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馬鹿続きのシーズン事始

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日曜日はシーズン開始だった。バーデン・バーデンのバッテルトである。最初に登った五つ星推薦のものは一部間違ったのが、全く盛り上がらずに簡単に登ってしまったので訳が分らなかった ― 下部を間違えたようでカンテを登っていなかった。技術的に難しさの尺度が変わってしまった感もある。

あまりに早く終わったので、予備のルートを登ろうとしたら、流石にそれらは家族連れなどで賑わっていて余地が無かった。そこで、当日二本目のメインの壁を懸垂下降して、先に登り切ってしまってから、再び戻ってこようということに為った。

そこで、ファラルケンヴァントに行き、当日二度目のトラブルとなった。先に懸垂するパーティーが初心者の女性の下降器の掛け方を確認して呉れといったのでみていたら ― その声を掛けた男がさっさと先に降りてしまったので、舟橋プロにネットで習った方法も教える暇も無かった ― 、相棒が出てきて色々と親切まがいなことをする。そもそも最低二回の懸垂でプルージックもしていない初心者に関わらない方が良いのである。先ずそれを相棒が理解していないのが問題なのだが、敢えて早めにその上の支点にザイルを掛けて下降の準備をする。そして壁の途中の確保地点でザイルを引っ張って試すと、上から「動く」と返事が来る。そこで相棒が降りてくるとどうしてザイルは全く動かないのである。恐らく相棒はそのテストの意味を殆ど理解していなかったかもしれない。

そこで上に居た者に手伝って貰うが、とても酷いお話にならない失敗である。まさしく、死亡事故へと繋がる致命的なミスなのだ。本人もそれを教訓と出来るかどうかわからないのがどうしようもないのだ。それどころか難しい場所で試してみた私が間違っていたように触れ歩く馬鹿さ加減である。そうした本当の岩登りの安全や危険を全く理解していない人が増えてきている感じがする。経験が未熟と言うよりも理解していないと言うのが正しい。

気を取り直すまでも無く、どんどんと御目当ての凹角を登り始めて、知らないうちに最初の確保地点とハーケンを見逃してしまったようだ。その上に確保地点があるのは知っていたので、更に登るのだがその分最初にかけたヘクセントリックに続いて可動式楔を一枚、岩角にアノーを、最後に変形楔を使った。少しでも不安があれば先に中間支点を差し込む習慣がついているのだが、登る技術的な向上もありそれほど苦労せずに差し込むことが出来たが、一箇所はそのお陰で、あまり指の掛かりの良くないところなども力を制御して登れた。そしてその最後の楔が問題となった、相棒がそこまで登ってくると、カラビナを持って下からなにかをしたあと、もう一息登り際に手前へと引き千切ろうとした。万事休すである。そうなると全く抜けなかったので、後続パーティーが居ることであり、更に登り続けた。

懸垂下降の確保地点まではラムペになっていてなにも掛けずに登ったが、そこで長い細引きと安全環付カラビナをかけて、回り込んでまた頂上に抜ける凹角に入ってもザイルが流れるようにしておく。容易なトラヴァースでも足元を見る先には真下が見えるのでいつも緊張する否な感じである。頭では落ちても振られるだけで全く安全確保システムには負担を掛けないと分っているのだが、どうしても本能と言うものは異なるようである。そこで直ぐに手がかりとして深い穴が見つかったので、米国製リンクカムの2をがっちりと押し込む。これだけでも止まることを認識するだけで大分身体の力が抜けるのだ。もしくはそのようでなければ今後とも眼界域の力を壁の中で出すことなどは出来ないものである。

結局後継者も相棒が引っ張った楔を回収してこなかったので、懸垂下降で降りることにする。「再購入すればよい」などとほざく相棒に承服できないのは、彼が引っ張ったのを見たことだけではなくて、本格的に加重されておらず、更に嵌め込んだ割れ目も動くようなものではないから、物理的に承諾できないからである。相棒もそれ以上は登る意欲を無くしていたようなので、一人、壁を回収に懸垂下降することにする。先ほどの確保地点の更に下であったので、先ずはザイルを掛け替え二回目の懸垂下降とする。その地点から近い故にか振られやすく、作業環境は悪い。上から幾らやってもびくともしない。そこで諦め半分で、もう一歩降りてバランスを取って、下へと引いて向きを元へもどすと動き出した。容易に回収できたのだ。

下でこちらの作業を見守っていた後続パーティーのところまで降りると、下までザイルが届いていないかもしれないので、ということで、見落としていた確保地点にザイルを掛けなおして、三回目の懸垂下降とした。相棒には、直列確保法の目玉付のループを買わせることと、五月六月の研修への参加を要請した。このままでは到底長い壁などは登れない。確保地点での作業や確保、懸垂下降時の注意事項など全く勉強できていないのだ。今までのツケが廻ってきているのだが - 彼の最初の石切り場での事始の一人がヨセミテを登っているぐらいで、その他はビッグウォールの経験者はあまり居なかったからだろうか -、それと同時に登る技術と同様に、あまりに雑すぎるから最近は中間支点を回収することすら難しくなってきている。それだけこちらが頭を使った作業をしていると言うことなのだが、丁寧で確りしたスポーツクライミングが出来るようになるにはどうしても六級もしくは5.10を登れるだけの実力が欠かせないということではないか。雑なのは性格で、仕事でも何事でも同じで、今更それを変えることは出来ないだろうが、幾らかは留意させるようにしなければ全く経験を積み上げが期待できない。1



参照:
とてもうきうきする気持ち 2014-03-30 | アウトドーア・環境
シーズン最後を飾るツアー 2013-10-27 | アウトドーア・環境
家族でクライミング初体験 (NEXT DREAM 記憶と記録)
by pfaelzerwein | 2014-03-31 20:46 | アウトドーア・環境 | Trackback
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