切ろうとした。万事休すである。そうなると全く抜けなかったので、後続パーティーが居ることであり、更に登り続けた。 懸垂下降の確保地点まではラムペになっていてなにも掛けずに登ったが、そこで長い細引きと安全環付カラビナをかけて、回り込んでまた頂上に抜ける凹角に入ってもザイルが流れるようにしておく。容易なトラヴァースでも足元を見る先には真下が見えるのでいつも緊張する否な感じである。頭では落ちても振られるだけで全く安全確保システムには負担を掛けないと分っているのだが、どうしても本能と言うものは異なるようである。そこで直ぐに手がかりとして深い穴が見つかったので、米国製リンクカムの2をがっちりと押し込む。これだけでも止まることを認識するだけで大分身体の力が抜けるのだ。もしくはそのようでなければ今後とも眼界域の力を壁の中で出すことなどは出来ないものである。 結局後継者も相棒が引っ張った楔を回収してこなかったので、懸垂下降で降りることにする。「再購入すればよい」などとほざく相棒に承服できないのは、彼が引っ張ったのを見たことだけではなくて、本格的に加重されておらず、更に嵌め込んだ割れ目も動くようなものではないから、物理的に承諾できないからである。相棒もそれ以上は登る意欲を無くしていたようなので、一人、壁を回収に懸垂下降することにする。先ほどの確保地点の更に下であったので、先ずはザイルを掛け替え二回目の懸垂下降とする。その地点から近い故にか振られやすく、作業環境は悪い。上から幾らやってもびくともしない。そこで諦め半分で、もう一歩降りてバランスを取って、下へと引いて向きを元へもどすと動き出した。容易に回収できたのだ。 下でこちらの作業を見守っていた後続パーティーのところまで降りると、下までザイルが届いていないかもしれないので、ということで、見落としていた確保地点にザイルを掛けなおして、三回目の懸垂下降とした。相棒には、直列確保法の目玉付のループを買わせることと、五月六月の研修への参加を要請した。このままでは到底長い壁などは登れない。確保地点での作業や確保、懸垂下降時の注意事項など全く勉強できていないのだ。今までのツケが廻ってきているのだが - 彼の最初の石切り場での事始の一人がヨセミテを登っているぐらいで、その他はビッグウォールの経験者はあまり居なかったからだろうか -、それと同時に登る技術と同様に、あまりに雑すぎるから最近は中間支点を回収することすら難しくなってきている。それだけこちらが頭を使った作業をしていると言うことなのだが、丁寧で確りしたスポーツクライミングが出来るようになるにはどうしても六級もしくは5.10を登れるだけの実力が欠かせないということではないか。雑なのは性格で、仕事でも何事でも同じで、今更それを変えることは出来ないだろうが、幾らかは留意させるようにしなければ全く経験を積み上げが期待できない。1 参照: とてもうきうきする気持ち 2014-03-30 | アウトドーア・環境 シーズン最後を飾るツアー 2013-10-27 | アウトドーア・環境 家族でクライミング初体験 (NEXT DREAM 記憶と記録)
by pfaelzerwein
| 2014-03-31 20:46
| アウトドーア・環境
|
Trackback
|
カテゴリ
全体 ワイン 暦 料理 試飲百景 アウトドーア・環境 雑感 文化一般 音 生活 女 歴史・時事 文学・思想 INDEX マスメディア批評 SNS・BLOG研究 テクニック その他アルコール ワールドカップ 数学・自然科学 未分類 BOOK MARK
Wein, Weib und Gesang -
ワイン、女 そして歌 ― 同名の本サイト 以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 フォロー中のブログ
生きる詩 「断想」 _sin... Rhymes Of An... やっとかめ どっとこむ 美術と自然と教育と 死して屍拾う者無し 小林恭子の英国メディア・... みなと横浜、音楽三昧 ベ... 現象学 便所の落書き 庭は夏の日ざかり Romantic Exp... BOSSの言霊 ラジカル 武士道!【投資... the Sky over... ベルリン中央駅 考える葦笛 デジタルタブローとは。 クララの森・少女愛惜 Weingau --- ... 我楽亭ハリト Warat... Yamyam町一丁目 風のたより 最新のコメント
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
スポーツクライミング
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所
レープホルツ醸造所
フォン・ブール醸造所
ペッヒシュタイン
ピノノワール
シュペートブルグンダー
石切り場
ダイデスハイム
シェーンレーバー醸造所
バッサーマン・ヨルダン醸造所
グレーフェンベルク
トレイルランニングシューズ
ランゲンモルゲン
緑の党
床屋
グランクリュ
ゼーガー醸造所
ビュルガーガルテン
レッドポイント
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||