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生理学的に完熟するとは

この時期になると各醸造所からの挨拶状が揃う。在庫整理のためにクリスマス商戦へと駆り立てるのである。待降節の第二祝日である。

2007年度は豊作であったので、まだまだ在庫はある。同時に既に樽に眠っている2008年度産の収穫情報が知らされる。偉大なヴィンテージではないが、良いヴィンテージとされている。生理学的完熟と健康な果実がキーワードで、それに気温の低さなどは良い酸を保障したようだ。また一部にはバイオデュナーミックスによる果実の年毎の安定度が主張されているが、それは落とした収穫量による抵抗力の増大と見るのが常識であろう。

買物の途上のラジオ番組は、特番で今年の新譜を紹介していたが、なんとも昔の録音など地味なお話でどうしようもない。今晩バーデン・バーデンでカラヤン賞授賞式に続いてジェノム協奏曲を弾くブレンデルや、どこかで展示会が開催されたケムプなどのドイツ系のピアニストに対して、キーシンやリヒテルを代表するようなロシア流派を「音楽に対峙するのではなく楽器に対峙する音楽家」と位置付けていた ― そのモスクワでブレンデルが最後まで迎えられて演奏活動を続けていたのも興味深い。それではポリーニやミケランジェロのイタリア派?などは何処にと語弊はあるかも知れないが、謂わんとせんことは分かるだろう。ニルソンの歌う若いビュルンヒルデのコヴェントガーデンのライヴ録音などがビューニック女史やシュライバー氏らの面々によって推薦されたり俎上に載っていた。それらに比べるとワインは断然活き活きとしてやはり生きている。

なにはともあれ、昨年11月にはその前年2006年度の不作から既に商品が出ていた事を考えれば、2008年度産が出るのは遅いと言われており尚且つまだまだ2007年産の在庫があるので、ゆっくりと2008年度産が熟成されるのが楽しみである。

同時に2007年度産の一部は今頃になって進化を示しているものも少なくなく、上手く出来たものだと感心しつつ、まだまだ2007年度産を追う気分が残っている。

本日は、今年の2月にベルクシュトラーセで買い付けた2006年度産のシュタインコップシュペートレーゼというのを開けてみる。
by pfaelzerwein | 2008-12-07 03:02 | | Trackback
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