カテゴリ:試飲百景( 135 )

2015年産のお見事な出来

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二年ぶりのザール行だった。昨年は急遽取り止めになったからである。そして、2015年産のリースリングは、ナーヘだけでなくザールでも偉大な年になっていたことを再確認した。大成果である。他のより日照時間の長い地域に比較すれば2015年陽射しがとても効果があって、乾燥した長い秋が功を奏したのは明らかだった。

なるほどより容易に楽しめる2016年産に比較すると明らかに力が均衡しているのは他の地域とも変わらないが、既に大物ぶりの偉大さを示しているのを確認した。

ファン・フォルクセム醸造所のグローセスゲヴェックス「シャルツホーフベルク・ペルゲンツクノップ」を初めて試した。2015年は購入したがその出来は分からなかったが、これで確信した。恐らく今までのザールリースリングの中でもトップクラスの出来だと確信した。

あのくゆるほどのスモーキーさと均衡する酸が後に伸びる余韻は、今まで知る最高級グランクリュ、キルヘンシュテュック、ペッヒシュタインやグラーフェンベルクなどの特徴を超えていた。そもそもシャルツホーフベルクはエゴンミュラー醸造所によって甘口としてその存在は知られていたのでそのテロワーに関しては懐疑の方が強かった。しかしこれが示しているのは間違いなくドイツ有数のテロワーであるのだ。お見事な出来というしかほかに言葉が見つからなかった。



参照:
これもリースリングの神髄 2016-01-06 | ワイン
苦み走るようでなければ 2017-02-13 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2017-05-19 22:40 | 試飲百景 | Trackback

ドイツを代表する花崗岩のワイン

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デュルバッハ訪問は二十数年ぶりだった。片道150キロほどでそれほど遠くはないのだが機会がなかった。高速道路から少し離れていて、谷の奥が行き止まりのような場所であるからだ。何よりも、その土壌が綺麗に反映するリースリングは当時はなかった。

VDPのテロワーを重視する方針から、今回は期待した。なぜならばドイツではほとんどない花崗岩土壌であるからだ。それでも多くの人は未だにバーデンのワインは、その高温の気候やカイザーステユールの火山性土壌から、ブルグンダー種の地域だとか酸が効いていないとか一面的で間違った迷信を信じている。勿論バーデン地方では昔から最高のリースリングはデュルバッハと決まっていた。

さて期待に応えたか?これはVDPの成果と言えよう。これならばもはやコルマールのそれを珍重する必要などは毛頭なくなった。今回訪れたアンドレアス・ライブレ醸造所で、2016年グーツリースリングと樽試飲として「シュタインレッセル」、2015年グローセスゲヴェックス「アムビュール」を試した。それで充分だった。

グーツリースリングでこれほどまでにミネラルを感じさせてもらえれば文句は無い。買えて楽しめるリースリングだ。そしてラーゲンヴァインは更に凝縮される。グローセスゲヴェックスは、2015年の弱い酸ゆえに既に楽しめる。そのミネラルは格別だった。

「アルテレーベン」らとは比較にならないような樹齢とクリスタル成分を含む花崗岩に根を伸ばしたミネラルは喜びである ― 花崗岩岩壁を登るクライマーには分かってもらえるだろうか。一体どこの誰がバーデンのワインは酸が弱いなどといったのだろうか?これ程のシャープさは雑食砂岩土壌のリースリングと並ぶリースリング愛好の渇望の的でしかない ― 細かに拾う手掛かりに刺さる結晶や足掛かりのような研ぎ澄まされたあの感覚である。

幸いなことに2017年産の霜被害も三割方の減産に終わりそうで、これまた期待が出来る。バーデンバーデンから30分ほどで買い付けに走れるので、ぜひ次の機会を活かしたいと思った。

醸造法はステンレスを使った単純なものだが、炭酸なども綺麗に落ちていてとても落ち着いたワインだった。しかし赤はもう一つな作りで、これは仕方ないと思った。


参照:
フランススーパー売りのワイン 2012-10-09 | ワイン
人類の将来の進展のために 2012-12-02 | アウトドーア・環境
体が焼けそうな花崗岩 2014-10-20 | アウトドーア・環境
黒い森の花崗岩を吟味 2014-10-07 | アウトドーア・環境
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by pfaelzerwein | 2017-05-19 22:34 | 試飲百景 | Trackback

まろみが嬉しい自然な呼吸

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樽試飲会を回った。結局二件しか行けなかった。一件目のVDP会長クリストマン醸造所で蔵見学までして時間が掛かってしまったからである。ミュラーカトワール醸造所には行けなかった。それはそれで仕方がない。飲み代が無かったので2015年ビュルガーガルテンでも買い足ししようかと思ったからである。しかし結果的には2015年を購入するぐらいなら2016年の方が価値があると思った。

2015年のリースリングはやはり分厚過ぎてエレガントさに欠ける。なるほどザールなどではバランスが取れていたが、ラインガウなどではバランスが良くない。ナーヘの2015年もエレガントさからは遠い。リースリング好きにはあまり喜ばれない年度であろう。それに引き換え2016年のそれは凝縮度も高く、繊細さに欠けない。2014年は丁度その中間ぐらいだろうか。だから2013年よりも良さそうだ。2001年のようになるとは思わないが期待したい。2014年産もまだ市場には十二分にあり、2015年産よりも2016年産へとリゾースを集中させようかと思う。要するに2015年は赤の年で白の年ではなかった。

だから、クルストマンの2015年グーツリーングを試すがとても分厚くて話にならなかった。ギメルディンゲンなども雑味があってどうしよもない。それに比べると樽試飲の2016年の清楚なことは感動させるに足る。蔵見学で、ビオデュナミに関して農薬関連のことも重金属とケミカルも話題になっていたが、個人的には酵素と称して結局は発酵に足りなう分は補われることなどは原理主義者の醸造所の方法として興味深かった。更に興味深かったのは、手摘みの代わりに機械を使ってセレクションする方法に関してである。手摘みの場合は経験者の摘み取り手の采配が最も重要となるが、摘み取ってから下から光を当てて工場でやるようにアウスレーゼすることでより効果的に仕事ができるという説明で、今までは赤ワインでの選定作業として写真などで見ていたものの説明である。

この方法の欠点は機械で摘み取ることの傷みであろうか。バッサーマンヨルダン醸造所のウンゲホイヤーのような量があればセレクションするのも不可能となるが、傷みが激しくて収穫量が少ない時に機械で痛んだものも一緒に運び込むのもとても不経済である。結局は摘み取りの人出が集まらないということに尽きるのだろうか。

シュペートブルグンダーはお目当ての2015年はなかったが、2014年は予想以上に悪くはなかった。あの年はバイロイト詣でをしたので記憶にある。涼しい夏だった。そして熟成を待たなければいけなかった夏だったのだ。それでも2012年よりも色もあり、濃くもあるようだ。そして2013年のオェルベルクは今すぐにでも飲める状態になっていた。これは直ぐ祝い事にでも使える。寝かして楽しむ気は到底起こさせないが、2013年の特徴である薬草臭が嬉しい。

そしてここのシュペートブルグンダーがお得なのは、ゼーガー醸造所のピノノワールのベーシックと異なり100%木樽で熟成させていることである。2014年のシュペートブルグンダーを二本購入した。グローセスゲヴェックスでは50%の新樽なので、これは古いものになっているがそれでも自然な酸化をしたものはやはりまろみがある。

二件目は帰りにモスバッハ醸造所に立ち寄った。2016年産に関わらず下位のワインがなぜここまで甘くなるのかは分析値を教えてもらっても分からない。そして上位のものもミネラル風味からはほど遠い。それでも2012年シュペートブルグンダーを賞味させて貰った。2013年をまだ寝かしてあるのでとても参考になった。色は薄くて致し方が無いがまだまだ新鮮に繊細さを楽しめた。これならば2013年はまだまだ寝かせても大丈夫だと思った。

両醸造所とも先代と話すこともできたが、前者でもその年齢が気になっていたが元気そうで、奥さんを連れて車で買い物に出かけた。流石に年老いてから家庭を持つだけ若い。奥さんの方が大分若い筈だが旦那の方が元気そうだ。後者の「ジムフェルプス君」ことピーター・グレーブスは今しがたアンダルシアから帰宅して、疲れたので一杯飲もうと出てきたということだった。ゴルフ三昧で歩き通だったということで、帰宅日はワイン街道の方が温かかったとご満悦だった。



参照:
原発警備強化の物的根拠 2016-03-26 | ワイン
第二回ユングヴァイン試飲会 2016-03-10 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2017-03-05 18:57 | 試飲百景 | Trackback

12本選択するとすれば

秋晴れの気持ちよい試飲日和だった。例年ならばこれほど気温は低くないので、陽射しが丁度気持ちよかった。ラインの渡しでも例年とは異なる快適さがあった。ラインガウの湿り気も感じることなく、キードリッヒへと車を進めた。車を町に向けるとグレーフェンベルクの斜面が大きく剥ぎ取られて茶色に輝いていた。植え替えである。目指すロベルト・ヴァイル醸造所だけでなく近辺の地所と一緒に土壌改良へと動いたという事だ。グランクリュの15%ほどがそこに含まれている。今までの葡萄は40年ものだったようで、まだまだ上質の土壌を準備したものではさらさらなかったであろう。それどころか十二分に化学肥料などを沁み込ませていたに違いない。そのことは話さなかったが、ビオデュナミなどの素材などの話に及んだ。要するにラインガウでもそろそろビオヴァインでなければ勝負にならなくなってきているに違いない。

先ずは、グーツリースリングを試す。予想に反してミネラル風味があって清涼感がある。逆に言うと例年の酸が表に立たずに引っ込んでいるという事である。案の定、酸と糖が8g程度と半辛口仕立てになっているのである。そして階級が上がるにしたがって辛口へとその内容量が変わって来る。同じような傾向でオルツリースリングのキードリッヒも、予想していたように暑い夏の2015年にしてみると、それほど重くはないのである。アルコール12.5%であるから丁度良いぐらいである。そして酸もミネラルも明らかになって来る。

その次が黄土層のクロスターベルクである。これは流石に粉っぽいミネラルで、リースリング好きにはまるでラインヘッセンのようで若干げんなりする。それでもそれほど悪いとも思わなかったが、繰り返して試すことはなかった。そしてお目当てのテュルムベルクである。これはグラーフェンベルクの上部にあり、勿論風通しもよく気温などの点で暑い夏には有利である。前回このリースリングが良かったのは2009年産だった。傾向は似ているかもしれない。

そしてグローセスゲヴェックスのグレーフェンベルクである。これまた想定外の柔らかさである。例年ならばもう少し硬質で二年ぐらいは寝かしておかないと飲めないものである。要するに木樽による酸化で熟れ過ぎているような印象を受ける。それ故に期待されるミネラルの強さは感じられない。今年は前予約をしていないので無理して買わなくてよかったのだが、現時点ではリースリング好きには物足りなさを感じさせた。要するに柔らか過ぎる。

今年からは試飲会は一人12本を購入して初めて無料となるので、12本を選ぶ。先ずはキードリッヒかグーツリースリングかとなるが、六本買うならば前者で決まりだ。後者は飲み頃で飲みやすいが六本も開けているうちに飽きが来るだろう。そしてしばらくすると甘さが勝ってくるかもしれない。そして価格も割高である。もう六本は最もミネラルが確りしていて、例年ならば酸が充分にこなれていないテュルムベルクでいいだろう。安くはないが、今年の一本となるならこれだろう。その証拠にお替りを貰う常連さんもこの辺りに集まる。勿論飲みやすさではグレーフェンベルクなのだが、それは味が現時点で開いているということでは決してない ― もしそのようなことなら二年後には駄目になる。

その他で印象に残ったのはやはり甘口テュルムベルクのシュペートレーゼで、これも甘口グレーフェンベルクよりも酸が効いていて良かった。その他ではシャルタを試したが、苔臭いような感じで明らかに健康に熟成した葡萄というのからは遠い感じだった。若摘みだろうか。その他は試す価値もなさそうで、常連さんの人気も全く無かった。



参照:
ヴィルヘルム・ヴァイルのワイン 2010-09-05 | 試飲百景
素晴らしい投資相応の価格 2012-09-11 | 試飲百景
ラインガウへの途上で 2015-09-27 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2016-09-25 19:27 | 試飲百景 | Trackback

検問逃れの試飲会帰り

眠い、連日の疲れが取れていないようだ。そこに通常より少し超えたアルコールが入っただけで、分解能力が追い付かなかったようだ。まるで二日酔いの朝のような寝起きなのだが、それほど飲んでいる訳でもなく、夕食が遅くなったことぐらいだ。それでもムズムズする。どうも最近はあまり飲まない体質になったようで、以前ならば飲んでいるうちにスイッチが入って、止まらなくなってしまうというものだ。このようなことは無くなって、その前に感覚が鈍ったようなところでブレーキが入るようになって来た。理由は分からないが、飲酒運転の規制が厳しくなってきたので、少なくとも感覚が麻痺してくるような時点で自然に止めるような習性が身についてしまったのだろう。昔一緒に飲酒していて同じようなことを語っていた女性が居たように記憶するが、それが誰だったかは定かではないが恐らく学者だったと思う。なるほど感覚が鈍るような麻痺状態になると一種の不安に陥ってしまうというのは最近よく分かる。

試飲会に出かけるのに車を走らせると、バイパスの乗降口ごとにパトカーが停車していて、いつでも検問を始めれるような態勢だった。ヴルストマルクトでこのようなことはなかったので、流石に驚いた。飲酒運転規制か、テロ防止かは一向に分からないが、調べてみるとやはりテロ防止対策だったらしい。それでも帰り道つまり会場から離れる方向へは怪しい運転は止められると思い、帰り道を考えておいた。

先ずはいつものように発注したグローセスゲヴェックスを引き取りにデーノッフ醸造所に出向くが、少し17時を回ってしまって、態々自宅から出てきてもらうことになった。その妹さんに話を聞くと、雨量もそれほどではなく天気予報の様に晴天が続くと可成り健康な葡萄でよい年度になりそうだという事だった。何とか無事にワインを受け取り、お目当てのシェーンレーバー醸造所に向かう。

今回は自宅増築のこともあるのか、地下ではなく上での試飲だった。買い付け葡萄ものの「ナーヘリースリング」は特徴的なアルコール臭さと言うか如何にも造り込んだ不自然な味筋で、グーツリースリングの方も2015年特有の味の強さが感じられて興醒めだ。昔はそれでも食中酒として楽しんでいたのだが、もうこの手の酒は要らなくなった。同じような傾向はあっても流石に「ミネラール」は甘みを上手に効かしてミネラルと酸とのバランスが取れている。そして、「ハルガンツ」と比較すると、今度は逆にその雑味などに物足りなさを感じた。そして今年から初めてフリューリングスプレッツヘン産が「フリュータウ」と名付けられていた。全く同じものであるがあの長めの名前が無いと有難味が薄れる。勿論それはVDPの御意向である「グランクリュの名前はグローセスゲヴェックスとしてしか名乗れない」という方針に従っただけに過ぎない。そのお蔭かフリューリングスプレッツヘンは試飲は出来たが業者に全てが買いつくされてしまっていた。

さて、その「フリューリングスプレッツヘン」と「ハレンベルク」を比較する。毎年出来不出来があるが、今年は「ハレンベルク」でも悪くはないと感じた。理由は明らかで充分に味が強いので、態々雑味感の広がりまでは待つ必要が無いと思ったからだ。その点、オークション物の「アウフデアライ」は地所も冷却があって土壌の砂利が多く、涼しいリースリングとして秀逸だった。要するに高級リースリングなのだ。これならば充分にグレーフェンベルクなどと比較可能である。

そして古い年度の「ハレンベルク」、つまり2014年、2013年の「ハルガンツ」と2011年、2008年、2007年の六種類の同じワインを垂直試飲する。2014年は秀逸で、2013年は蜂蜜香、2011年は例の過熟性が厳しい。2008年もそれほど広がることが無く悪くはないが、個人的には2007年が好みである。若旦那に言わせると2007年は部分的にはそれほど良い年ではなくて、2013年と比較するが、あの独特のスマート感がいいのだ。

結局2015年産に関しては結構寝かせるワインである一方、つまりグローセスゲヴェックスで数年、「フリュータウ」でもまだ開かれていないのでもう少し置いておきたいという事になった。結局、高級リースリングばかり飲むとなると、溜めとかないと駄目なので、幾らあっても飲み干してしまうようなことではいつも在庫が足りなくなるのである。

帰りには、バイパスをバイパスする道に入った。以前はマンハイム方面に出かける通勤道路だったところで馴染みがあるのだが、なぜか賑やかだった。多くの人が同じことを考えたようで、その道を通って、ダイデスハイム方面へも車が流れていた。皆が検問を避けて車を走らせていたのだった。



参照:
土産になる高品質甘口ワイン 2016-05-30 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2016-09-10 18:11 | 試飲百景 | Trackback

土産になる高品質甘口ワイン

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週末には予定ではいけなかった試飲会に出かけた。丁度日本からのお客さんもいて価値があった。それでもなによりも価値があったのは昨年より今年の方がナーヘのデーノッフ醸造所がVDPのテロワールを強く押し出しようになったことを確認したことである。

今まではグローセスゲヴェックスの三種類の地所と土壌は光っていたのだが、それ以下の地所では充分にプレゼンテーションが出来ていなかった。これを明白にすることで、テロワーの描き方に以上に配慮することになる。

正直、グローセスゲヴェックスに比較するとそれ以外の地所では魅力が薄過ぎるので、2014年産などはグランクリュ以外は一本も買えなかった。しかし2015年は違う。それでも、甘口のブリュッケなどを除く、カーレンベルク、ホェーレンプァートなどは今後ものになるかどうかは分からない。可能性あるのは、土壌の組成によるシリーズ化か、ナーヘリースリングなどの広域化だろうか?

その中で二週間前にホッホハイムで試飲した時には酸が足りないと思ったトーンシーファーが素晴らしかった。なるほど酸は足りないが葡萄の熟成度と清潔さが気に入った。少々酸が薄くとも食事に楽しめるだろう。ライステンベルクの炭素分の多い灰色のスレートが美味い。

グランクリュでは、フェルツェンテュルムヘンはグーツリースリングのようにイガイガ感があって、如何にも果実の健康に問題を感じた。その意味では昨年の綺麗さが無かったのもヘルマンスホェーレも長く熟成させる価値はなかった。その意味からはデルヒェンは清潔感があり瓶熟成が楽しみだ。

そしてとても興味深かったのはこの醸造所を超一流にする甘口のリースリングである。適当に何種類か試してみた。昨年試飲して、所謂昨今流行の甘口もしくは殆ど飲まれない甘口の中でもある程度の国内市場もある軽い甘口がとても上手に造っていたのに感心した。軽快ではあるのだが土壌感やミネラルなどテロワーが表現されていたからだ。

その流れでアイスヴァインなどで有名なブリュッケやラーゲンヴァインを試して、アウスレーゼなどを試して、断トツに素晴らしかったのはヘルマンスホェーレ2015年のシュペートレーゼだった。価格もアウスレーゼなどよりは高価な27.50ユーロだったが、これは見事にそのテロワーが楽しめる。甘さよりもミネラルを感じる甘口である。

要するに昨今流行のそれほど甘くなく軽いアルコールの甘口もそれだけならば清涼飲料水と変わらなくカロリーばかり高くて、コーラよりは健康的かもしれないが、アルコールが入っているだけキッチンドリンカーになりやすい。

そうした炭酸飲料類のものとは全く対極にあるのがこの甘口で、これならば食事によれば合わせるかもしれなく、決して甘いとは思わせない味わいが楽しめるのだ。勿論単体としても食前酒としても食後のデザートワインとしても楽しめる。そして何よりもミネラルを吟味して、香りなどを楽しむことで、本格的なリースリングを嗜む切っ掛けにもなるようなものだ。エゴンミュラーのシャルツホフベルクなどよりも土壌も明らかに優れている。女性三人もいる家庭へのお土産には文句無しだ。通常瓶も直ぐに空いてしまうだろう。



参照:
石橋を叩いての樽試飲 2015-06-08 | 試飲百景
これもリースリングの神髄 2016-01-06 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2016-05-30 18:06 | 試飲百景 | Trackback

聖霊降臨祭明けの再訪

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聖霊降臨祭に続いて、予定通り火曜日もミュラー・カトワール醸造所に試飲に出かけた。やはりなかなか面白いという感じだ。理由は、程度の高い2014年産が余っていて、試飲出来るからだ。試飲出来る機会を逃さないことは経験の積み上げにとても重要である。

2015年に関してはどこも苦労している。正直2014年以上には期待できないと思っている。しかし、一年前は青白くとも薬草風のスパイシーな2013年産が良いと思っていた。傾向としてはしり上がりに分厚いワインになってきている。その意味からも2014年産はそんなに悪くないと気がついた。少なくとも当初から予想されたように時間が経つことが要求された年度で、今ものによっては初めて真価を表しているものもある。

その代表格が2014年オルツリースリング「ハールト」であり、酸が引っ込んだ感じがするのは結構なミネラルがあるからで、それによって感じる苦味的なものはミネラルである。正直二三年前まではあまり評価していなかったのだが、ラーゲンヴァイン「ビュルガーガルテン」の小ぶりなものとしてその価格12ユーロでとても楽しめる。若干通向きなのだが、食事にはとても合わせやすい。

勿論試飲会で出されたツナの刺身と海藻の胡麻和えには、2014年ヘーレンレッテンのグラウブルグンダーが格別だったが、こちらは価格18ユーロとあまり瓶熟成を期待できないピノグリには若干高価である。同じヘーレンレッテンからの2014年のリースリングも華やかさがあり、酸も効いていて良いのだが、好みは石灰質のリースリングに関する見解で分かれるだろう。決して悪くはないのだが、18ユーロを個人的には石灰質リースリングには投資出来ない。瓶熟成の可能性があまり無いからである。

他のブルグンダー種に関しては充分に残糖を抑えてはいるのだが、特別な魅力はなかった。ビュルガーガルテンに関しては2015年はやはり2014年の魅力はなかった。レープホルツが苦労しているのと同じような状況がここにもあった。

面白かったのはフランツェン親方と話していて、リースリングの瓶熟成の局面の話が出てきたことで、所謂谷と山議論である。勿論サイン波のように綺麗にはなっていない。そこが面白いところであるが、彼に言わせると、ビュルガ―ガルテンで落ちてきて、ガールトで上っているということは次にビュルガーガルテンが上ることを指している。この辺りの感覚は造る方にも愛好者にも重要な時間軸での思考である。

それが、ブリュクリン・ヴォルフ醸造所では、2015年グーツリースリングを完全辛口に発酵させて、つまり残糖値を4gほどにして、重量感を避けた賢明な醸造が行われていた。これならばレープホルツ醸造所の「オェコノミラート」とまではいかないが、結構楽しめるワインになっていた。そして2014年産のオルツリースリングが今漸く真価を発揮しだしてきた。グローセスゲヴェックスは50ユーロ以下では入手困難になって来た今、そのテロワーを楽しみつつ、瓶熟成を期待できる20ユーロ以下のリースリング、これは貴重なのである。同価格帯のロベルト・ヴァイル醸造所のキードリッヒとは比較にならない品質である。



参照:
最後のグレーフェンベルク 2016-02-21 | ワイン
三つの醸造所を比較する 2014-11-04 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2016-05-18 03:54 | 試飲百景 | Trackback

全然飲み飽きないワイン

金曜日にレープホルツ醸造所に向かった。翌日はフライブルクに行かなければならなかったからだ。いつものように裏口から入ると静まり返っていた。挨拶してどうしたことかと思っていると、試飲の瓶はいつもと違うところに並べられていた。理由は試飲本数が18本しかなかったからと分かった。収穫量の問題があったのだろう。

リースリングから始めてみる。予想通り酸の効き方が弱いのか苦味がいつもよりも強い。それでも問題のある苦みではなく、酸が弱いことのアンバランスである。個人的には酸が弱いと苦味を感じやすいので、酸が効いてくれているのに安心して、リースリングしか飲まないのだが、少しバランスが変わるとブルグンダーのようになってしまう。

それでも「オェコノミラート」から「フォムブントザントシュタイン」となっていくとバランスが良くなって来る。どうしても糖を落としたリースリングであると酸が効いていないと物足りない。我家のスタンダードリースリングである「オェコノミラート」単体で試飲会で美味しいと思ったことはないのだが、これが丁度食事時となると止まらないのである ― これをVDP支部長のレープホルツ氏は「全然飲み飽きない」ワインと呼ぶ。

例年ならば酸が強すぎると感じて、それに拮抗する深浸けの味とミネラルを楽しむリースリングであるが、2015年産に関してはバランスが若干異なるということだ。それでも2015年の酸は2003年に比較するようなものではないということである。その代り、若干甘みを感じるムスカテラー、青いソーヴィニオンブラン、苦味のゲヴルツトラミナー、グラウブルグンダー、そしてヴィスブルグンダーなどはそれどころかヴァニラの味がする。

さて恒例の講話である。2010年ロゼのゼクトから始まる。60ヶ月の熟成を経てのゼクト化である。肌理もそこそこで悪くはなかった。これと2015年ブランデュブランの比較、1990年の単純なリースリングと2015年のオェコノミラートと、1990年を一つの比較対象としている。要するに2015年の酸はそれほど悪くはないということである。2009年フォムロートリーゲンデンと2015年との比較でも、2009年よりは質が違うのだ。2012年ムスカテラーと2015年との比較、2012年ヴァイスブルグンダーと2015年の比較、そして2013年産シュペートブルグンダーで締めた。

ご本人にも褒めたが、こちらが最初の試飲で気になっていたことを全て答える感じで比較対象試飲が講話として行われて素晴らしかった。これで個人的にも我がスタンダードワインを今年はどれぐらい楽しめるだろうかという疑問を解いてくれた。2015年の成果として、加糖には一切関係してこなかったレープホルツ醸造所が自信を持ってアルコール11.5%の超辛口を提供しているのである。



参照:
素晴らしい変わり者の味 2014-06-02 | 試飲百景
忙しかった週末を回想 2013-05-14 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2016-05-09 16:24 | 試飲百景 | Trackback

ホッホハイムで初試飲会

初めての試飲会だった。ラインガウ入り口のキュンストラー醸造所は一度試飲したことがあるがそこでの試飲会は初めてだった。お隣のヴェルナー醸造所の関係で土地には馴染みがあるんだが、昨年デーノッフ醸造所の試飲会でゲストで来ていたキュンストラー醸造所の親仁に出会ってから案内を貰っていて、今年はその試飲会の方へはいけないので、こちらを訪問した。デーンノッフ醸造所の方はお母さんが来ていて、若旦那とは会えなかった。こちらは仕切り直しとした。それでも2015年産は期待していたほどではなく、酸が弱い分若干ス暈け気味で若干ミネラル由縁の苦味が出ていた。やはりここの持ち味は甘口とグローセスゲヴェックスにあると改めて確認した。辛口はシェーンレーバー醸造所の方が明らかに上だ。

さて、キュンストラー醸造所の方は、グーツリースリングから試した。悪くはないが、9ユーロ90であるから、当然といえば当然で過激な競争の中で頭角を現すものではなかった。次のヘレンベルクは心理的に良いぐらいだろうか?しかし流石にキルヘンシュチュックになると明らかにテロワー感があり、お隣のヴェルナーで慣れ親しんだものである。若干重めのねっとり感と果実の皮の風味は本格的なホッホハイマーである。それに比べてヘーレの方は、華やかで、かんきつ類やオレンジの風味であり、如何にもこの醸造所が売りにしてきた傾向である。

それに比較するとルューデスハイムのローゼネックはお馴染みの梨系の風味で明らかな土壌に違いを感じさせる。ホッホハイムの土壌は基本は石灰であるのだが、なぜかここのものは嫌味が少ない。理由は分からないのだが、マイン河がラインに流れ込むところの斜面で深く抉られた下の斜面つまりマインの右岸であることが特徴的な土壌としているのだろう。そのような理由で英国でもホックと呼ばれてビクトリア女王が崖下に地所を持っていたように、リースリングも決して悪くはないのである。

そこで、ラーゲンヴァインのシュティールヴェークのアルテレーベンを試す。これは収穫量が少ないのか酸と糖を均衡させているような濃い造りで、些か個々の醸造所の売りからは遠い。お待ちかねのドムデカナイは流石に透明感のあるミネラル感が嬉しい。しかし昨年買えなかった2014年物と比べると渋味もあり感動しない。そこで幸運にもあった2014年物を試すと明らかに繊細で美しい。アルコールで1%も異なり、13.5%は上げ過ぎだが、それが2015年の特徴だということだ。要するに皆が期待するほどに2015年は素晴らしいとはならない。

2012年産や2013年産が売れ残っていて、試すと明らかにビッショッフベルク、ドラッヘンシュタインなどリュ―デスハイム物はミネラル成分が山椒や胡椒などあまり上品ではない。この周辺の土壌はミッテルラインなどに通じるところが少なくない。初心者には面白いかもしれないが、リースリング通を唸らせることはない。

ここでグローセスゲヴェックスへと向かうと、2012年から2014年までが様々残っていた。そして何よりも興味深いと親仁に言ったのは、コルク栓とスクリュ―の二種類を出していることである。顧客の中にはスクリューに感動している者もいたがどうも辛口の瓶熟成を知らないようだった。恐らくドイツでもそれが分かっている者は少数エリートのようだ。勿論コルクでないと、木樽熟成でないと五年の熟成は期待できない。この醸造所は木樽を使っているが、コルクを使っていなかったり、まだまだ収穫量を落とした葡萄の扱いになれていなかったりとVDPの中でも上位の基準をクリアーできていない。そこに天然酵母、更に天然酵母の扱いなどとピラミッドの頂点へと基準が増えて空気が薄くなっていくのである。案の定、2012年のロートラントなどは苦味が出ていて、如何にこの地域では健康な葡萄でグローセスゲヴェックスを醸造するのが難しいかを語っている。

親仁が面白いことを突然言い始めた。加藤がどうの塚原がどうのと言い始めたのだ。一体何処の加藤かと思ったが、直ぐに体操の加藤だと分かった。どうも親仁は体操をやっていたようだ。知ってるかと聞かれれば、ムーンライトこと塚原サルトーは先日やったばかりだとまでは言えなかった。次ぎ会うときは監物の話か?



参照:
美味すぎるリースリング 2015-07-31 | ワイン
とんでもないことになる 2015-06-27 | 歴史・時事
刃物要らずの親方殺し 2015-06-11 | 試飲百景
馬鹿に捧げるリースリング 2009-06-24 | ワイン
不都合な交通システム 2008-10-05 | 生活
F・芸術家と名乗る醸造所 2008-10-04 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2016-05-01 00:08 | 試飲百景 | Trackback

第二回ユングヴァインプローベ

VDPの第二回ユングヴァインプローベに出かけた。最初はミュラーカトワール醸造所に行って、ビュルガーガルテンを買い足すつもりでいたが、事前に自宅で開けてみると酸が突出していて、その他が引っ込んでいたので今回は止めにした。瓶熟成が始まるまでどうしようもない。要するにMCは酸の突出で苦みを抑えていたのだろう。ドイツトップクラスの酸であった。

そこで久しぶりに会長のクリストマン醸造所に出かけることにした。昨年ナーヘのシーェンレーバー醸造所で2014年産の評判を聞いたからだ。2014年も比較で試飲できた。樽試飲の2015年のグーツリースリングの色目の黄色さは異常なほどだった。漬け込みが強いのか分からないが、それでもまだ瓶詰めされていない分、新鮮さと酸が際立って重みは全くなかった。この点でも若干醸造法で変化があるようだ。比較すれば、2014年の蜂蜜香のような明らかな葡萄の健康度と2015年のそれでは後者に明らかに長所があった。ヴァイスブルグンダーも万人向きに出来上がっていた。それ以上のものは試さずに赤に移った。

2013年の標準シュペートブルグンダーは可成り酸が立っていて、赤としては駄目だった。それに比較すると2012年のギメルディンガーと称する嘗てのSCは中々香味が面白かった。十分なミネラルもあり、若干石灰土壌も感じられる。17ユーロならばフランスもののフィクサンなどと比較して、これはこれでよいと思う。フランス独特のベリー系の香りはないが薬草風のそれは決して悪いものではない。都会的な繊細さがクリストマンのシュペートブルグンダーの良さである。

序に聞いてみると買いそびれていた2011年物のオェールベルクもあるということで一本貰ってきておいた。2009年に似ているようなので試飲しなくても大体分かる。2009年産を開けてから飲み時を考えればよいが、あと二年ほどが良さそうだ。

その足でこれまた久しぶりにフォルストのゲオルク・モスバッハ―醸造所に向かった。そこでも新酒と樽試飲をしたが、流石にグーツリースリング程度では価格は安くとも全く楽しめなくなってきた。新し過ぎることもあるのだろうが、落ち着いてくると今度はそのミネラルや深みに欠けるということで、我々にはもはやあまり楽しめない。更にかなり甘く感じるので、お婿さんに尋ねると酸が弱い分そのように感じるだけでなにも糖を残したわけではないと言った。2015年はやはり酸が弱い。それでも上位のリースリングになるとなかなか酸が効いている。健康度で2015年の方が2014年より良い分、間違いなく悪くはない年度のようだ。

バッサーマン・ヨルダン醸造所の親方がやって来て挨拶して、更に外回りのケラー氏夫婦まで来ていた。ウンゲホイヤー機械摘みの話をしてやろうかと思ったが、基本的にはお忍びであり喧嘩になってはいけないと思って遠慮した。そして耳を澄ましているとムーゼンハングに評価が集まっていた。柑橘類のその強さは最近この地所が温暖化だけでなく注目されてきている所以である。嘗てのヘアゴットザッカーに求めていたものの上のものがここにある。瓶詰めされたらもう一度試飲しなければいけないものだ。

そして2015年は赤ワインが期待である。2003年、2005年、2009年、2011年と並ぶかどうか?二年後が楽しみである。



参照:
スローフードの塩辛さ 2015-03-09 | 試飲百景
神の膝元のリースリング 2015-06-02 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2016-03-09 17:52 | 試飲百景 | Trackback