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新社会市場主義経済構想

新社会市場主義経済構想_d0127795_14114974.jpg週末に動いて最も晴れ晴れしい顔をしているのはホルスト・ゼーホファーキリスト教社会同盟党首である。党内ライヴァルのミヒャエル・グロース経済相が辞任して、そのあとに前任者と同じフランケン地方のそれも37歳のカール・テオドール・フライヘル・フォン・ウント・ツ・グッテンベルクを推挙すると同時に他にも若手陣を抜擢して、五十代以上の古株のバイエルンの親仁達を駆逐してしまった。総選挙の結果次第ではまだどんでん返しが起り得るが、七割を遥かに越える大方の国民が若返りと新グッテンベルク経済相の就任を歓迎している。

ツ・グッテンベルクは、ここでは既にお馴染みであるが、ダイデスハイムのフォン・ブール醸造所の先のオーナーであり音楽ファンには高名なカール・リヒターの後釜となった指揮者イーノックの子息である。惜しむらくは、親父さんが音楽趣味の管弦楽団のために醸造所を売ってしまった事で、文化的なプラスマイナスは言わずもがななのである。

奥さんはビスマルク侯爵夫人であり、イーノックのお城つまりその生家はなかなか立派な本物の城であることから、就任後のベルリンの広い執務室などなんてことは無いと言われている。。ツ・グッテンベルク伯家は、十世紀中盤へと遡る名門であり、最近ではヒットラーへのレジスタンスで1945年に処刑されたカール・ルートヴィッヒトレチュコフにも荷担したハンス・フォン・ドホナーニ一派として有名であり、1966年には同姓同名の祖父が大連立内閣を画策して国務大臣として君臨した。名門として戦後バイエルンのキリスト教社会同盟の設立者であり、医療法人経営の傍らこの地方政党の経済的な後押しを続けている。

醸造所は十億円程度の売値であったようだが、将来の首相が名門ワイン醸造所を所持しているような優雅さが欲しかったのだが残念である。もちろん、外交軍事から専門外への起用であり、素人の総選挙までの繋ぎ任命であり、「ミュンヘンからの遠隔操作」と各与野党の退陣劇への批判は強いが、新経済相は直にバイエルンの銀行やタイヤのコンチネンタル社を乗っ取った車部品会社シェーフラーへの公的資金援助の問題などは直ぐに決断を迫られている。

総選挙を睨みながら遺産相続問題や減税などで独自色を出してアンゲラ・メルケルの大連合を中から揺さぶり続けてきたバイエルンのキリスト教社会主義政党が更に進めて行くのは、新社会市場主義経済構想である。新経済相は、この第三の道をして「資本主義と社会主義の中間物では決してなく、独自の価値を持つもの」として、尚且つ「行政の不必要な干渉」を諌めているので、懸案の判断にも期待ができる。

グロース経済相は、ミュンヘンから首相に圧力を掛けるようにライヴァルであり政治家として後輩の「トラック運転手の倅」から指令を受けていたようだが、経済省内の掌握も十分でなかった上に、アンゲラ・メルクルの手下となってしまっていた事から、社会民主党のシュタインブリュック財務大臣の影に隠れた政策しか打ち出せなかったと言われ、幼くして亡くした父親の十分な財産を受け継いだこの政治家も写真で見せる病的な老けた顔でライヴァルに弾き出されてしまったようである。



参照:
週末に働いていた人たち 2009-02-10 | 歴史・時事
リースリングに現を抜かす 2006-01-23 | ワイン
まだ言論の自由がある? 2006-02-17 | BLOG研究
ワイン三昧 四話2007年 2007-10-10 | ワイン
by pfaelzerwein | 2009-02-11 02:56 | 歴史・時事 | Trackback
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