カテゴリ:数学・自然科学( 5 )

手練手管の質やその価値

ネーチャー誌に載った小保方式のSTAP細胞に関しての記事を読む。山中式のiPSとの長短についての議論はあるとしながらも、その新方式の質や安全性については目下世界中で鋭意研究中とある。勿論興味を引くのは、そのストレスによる発達生物学的な見解である。

そもそもその切っ掛けは、ヨハネス・ホルトフレターの酸による両生類細胞?の研究があり、シャーレの中で皮膚細胞を神経細胞に変換させていることにあるとされる。1947年のこの論文は、発達生物学に過小評価されて片づけられてしまったようだ。しかし、最近はこのストレスの細胞に与える影響は、物理的なストレスとしての研究が盛んで、浸透圧として若しくは生体膜圧として理解されているようだ。

ここまで説明されると、ただ酸のストレスと聞いていたのとは異なり、とても興味深い。そして、キャリフォルニア・バークレー校のティモシー・ダウニングとソン・リーのネーチャーの論文による、トリミング効果の利用に描かれる幾何学的なリプログラミング機能を考えれば、門外漢にとっても俄然関心が沸き起こる基礎科学的な考察となる。

先月開けたブルゴーニュについて書き忘れていた。当地に赴いた saarweineさんに、20ユーロ以下という条件で購入を依頼したものである。蔵出しもの2006年産オーセイ・デュレスのレ・デュレス一級である。ドメーヌ・ロワ・フレーレは中国にも輸出している様でそれなりの規模であるようだが、ここではなによりも新樽の使用が目立つ。2006年物であるから大分熟れていても、そのタンニンの存在に気が付くことからすれば、敢えて強くかけているのだろう。それでもボーニュ周辺のピノノワールとしては繊細で果実風味もチェリー風ながらあまり嫌味は無かった。

なるほど瓶熟成をさせて蔵出ししている理由は、こうしたところにあり、それはそれで一つのやり方だろう。土壌面では決して関心はしなかったのだが、もう一本持ってきてもらったネゴシアンもののそれとは全く比較できないほど価値があった。やはりドメーヌ物で丁寧な仕事をしていなければブルゴーニュと言えども、ドイツのシュペートブルグンダーと比べて価値がある訳ではないことがこれで明らかになった。さて、シュペートブルグンダーとの直接の比較では、この価格で2006年産と言うことを考えれば、手練手管の分、今回はブルゴーニュの勝ちだろうか。それでも良い年の同じ価格のシュペートブルグンダーと比較すればそれだけの価値があるかどうかは微妙である。



参照:
驕らない、慎み深い主役 2007-11-28 | 生活
克服すべき倫理と回答 2007-06-12 | 数学・自然科学
早落としの村名ピノノワール 2013-08-01 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2014-02-20 23:42 | 数学・自然科学 | Trackback

ニュートン物理に環境を知る

ケムブリッジ大学図書館がニュートンの膨大な論文類をネット公開することになった。始まったばかりだが、数ヶ月中に出揃うようで、自然科学に興味ある者には見逃せないサイトとなる。

その四千ページの分量だけでなく、その自然科学における意味合いを考えるだけで、途轍もない資料とも思われる。

姪から子孫へと引き継がれて、古巣であったケムブリッジに寄贈され、その他の錬金術や神学の書物とともに集められているのがこの図書館であるようだ。

特に、ニュートン力学の基礎を形成する過程での数学的な試行錯誤の過程を追うことで、もしくはその思考過程の背後を覗くことで、この天才学者というよりも、我々が日常過ごしている世界のその環境を少しでも分りやすく理解できるようになるかもしれない。

トリニティーカレッジでの幾何の細かく書かれたノートは、丁度ライプニッツの微分のノートを見るような感じで、比較的容易に内容が理解できる。

居ながらにして、こうした恩恵に与れるのも、正しく大きな意味で自然科学のお陰なのである。



参照:
Newton Papers,
College Notebook by Isaac Newton (Cambridge Digital Library)
蜘蛛の巣と云う創造物 2006-04-21 | BLOG研究
序 トロージャンの不思議 2005-03-17 | 数学・自然科学
ゴットフリード・W・ライプニッツ 2004-11-18 | 数学・自然科学
ヨハネス・ケプラーのワイン樽 2004-11-17 | 数学・自然科学
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by pfaelzerwein | 2011-12-23 21:08 | 数学・自然科学 | Trackback

核廃棄物の無毒化の錬金術

核廃棄物を無毒化できないか?もし可能ならば安全な原子力発電のもとでエネルギー政策が解決するかもしれない。無毒で安全な廃棄物ならばそれほど問題もなく、一度大気中にあふれた放射性物質も無毒ならば核は環境に必ずしも悪いものとはならない。

そうした研究に一つとしてEUの「ミラ」プロジェクトで日本や白ロシア、ロシアや米国からの研究者を交えて行われるように昨年決定した内容が報告されている。なるほど無毒化までに至ってはいないが、放射性核種の安定化と半減期の短縮が可能となるかもしれない。たとえば半減期二万四千年の同位体プルトニウム239を処理すると中性子を加え、僅か二年の半減期しか持たない核分裂生成物セシウム134と安定した同位体ルテニウム104が生じるというのである。永遠に放射能を発し続けると思われていた核廃棄物が、二年ごとに半減していくとなるとまるで夢のようだ。原子炉冷却材としても同時に使われるビスマスと鉛の核子に加速された陽子を当てることで、核反応から中性子が飛ぶ出す。使用済み核廃棄物から分けられた処理されるべきアクチノイド核種の核が中性子を受け取ったり核分裂したりして、中性子の放出でより小さな同位体となる。

この工程を核変異工程と呼び既に80年代にイタリアのノーベル賞学者カルロ・ルビアによって確立されたようだが、技術的には今日に至るまで非常に複雑な課題が残っているようである。

たとえば、最初に使用済み核燃料からアクチノイドを分離する作業において現在は99.9%のレヴェルだが99.99%まで高めることが目標だとこのEUプロジェクトの中核であるカールツルーヘの核廃棄研究所のアンドレアス・ガイストは語る。

プルトニウムの変異工程は確立されているのだが、それに性質の似ているアメリシウム、キュリウム、ネプトニウムなどは困難なのだという。全核廃棄物の僅か一パーセントがアクチノイド核種なのだが、またその九割方がプルトニウムということになっている。ウランより重いアルチノイドは、内部被曝すると、細胞増殖異常の骨、腎臓、肝臓、血液系の癌を引き起こすことで猛毒と知られているものである。

またカールツルーエ核研究所の研究者であり、ヘルムホルツ協会の地区長ヨアヒム・クネーベルは、冷却体自体が250度から450度の高熱であり、それを如何に冷やせるかが鍵であると見ていて、材料工学的にも核分裂が起こるその容器の鉄のコーティングなどで劣化を避ける必要があるとしている。

ドレスデンのロッセンドルフ研究所のアルノルト・ユングハンスは、高エネルギーを持つ電子を含む冷却材の問題で、中性子の放射時間と核のエネルギー量からの実験を繰り返しているようだ。

こうした問題が解決されると2014年から試験操業が始められて、2023年には実用化が予定されている。ベルギーのSCK-CEN研究所に設置されたこの装置は十億ユーロの投資で70メガワットの出力規模がある。しかし、そうして処理されるべき核廃棄物は、世界で毎年二十六万トン排出されて、毎年その量は加速されていて、そうした全世界の深刻な社会問題を一挙に解決するものではないようだ。



参照:
Die zauberhafte Entschärfung des Atommülls, Monika Etspüler, FAZ vom 22.6.2011
解体する原子炉が旨いのか 2011-06-23 | テクニック
開かれた議論のない技術大国 2011-06-20 | 文化一般核廃棄物を無毒化できないか?もし可能ならば安全な原子力発電のもとでエネルギー政策が解決するかもしれない。無毒で安全な廃棄物ならばそれほど問題もなく、一度大気中にあふれた放射性物質も無毒ならば核は環境に必ずしも悪いものとはならない。

そうした研究に一つとしてEUの「ミラ」プロジェクトで日本や白ロシア、ロシアや米国からの研究者を交えて行われるように昨年決定した内容が報告されている。なるほど無毒化までに至ってはいないが、放射性核種の安定化と半減期の短縮が可能となるかもしれない。たとえば半減期二万四千年の同位体プルトニウム239を処理すると中性子を加え、僅か二年の半減期しか持たない核分裂生成物セシウム134と安定した同位体ルテニウム104が生じるというのである。永遠に放射能を発し続けると思われていた核廃棄物が、二年ごとに半減していくとなるとまるで夢のようだ。原子炉冷却材としても同時に使われるビスマスと鉛の核子に加速された陽子を当てることで、核反応から中性子が飛ぶ出す。使用済み核廃棄物から分けられた処理されるべきアクチノイド核種の核が中性子を受け取ったり核分裂したりして、中性子の放出でより小さな同位体となる。

この工程を核変異工程と呼び既に80年代にイタリアのノーベル賞学者カルロ・ルビアによって確立されたようだが、技術的には今日に至るまで非常に複雑な課題が残っているようである。

たとえば、最初に使用済み核燃料からアクチノイドを分離する作業において現在は99.9%のレヴェルだが99.99%まで高めることが目標だとこのEUプロジェクトの中核であるカールツルーヘの核廃棄研究所のアンドレアス・ガイストは語る。

プルトニウムの変異工程は確立されているのだが、それに性質の似ているアメリシウム、キュリウム、ネプトニウムなどは困難なのだという。全核廃棄物の僅か一パーセントがアクチノイド核種なのだが、またその九割方がプルトニウムということになっている。ウランより重いアルチノイドは、内部被曝すると、細胞増殖異常の骨、腎臓、肝臓、血液系の癌を引き起こすことで猛毒と知られているものである。

またカールツルーエ核研究所の研究者であり、ヘルムホルツ協会の地区長ヨアヒム・クネーベルは、冷却体自体が250度から450度の高熱であり、それを如何に冷やせるかが鍵であると見ていて、材料工学的にも核分裂が起こるその容器の鉄のコーティングなどで劣化を避ける必要があるとしている。

ドレスデンのロッセンドルフ研究所のアルノルト・ユングハンスは、高エネルギーを持つ電子を含む冷却材の問題で、中性子の放射時間と核のエネルギー量からの実験を繰り返しているようだ。

こうした問題が解決されると2014年から試験操業が始められて、2023年には実用化が予定されている。ベルギーのSCK-CEN研究所に設置されたこの装置は十億ユーロの投資で70メガワットの出力規模がある。しかし、そうして処理されるべき核廃棄物は、世界で毎年二十六万トン排出されて、毎年その量は加速されていて、そうした全世界の深刻な社会問題を一挙に解決するものではないようだ。



参照:
Die zauberhafte Entschärfung des Atommülls, Monika Etspüler, FAZ vom 22.6.2011
解体する原子炉が旨いのか 2011-06-23 | テクニック
開かれた議論のない技術大国 2011-06-20 | 文化一般
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by pfaelzerwein | 2011-06-24 19:17 | 数学・自然科学 | Trackback

前近代の取り込みは医学の発展

先日の癌治療におけるその他の医術の使い方は、一般的に関心の強い医療の話であろう。その続きとして、ドイツ癌協会ヴェルナー・ホーヘンベルガー理事長へのインタヴュー記事が載っているので掻い摘んで紹介しておく。要するにエジプト大統領や故ゴルバチョフ夫人だけでなく世界の要人がなぜか合衆国でなくドイツに滞在して癌治療をするその臨床医療機関の大元締めの見解である。

ドイツ癌センターは、ハイデルベルク大学だけでなくケルンに於いても痛止め医療などの専門分野が最新の臨床技術の推進を行っているようだ。今回の西洋医学以外の医術の利用が統合的に癌センターなどの最新の治療方針として組み入れられるのには、フランクフルトなどでの本格的な研究実施の一方、まだ時間が必要であるとされるが、先ずは痛み止め治療として期待されていて、センターの癌治療として積極的に臨床を試みられるのが最も効率的であるとしている。その背景には、やはり如何わしい商売のねたにされる心配があるからで、藁をも掴む状態の患者などをそうした罠から救うことも重要な動機となっている。最悪の例は、訳の分からない医術が本来の癌治療と相互作用して副作用を引き起こすことである。それらの基本方針に関しても、既に紹介した新刊本に書いてある通りだと裏打ちする。

そこで定義されていた統合化された補助的な医療としての新機軸でもあると同時に予防医療であるとしているのも興味深い。質問としても早期発見の医療に関してはここでは触れられていないことを考えれば余計に注目を引く見解であろう。それどころか、癌治療の最先端を代表する立場として場合によっては手術をしないことも患者のためになると考える。知人に肺癌を全く切らない者が複数いる現実がそれを証明している。また、前回も紹介のあった乳癌治療の個別療法は今週末から始まるようで、そうした西洋医学の最先端の動きへの関心と同様にこうした新たな動きが捉えられているのである。

また、癌の治療には半年以上を掛けるべきではないとして、益々複雑化して特殊化する癌治療に一線を引くことを基本理念として、その患者の生活の質の低下や患者の社会的崩壊を招くような治療はすべきではないと、それを癌治療のガイドラインとしている。それ故に長期的な展望としても近代医学以外の医術を部分的にではなく全てを包み込む形で取り入れることが、西洋医学の大きなエポックになるだろうとして、それを欧州の発展とする。

友人のスポーツ医がインドに旅行中であるが、ヨガでも組んでいるのだろうか?禅などは、新旧キリスト教を内包するドイツでは特に盛んであり、こうしたところにもアジア文化の抱え込みには余念が無いのが近代ドイツ文化の特徴であろうか。



参照:
Seriöse Naturheilverfahren sollten salonfähig werden, Werner Hohenberger, FAZ vom 1.3.2011
癌治療に漢方を組み合わせる効用 2011-02-24 | 数学・自然科学
非人間的な近代と優しい新環境 2011-02-26 | アウトドーア・環境
ヒポクラテス『古い医術について』(前編) (壺中山紫庵)
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by pfaelzerwein | 2011-03-03 07:57 | 数学・自然科学 | Trackback

癌治療に漢方を組み合わせる効用

一昨年亡くなった合衆国の遠縁の医師が1980年代前半に訪日した折、医療現場における東洋医学の情報を集めていた。そのときの印象から、近代医学と東洋医学の関係やそのあり方に興味をもっていたのだが、同時にその相関関係については明白なイメージを持てずに来た。しかし、その明快な回答が新聞の文化欄を飾っている。

筆者は、今週出版される新刊本を共著したエッセン東病院の医師で、乳癌などの専門医のようである。要するに癌の化学療法などと両立させるための総合的なオンコロジーとして自然治癒法や針や指圧やヨガ、薬草などの効用を捉えていく臨床医学である。

その基本になっているのは、乳癌などの新しい治療法、特に遺伝子の型に応じてホルモン療法や化学療法の効果や副作用を予め予測する方法やその他患者の各々に応じた最も効果のある療法を目指す医療現場の日常にある。その反面、1971年のリチャード・ニクソン大統領の「癌との戦い」宣言にも拘らず、2006年での癌死亡率は僅か18%低下しただけで、心肺系の64%、肺炎・インフルエンザの58%に比べるほどの成果は上がっておらず、ドイツにおいて女性の60%、男性の53%しか五年以上の癌生存率しか獲得していない事実がある。早期発見や治療への厖大な研究費用などに比べて、一部の患者グループにのみ効用があると限定されているのが癌治療であるとしている。つまり、乳癌においてはなるほど早期発見の効果は幾らかは上がっていても、既に遅いステージにおいては生存率は20%にしか至らない事で、大腸癌や前立腺癌の転移の段階においては過去四十年間治療実績は好転しておらず肺癌における10%においては沈黙せずにはおられないとする ― この一連の考え方は実に大切で、膨大な医療費に対早期発見費用を計算する公的健康保険制度や科学振興という営利ではない事業に対してであるからこそ、最も必要なのはその投資額に見合う経済的効率であるからだ。要するにあまり効果の無い早期発見の医療などは営利的な経済しか考えていないからではないかと疑惑が生じる。

それと平行して、「生存の可能性を高めるのはただ唯一、本人が置かれた厳しい状況に自ら反応できるか」であり、多くの末期癌患者などでも決して余命を楽しむためになにもしないということは無いのである。そうした近代医学では治療効果が疑わしい状況では余計に民間医療的な方策を主治医に隠れて行っている危険な一般例を挙げている。ヴィタミン剤やグレープフルーツなど本来の治療の効果を打ち消してしまう悪例や、誰もが見聞きしている如何わしい法外な価格のまやかし商品などである。同時に、新陳代謝活動においては、医薬よりも瞑想などの方法が効果があり、癌細胞の壊死に関わるコルティソール、免疫導引ツィトキーネなどに影響を与えるMBSR(Mindfulness based stress reduction)法などが心肺系だけでなく消化系の強化などを託しているように、総合的な見識が必要とされる。

それ故に、近代医学以外の療法をどのように組み合わせた治療法が可能であるかというのが今回の新刊であり新聞記事である。そこでは、そうした教科書外の効用を科学的に網羅することが肝要で、実際に中世以来のフォン・ビンゲンで有名な薬草の効果などが厖大なデーターベースとなって利用されていて、飽くまでも科学的な実証がその利用の基本となっている。それは、今世紀のはじめ頃から盛んになったハーヴァードのメディカルスクール、ニューヨークのスローンケッタリング記念センター、マヨー病院などの実践がドイツでのそれのお手本となっており、ハイデルベルクのドイツ癌センターにおいても既に四百種類以上の漢方薬がテストされて、多くは限定的な効果が確認されている。そしてそこから総合的な効用が導き出されるのだが、それにはまだまだ研究が必要となる。治療においては癌細胞のその伝播のメカニズムの方へと関心が移っているので、こうした漢方薬もそうした全体的な効用がより重要になっているというのである。

この記事を、乳癌で治療を行っている妻を持つ友人と手術をしない肺癌を化学治療している友人に知らせてやりたい。医師二人がVIDEOで語るように「近代医学は非人間的で、自然治癒法は人に易しい」という組み合わせであるようだ



参照:
Keine Tabus mehr im Kampf gegen Krebs, Gustav J.Dobos und Sherko Kümmel, FAZ vom 21.2.2011
Gemeinsam gegen Krebs“, Verlag Zabert Sandmann
ビール消費と癌予防効果 2006-06-07 | その他アルコール
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by pfaelzerwein | 2011-02-25 01:48 | 数学・自然科学 | Trackback