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音が鳴り響く環境の考査

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バーデン・バーデンの復活祭音楽祭のお陰で、また昨年のバイロイトのペトレンコ指揮の音楽を体験して、俄然オペラの音楽構造に興味が向かった。それは小澤征爾の言う「素晴らしい音楽の宝庫であるオペラ」とはまた違う意味合いもあるかもしれない。

興味の行く先は結局どこかというと、どうしても楽譜が必要になるのである。なるほど手元にはモーツァルトのオペラの総譜などはあるが、どうしても分厚くなって価格もはるのでなかなか買えなかったものである。最近は、著作権切れの楽譜は無料でダウンロードできるので問題がなくなったが、比較的新しい作品のそれは買わなければいけないので、なかなか入手できないのだ。それでもピアノ譜などはダウンロード出来たりするので助かる。

オペラの場合などは、特に奈落で管弦楽が演奏されるので、その多くは細部が聞き取れなかったり、所謂ルーティンの毎晩の仕事の中で可也いい加減な音化が一般化しており、要するに伴奏的なもしくは装飾的な演奏が常套化していることが多いとなると、どうしても楽譜で確認しなければいけなくなるのである。

オペラではないが、ベルリオーズの作品の楽譜をダウンロードしてタブレットで見るととても使いよい。何よりもPCのように雑音がないので、音盤を鳴らしながら指でページを捲る感じも使いよく、ざっと目を通すにはこれほど使いやすいものはない。こうしたものはとても便利になった。Pdfの一部を拡大するにもPCのように不都合はなく、タブレットの最大の強みと感じるほどである。

大分日にちが経ったが、アルテオパーで「マーラーサウンド」を体験したあとに、無料の演奏会があった。休憩後に席の移動を薦められたので、平土間の良い席へと移動した。アルテオパーであの辺りに座ったのはやはり同じように新しい音楽のフェスティヴァルの期間で、作曲家のスティーヴン・ライヒがプルトで音響調整するような一連のコンサートだった。

今回は旧SWF放送交響楽団が、ミクロトーン調律となっている六台のピアノと競演するものだ。実は四分音の試みで結局重ねると戻ってしまうという体験をしたことがあるので、その辺りに落ちがあると思って期待していなかったが、予想以上であった。つまり、四分音調律は一台で、二台は十二分音上下、二台は六分音上下、そして通常の調律と計六台になっていた。クラスター効果を求めた作曲であるが、2010年に最も成功した新曲ということで、なかなかオーバートーンの出方が微妙で、なるほどと思わせた。特に左手の可也低い打鍵でのそれがまるでロンドンかどこかの地下鉄駅で次の列車が迫るときの様な独特の暗黒音を発して、それに弦などの大管弦楽団が乗る効果は決してただのコロムブスの卵ではなかった。奇しくも、ブルックナーの第九交響曲の蒸気機関の大工場の騒音とこの地下鉄のそれが対応するぐらいの威力を感じさせるのだった。オーストリアの地下鉄は乗った覚えがないがこんな感じなのだろうか?

こうした響きがどこまでコンサートホールでも体験できるかが、こうしたコンサート形式が今後とも芸術的文化的な意味合いを持ち続けるかの鍵であり、サイモン・ラトルがミュンヘンのホール問題をして「コンサートホールが無い音楽の都」事情を「なるほどヘラクレスザールはバロックには向いているが」とした意味も分かるような気がする。



参照:
二十世紀を代表する交響曲 2015-03-24 | 音
苦労して獲得するもの 2015-03-30 | 音
やくざでぶよぶよの太もも 2014-07-29 | 音
by pfaelzerwein | 2015-03-31 23:16 | | Trackback
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