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広島訪問と米日関係のあや

オバマ大統領の広島訪問に関して、ミュンヘンの外交研究家が電話で答えていた。SWRの女性アナウンサーが質問する。広島訪問の両国での受け止めらられ方はどうかと、つまり米日の友好関係はこれでもって良くなるのかどうかとの問いである。それに対して、米国内には「侵略戦争を始めたのは日本であり、それを犠牲者を最も少なく早く終了させるためのベストな投下であった」とする当初からの説明の言明は今も通っており、一部強硬派は広島訪問に反対していると答える。

同様に日本においては、米国関係は終戦後に何よりも天皇を中心とする国体を温存することが最優先におかれて、そのことで米国との戦後の関係の基礎が築かれたことから、米日の友好を軸として、アジアにおける日本の戦争責任をうやむやにすると同時にその後の日本の立場を確保しており、その継続を外交の基本としている。それどころか、戦犯から公職復帰した岸首相を祖父に持つ現安倍首相の政治的な立場はまさにそこにあるとする。

こうした状況で、広島の被爆者たちは、広島における非人道的な事象がこうした政治的な道具にさせられることを問題としないかとの問いかけに対して、教授は「こうした外交上のことは全て多かれ少なかれ政治道具化されることである」と答えた。

先週末のレートナイトコンサートのことをまだ書いていなかった。結局大管弦楽演奏は二曲しかなかったのだが、2014年にドナウエッシンゲンで初演されたステーンアンデルセン作のピアノ協奏曲は面白かった。なによりもそのきまじめな拍節と二枚の鉄版での音響効果であり、視覚的にも音響的にもピアノとそれを模したもう一人のピアニストの映像がとても優れていた。その映像ピアニストのエキセントリックさは最終的にピアノを破壊することへと結びついていくのだ。ピアノ破壊自体は、フルクサス運動の前にもハリウッドの映像として存在していて、その意味からの歴史の継承と拍節の西洋音楽の継承が重なっている。こうした曲においては、もし日本人の作曲家ならば当然のことのごとく拍節感が無くなるように枠を外してしまうような創作をする筈だが、時代もその意思の明晰さも全く異なるのがこの曲である。兎に角、映像のピアノの超速のトリルや打鍵と、その合間に二度ほど会場に見せる顔が笑いを誘った。

内田光子のソナタ全集CDを購入した。モーツァルトのそれを買うなどは思ってもいなかったが、バーデン・バーデンでの協奏曲で彼女のピアノに感心していたら、五枚組で20ユーロ以下だったので「買い」と思って急いで飛びついた。彼女のリサイタルは恐らく知らないが ― ベルクのソナタを聞いたような聞かないような ―、 協奏曲では何回か聞いていても、今回のような確信を持つには至らなかった。上記の映像のピアニストではないが些かエキセントリックな面があって、特にモーツァルトでの演奏実践には疑問を感じていたからだ。そして今現在の演奏トレンドが、20世紀のそれとは違ってきていることから、こちらの聴覚のスペクトルにようやく収まってくるようになったのかもしれない。なぜ、まだ日本の文化勲章を貰っていないのだろうか?

今週も三回走れた。但し腰に違和感があり、若干控えた感じで運動不足で体重増加中である。外気温摂氏五度、Tシャツ、ショーツでは目立ち過ぎるが、流石に寒いが冬ほどではない。蹴りを意識して走り通せた。足が治って来て強さを感じると同時に蹴りを強くするように努力する。それでピッチが長くなり、速度が上がり、呼吸器に余裕が出来る筈だ。特に12分過ぎ辺りからも蹴りが弱まらないように努力していこう。左膝はまだ前回ではないが、大分体は柔らかくなってきた。



参照:
首を垂れないケリー長官 2016-04-14 | 歴史・時事
被害者意識からの覚醒 2015-08-07 | 歴史・時事
ジョンハーリンルート核心部 2016-04-01 | アウトドーア・環境
陰謀論を憚らない人々 2016-03-29 | 暦
シェフにお任せの斬新性 2016-04-15 | 文化一般
by pfaelzerwein | 2016-05-15 19:48 | 歴史・時事 | Trackback
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