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ゴーストバスター請負

美術館などに行くとどうしても新聞を読む時間がない。それでも、取りおいた頁には出来るだけ早めに目を通しておこうと努力する。

10日付けの新聞には、スカラ座でカルロス・クライバー指揮以後初めての新演出「トリスタン」初日の批評が載っていたが、シェロー演出バレンボイム指揮のそれよりも、同じ日に一面となっていたシュトックハウゼンの話題をここで扱った。四千オイロもするチケットに数人の大統領(緑の党のヨシュカ・フィッシャー元外相*を含む)を集めて、毛皮反対者などが玄関前に居並び、共産主義的な演出で上演されたようだ。

むしろそれより目を引いたのは、クリストフ・シュリンゲンジフの南米での活動である。サンパウロとブエノスアイレスをまたにかけて活動していたいようだ。

具体的なアニマトグラフと呼ばれるものは、本人のHPでの北方伝説を扱ったものやパルシファルのバイロイトでの演出で測る以外にはないが、いつものプロジェクターを使ったものなのだろう。何れにせよ、下町の交通の波のなかにゴーストバスターをと狙っていたようだから、その廻り舞台から幾らか想像出来る。

しかしそれに飽きたらず、ブエノスアイレスの工事中のコロン劇場を下見に行ったらしい。カルーソーやクライバー、シュトラウスやニルソン、カラスらの亡霊を払うためにそこでもゴーストバスターを目論んでいるようだ。そこの亡霊は甚だ性質が悪いに違いない。

こうしてゲーテインスティテュートの後援を受けて、世界のゴーストバスターを請け負っているが、東京に派遣されることはないだろう。そこの亡霊は、金で立ち退きも受け入れ、そもそも第二国立劇場は吹き飛ばされないように、初めから耐震構造で防火装置が完備している。



参照:
VIDEO-
サンパウロの「幽霊船」の演出風景。ひざまずき立ち上がるカメラワークが面白い。会場のインタヴューの緑のライティングは監督本人の演出指示とか。

ドイツで行動中にばあさんに瓶で殴られるゴーストバスター。

記事-
Fliegender Holländer im Berufsverkehr, Josef Oehrlein,
FAZ vom 14.12.07
Kennst du das Haus, wo die Juwelen blüh’n?, Julia Spinola,
FAZ vom 10.12.07
伝統という古着と素材の肌触り [ 文化一般 ] / 2004-12-03
デューラーの兎とボイスの兎 [ 文化一般 ] / 2004-12-03
不可逆な一度限りの決断 [ 女 ] / 2006-01-25
*更に振り返って見ると [ 歴史・時事 ] / 2005-10-09
豊かな闇に羽ばたく想像 [ 文化一般 ] / 2006-08-20
by pfaelzerwein | 2007-12-18 03:45 | 文化一般 | Trackback
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