カテゴリ:ワイン( 245 )

若ニシンチラシに合わせる

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涼しくなった。特異日の通りの雨勝ちの日が続いている。蚊もいなくなった。週明けから徐々に回復するようだが週末には再び同じようになるらしい。なにせあと七週間ほどはこれが続くということであれば夏はこれで大体終わることになる。森の中は摂氏17度ぐらいで、久しぶりに走り易かった。久しぶりの峠への林道は、湿り気があって、新たに積み上げられた木材の山が香る。少し酸っぱい臭いもする。生憎腕時計が電池切れで計測できなかったが、参考記録位で走れただろう。やはり暑いのが一番つらい。

若ニシンを屡々きずしにする。適当な米があれば箱寿司にするが、パラパラの米なのでバラ寿司にした。すると若ニシンの方は薄く小骨切りする感じでスライスしてみた。寿司米にはニンジンと牛蒡と椎茸とグリーンピースを混ぜた。三合の米に合わせて、大分の量になった。そこに錦糸卵を二個分乗せれば半分で腹一杯の充分な量になった。

箱寿司と異なって、混ぜ物に少々醤油が入っているだけなのでリースリングにもそれほど悪くはない。そこで2014年産のラウワー醸造所の半辛口を開けた。アイラークップの地所であるが、半辛口でも12.5%とアコールは強い。それほど陽射しが良いちうことだろう。どこかラインガウのヨハニスベルクの地所を思い出させるミクロクリマの特徴があるのだろう。要するに地所の傾斜の割にはコクがあるのだ。

寿司飯には砂糖が入っていることも、辛口のリースリングを合わせ難くしている。そこに醤油が合わされば到底高級なリースリングを嗅ぐことなどは不可能になる。それでも半辛口となれば、糖も残っており、更にそもそもそのように高貴な香りもニュアンスも無いのが半辛口で、それ故に最早本国の市場ではリースリングの半辛口などが欲しい人にはヴァイスブルグンダーなどを勧めることになって、出荷量は低下する一方である。

そもそもスレート土壌のモーゼル流域のリースリングは糖を残すことで、その酸とのバランス、そのもったりしたミネラル感をバランスさせることで世界的評価を勝ち得てきたのだが、市場開放の中でそうしたローカルな名産品は極一部の商品となっている。ザール流域のファンフォルクセム醸造所なども数年前までは残糖が多めだったが今や気候が許せば本格的な辛口のグローセスゲヴェックスへと進む方向が変わって来ている。

さて、中堅のラウワー醸造所のこれは、最初から残糖感があり、土壌の苦みと均衡させていたことで、ミッテルラインやその手の味の濃いリースリングと並んで甘辛い日本食に合わせようと思っていた。実際こうしてばら寿司に合わせると、やはり後口が甘い。日本酒の場合はアルコール度が高いので余り苦にならないのかもしれないが、やはり甘くて、食事にはどうかとも思う。それほど日本食は甘酸っぱい。

若ニシンの方は薄くスライスすることでとても癖が無くて良かった。こうしてリースリングを合わせると、やはり辛口のリースリングの方がさっぱりして良さそうな感じがする。特に本格的な辛口のモーゼルワインが醸造されてきているので、糖を残したリースリングの醸造法にはほとんど意味がないであろう。



参照:
氷葡萄酒の名匠のお屠蘇 2015-01-03 | ワイン
肉汁たっぷりを活かす 2012-08-30 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2017-07-02 20:30 | ワイン | Trackback

生の味に合う花崗岩ワイン

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五月に試飲購入した花崗岩のリースリングを開けた。二本目である。グーツヴァインと称する最も容易で尚且つベーシックなワインである。醸造所ではミネラルが出ているとまでは言わないのだが、我々からすればこのライブレ醸造所のそれに充分に花崗岩の特徴を顕著に感じる。

言葉で表すには充分ではないが、ドイツ国内においても一定のリースリング栽培地域で嘗てからあったもので、ここにきてその特徴であるミネラルの抽出が嘗てなく意識されてきたものである。だから地元の人々やその地域の愛飲家にはリースリングの味として、若しくは広くシュヴァルツヴァルト界隈でデュルバッハのワインとして馴染みのあるものなのだ。

比較対象で表現すれば、インゴットの味というか地金ならず地土というような味があって、それが揺ぎ無い味質で、石灰質土壌のリースリングにおけるカルシウム味に通じる恐らく硬水に感じるあの粉っぽいような丸みのようなそれとは対照的な押しの強いものだ。

これに比べるとラインガウの地所のものなどは果実風味があって、やはりどこかスレート土壌のそれにも通じる馴染みやすさがある。また角の立った雑食砂岩のややもすると痩せた感じのリースリングに対して、これは分厚い印象を与えるかもしれないが、酸がその分分厚く押しが強いので、決して鈍重ではない。

また、バーデンはドイツの南に位置して、ライン平野の東側のシュヴァルツヴァルトの斜面からボーデ湖への間に広がっているので、その気象条件から酸が効いていないワイン産地と思われることが多いが、リースリングが本領を発揮する花崗岩の斜面は厳しい斜面で収穫される。要するにリースリンゴ産地デュルバッハの斜面は充分に冷やされて、その酸が楽しめるのである。

そこでどんな食事に合わせたかというと、ちょっと涼しいのでジャガイモを蒸かして、それにレバーのソーセージを付け合わした。添えた芥子や新鮮な野菜が美味いが、何といってもリースリングによくあった。そもそも果実う風味などが薄く、精々藁風味ぐらいなので、この食事の生の味が合うのだ。

さて、今晩のワイン祭りはどうなるか?午後の気温の上がり方は予想よりも穏やかで、幸運ならばもう一晩窓を閉め切って生活が出来る。記録によれば13時から温度は下がり続けていて、最高気温は18時過ぎに出るようだが、どうなるだろう。夕食は豚ではなく子牛とトリュフのミニザウマーゲンを食するつもりで、前日に開けたこの花崗岩リースリングに合わせるつもりだ。

前日は全く何も出ていなかったのが、翌日になってフローラルなパフューム香にミント味とこれはなるほど培養酵母の性質もあるのかも知らないが、お見事だった。ベーシックとは言いながら10ユーロ以上の価格であるから、レープホルツ醸造所のオェコノミラートやロベルト・ヴァイル醸造所その他の同価格帯とすると当然なのかもしれない。



参照:
ドイツを代表する花崗岩のワイン 2017-05-19 | 試飲百景
ワイン祭り初日を終えて 2017-06-11 | 生活
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by pfaelzerwein | 2017-06-14 22:39 | ワイン | Trackback

現時点最高の2015年リースリング

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先日購入した「ハルガンツ」を開けた。これはグランクリュ「ハレンベルク」のセカンドワインとなる。2015年のこれは昨年の秋の試飲会でも評価は高かったが、結局「フリュータウ」を購入した。理由は、そのファーストである「フリューリングスプレッツヒェン」が買えなかったからである。結局そのフリュータウも殆んど飲み干したが、若干物足りなさを感じて来ていた。

そこで今回これを試飲してお客さんが皆気が付いた。2015年の「ハレンベルク」は偉大だったと。三本は購入しているので先ずは安心だ。業者に買い取られてしまった「フリューリングスプレッツヒェン」よりも「ハレンベルク」の方が価格相当に価値があるということだろう。

そして今回購入したセカンド六本は素晴らしい。若干こなれて来るのが早いぐらいだが、力の均衡は最近にはないナーヘリースリングで、20年ぐらいはヘコタレないかもしれない。名前が示す通り、「ハレンベルク」だけでなくレープホルツ醸造所の「ガンツホルン」を想起させても恥ずかしくないリースリングである。

先ず何よりも酸が綺麗に熟れていて、酸が突出するどころか旨味がある。最高の酸であり、暑い夏の力強さに拮抗しているので、驚くべき軽やかさと丸みがあり、静けさまであるリースリングである。パイナップルの香りもしゃしゃり出ることなく、均衡があって、ワインらしいワインである ― 残念乍らコルク臭で香りは判断が出来ない。それでも現時点では2015年産リースリングの最高峰であることは間違いない。

その前に2016年「ミネラール」を開けた。これは当日お披露目だった2016年産の中で「ハルガンス」に続いて最も味が確りしていたもので、価格差ほどの品質差はなかった。要するに2015年の「ハルガンツ」と2016年の差が甚だ大きいということになる。若干お茶を濁す形になったが、2016年のグローセスゲヴェックスの為にも自宅でゆっくり賞味したかったのである。

結論からすると、どれもこれも塩気の効いた「アウフデアライ」以外はそれほど魅力はなかったのだが、「フリューリングスプレッツヘン」のミネラルの清々しさが熟成を期待させたというぐらいである。つまりこのミネラールもリンゴの香りや土壌感は強く出ていても、酸が弱いので苦みとして感じる位で、本当のリースリングの美味さがあまり感じられない。

それでも先日購入した南仏のロゼから飲み変えるとなんともおいしく香り立つ自然の恵みだと感じさせる。若干の押しつけがましさを厭わなければ一本14ユーロのこれでも充分に楽しめるのである。如何にドイツのリースリングがフランスのワインに比較して高価で高品質になったかは言うまでもない。少なくとも白に関しては比較の対照ではなくなってしまった。恐らくEU内でのマーケティングを含めてフランスの方が動いてくると思う。



参照:
2015年産の売れ残りを購入 2017-05-07 | 試飲百景
検問逃れの試飲会帰り 2016-09-11 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2017-05-12 01:16 | ワイン | Trackback

2016年産の果実風味への期待

本格的な試飲会シーズンが始まる。その前に情報が集まって来る。速報としては先月20日から24日にかけての寒気の霜で大分やられたようだ。少なくともブルグンダーは壊滅的だろう。リースリングも収穫量が落ちそうである。霜が降りる場所と風通しが良くて寒気が溜まらない場所があるが、厳しい年度になるそうだ。水浸しの春と初夏だった2016年の果実風味に賭けた方がよさそうで、来年はまた価格が上がるだろう。インフレである。

その2016年産は、ミネラルにはあまり期待できないとしても余り黴臭くなければ良しとなろう。そしてフォムフォルクセム醸造所のように天然酵母を重視するとどうしても瓶詰めの時期も遅くなる。ビュルクリン・ヴォルフ醸造所のように一年遅れが通常の瓶詰め時期になっていくかどうかは分からないが、こなれたリースリングが益々評価されるようになっていくであろう。

そのヴァヘンハイマーオルツリースリング2015年を試飲した。はじめであるが、まだまだ若過ぎるとしても、あの暑い夏のお陰で酸が表に立ちはだかりミネラルが後ろについていくようなものよりも、ミネラルが先に出てくる感じで清涼感は例年ほどではない。それならば綺麗に熟して葡萄らしくられば良いのだが、半年以上もしくはもう一年寝かさないといけないかもしれない。但し、酸が強く出ないのでリースリング指向以外の人にも勧められるかも知れない。

2016年グーツリースリングも試したが、こちらは若過ぎて酸が前に出て、どちらが高級ワインか分からないような塩梅だ。それでも充分に酸が効いているので時期がこれば表彰されるかもしれない。半年ぐらい待たなければいけないが、同じように2015年グーツリースリングが既に売り切れているので先行投資するだけの目利きが必要となる。少なくとも現時点では、一年前のオルツリースリングの方が飲みやすいという奇怪な現象になっている。

その意味からは2015年ダイデスハイマーオルツリースリングは嘗てのバッサーマン・ヨルダンノラーゲンヴァインを想起させるようなテロワールが楽しめて、14ユーロはなかなか良い価格だと思う。

予約していた2014年フォルスターオルツリースリングのマグナムを回収しに行った。残念ながら通常のスクリュー瓶は売り切れていてパイロットワインは数少なくなってしまった。二年が我慢できないと駄目である。マグナムとなると少なくとも5年から10年は寝かしておかないと綺麗に開かない。それでもグランクリュの半額以下の価格である。

2015年産に比較すると2014年産は色々な意味でお得だと思うが、2016年産は酸がどれぐらい聞いているかが購入の目安だと思う。基本的には安物のワインほど酸が効いていないようで、雨の影響が早摘みワインにより多く表れているということではないだろうか。



参照:
なにか目安にしたいもの 2017-04-22 | 雑感
まろみが嬉しい自然な呼吸 2017-03-05 | 試飲百景
三分咲はまだかいな 2017-02-07 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2017-05-04 00:32 | ワイン | Trackback

フランスのチーズとワイン

バーデンバーデンへの途上でワインを二本購入した。一本はブルゴーニュだが、もう一本は白ワイン代わりにロゼを購入した。いつもはプロヴァンスの安く軽いものを購入するが、魚などに合わしたいので探してみた。あまり飲んだことのない、フランスで最も高価なと呼ばれるタヴェルを購入した。他のロゼの倍ぐらいの5ユーロぐらいだったが、アルコールが14%とと高いのには気が付かなかった。二度ほど滞在したニームとアヴィニョンの間だが、現地ではあまり飲まなかった。高価だったからだろうか。

サケのパイに合わせて、悲愴交響曲から帰宅後に開けた。何よりも甘みが口に広がるので、最近はフランスのワインの甘みに閉口するかと思ったら、苦みが急に広がって来てまるで仁丹のようだった。あの石灰土壌でこれだけ苦みが走るのは高アルコールでしかありえないだろう。魚の焼いた苦みとか貝の苦みとかには合いそうだ。それにしても可成り強引なワインである。あの辺りから地中海にかけてのフランスワインは、繊細とか柔らかみとかとは正反対のワインを何とか石灰岩のカルシウム丸みのようなテロワーで飲ませるものが殆んどである。兎に角ロゼの割には赤のような色をしていた。暑い2015年産ということで、ドイツにおいても繊細さを求めるのが間違っており、フランスでもそれは同じだろう。

スーパーでは直前にドイツの親仁達がエビを買いさらってしまったので、烏賊を買った。自宅で初めて掃除した。そして一回はゲソを使ってイカスミスパゲティーにした。これは、味も色合いも丁度良かったのだが、腹がごろごろした。下痢をしたわけではないので毒性はなかったのだろうが、翌日も腸が疲れた感じは残った。もう一回はトマトを入れずにスパゲティーにした。こちらの方も若干腹にもたれたが、イカスミほどではなかった。兎に角、魚介類の料理は処理するだけでも指が臭くなり、臭いが気になる。普段あまり弄っていないからだろう。

次にバーデンバーデンに行くときも何を買おうかと思うが、今回何よりも良かったのはサヴォア地方の山チーズなど二種類だ。期限も19日までで、5ユーロぐらいで塊を二つ購入できた。地元のドイツのスーパーでは到底無理な量で、更にドイツやオランダのチーズ文化とフランスのそれでは差があり過ぎる。

なるほどスーパーワインも安くて様々なワインがあるが、それ以上にチーズはお買い得だ。そしていつものようにフリゼーを購入した。価格は安くはないがあれほど新鮮で大きなものはドイツではなかなか買えない。



参照:
破局に通じる原発銀座の道 2012-04-11 | 文化一般
原発銀座で息を吸えるその幸福 2011-04-26 | アウトドーア・環境
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by pfaelzerwein | 2017-04-13 21:02 | ワイン | Trackback

価値のあるなしを吟味する

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サヴィニー・レー・ボーヌを開けた。一月にバーデン・バーデンへの途上で購入した2014年物である。一口で言うと甘い、果実風味というよりも甘みを感じた。だから口当たりがよくて飲み過ぎて明くる日に残った。決して悪いものではない筈だが、ミネラル風味どころではなかった。価格からしてもクリストマンの2014年物にかなり劣っている。クリストマンのギメルディンゲンの方が雑食砂岩のミネラルもあり、また涼しいテロワーの表出もはっきりしていた。それにしても甘みがこれほどあると高級感も何もいない。そもそもブルゴーニュのミネラルは単純なのでその意味からすると、雑食砂岩や花崗岩は本格的辛口のピノノワールとして長所があると思う。やはりブルゴーニュでも特別なテロワーでなければ駄目なようだ。

アーモンドの花は完全に散った。今年ほど咲いたアーモンドを暇も無く、嵐に見舞われることもなくこんなに早く散って葉アーモンドになって仕舞うことはなかった。気象の特徴なのだろう、この影響がどのようにワインに表れるか、表れない筈はないであろうが、また開花していなければ影響は限られるのか?それとも?

月曜日にはミュンヘンで新制作「タンホイザー」の稽古が始まったという。歌手と合わせることからだろうが、パリ版とドレスデン版の折衷の楽譜とはどれぐらい異なるのだろう。ドレスデン版は既にダウンロードしてあり、パリ版の上演ヴィデオは保存したので、音を聞けばその取捨選択は分かるようになるだろう。

最近はネットのストリーム放送を時間があれば簡単にコピーしておく。特にオペラ公演のものは役立つことも少なくない。ミュンヘンからでは先日の「アンドレア・シェニエ」も録画した。ヨーナス・カウフマンとアニヤ・ハルテロスのものだった。しかしオペラ作品でもコンサートの画像と同じように中々じっくりと見る暇などが無くて、よほど勉強のためになるものでないと必要が無くなる。要するに自宅でホームシアターさながらに楽しむという時間も興味もないのである。

それでも、先日ベルリンで上演されたピーター・セラーズ演出の「ルグランマ―カーブル」は時間が出来ればじっくりと観てみたい。その他リゲティ作曲ヴァイオリン協奏曲、そしてブーレーズを追悼してのリームの作品、これらは価値のある動画である。ざっと見てシーズンに幾つかのコンサートから幾つかの曲目の演奏録画がアーカイヴに値するものだろう。



参照:
ブルゴーニュ吟味への投資 2013-10-05 | ワイン
大分マシの今日この頃 2013-03-05 | ワイン
子供錠剤の甘味料に注意 2013-03-01 | 生活
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by pfaelzerwein | 2017-04-04 21:32 | ワイン | Trackback

取り付く島もない女性の様

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VDPプファルツから最新のマガジンが届いた。先日の樽試飲試飲会でも見かけていたが届くと思って取ってこなかった冊子である。いつものように五月のマイシュピッツェと言われてきた試飲会週の日程が、年間スケデュールの中に載っている。個人的には出かける会が決まっているので日程は例年の通りで分かっているのだが、予め計画を立てるのに助かる。自宅に居れば毎年出かけるのはレープホルツ醸造所の試飲会である。購入するワインも決まっているのだが、今年は状況を見て数を吟味しなければいけないと思っている。基本はグローセスゲヴェックス予約の為の試飲会である。同じような試飲は他所の地域のリースリングにも通じるのだが、春に瓶詰めされたリースリングは夏以降のものよりも価値が低くなるという傾向が強くなってきているのでこの辺りも考えどころである。

2014年の同じマガジンと比較するとVDPメンバーの入れ替えがある。既知なのはトラムプ家の故郷カールシュタットでドイツの赤ワインの技術アドヴァイザーとして活躍したケーラールップレヒト醸造所の脱退であるが、会長のクリストマン醸造所のお隣のムッグラー醸造所が脱退している。恐らく市中の人にはクリストマン醸造所よりも人気がある醸造所で、いつそこを通ってもムッグラー醸造所には買い付けのお客さんがいるがクリストマン醸造所には誰もいない。何か会長の弁護士先生の政治的な圧力が働いているのか?

そのようなことではない。口当たりのよいワインと高級ワインとはそもそも異なり、特に現体制でブルゴーニュシステムが採用されたことで、高級ワインと安物ワインとの差異が益々開いてきているからである。一つ減った席には、フラインツハイムのリングス醸造所が入っている。そもそもは果物などを作っている農家だったようだが、1990年以降ワインを始めて息子の代になって2001年からワイン醸造所として品質を目指してきたらしい。

面白いのは2014年にはプルーガー醸造所やシュピンドラー醸造所、アッカーマン醸造所、ポルツェルト醸造所などと八人の若きタレントが選ばれていたが、その四人は脱落した形で、現在残っているのはユルゲン・クレブス、シュテファン・シュヴェートヘルム、アンドレアス・マイヤー、フィリップ・キーファーの四人のみとなっている。正直、アルパイン協会関係の二人が結構な地所からのワインを醸造しながら脱落してしまっているのは残念だが、その分残りの四人の実力が或る程度推測可能となる。ザンクト・マーティンのキーファー醸造所を除くとフラインスハイムやホイヘルハイムクリンゲンなどそれほどの地所ではないと思うのだが、後者のキーファーはリースリングファンということである。山の方に近づけば雑食砂岩であることは分かっているのだが、地所はどこにあるのだろう?

開けれるリースリングが無いので2013年ゲリュンペルに手を付けた。近隣の地所の2013年物には濃くがあるために開けられないものがあるが、これならば熟成はしている筈だと思って決心したのだ。前回開けたのが一年前の月末なので、確りと変化していた。どのように?

初日に感じたのは完全に間違っていた。二日目に嘗てのスレンダーな娘が、二年半の内に社会のトップに上り詰めようとするキャリアー志向の女性に代わっていたのに気が付かなかった。第一印象と、付き合ってみての印象が全く異なるり、もはや鼻の高い女性どころの印象ではなかった。この時期にこれほど厳しい酸を印象させるリースリングに出合ったことが無い。その量感と全く崩れないプロポーションは一体どういうことだ。だから最初に感じた砕けた印象は取り繕っていただけなのに気が付いた。付き合えば付き合うほど、甘い横顔などを見せない。とても厳しく、そして上昇志向まっしぐらである。取り付く島もないリースリングなのだが、まだまだ将来を考えると楽しみで仕方がない美しさがある。この時点で全く崩れが無いので、最低十年、へたをすると本格的に熟成するのは二十年先かもしれない。凶年の2013年産なのに、感心するしかない恐るべきPCである。そして、鴨の胸肉の燻製と獅子唐のグリルを摘み乍ら飲んでいると、やはりとんでもなく美味い。これ程高級感のあるワインはドイツには見当たらない。オタク向きのリースリングではないが、エリート向きの高級な味覚に合う凛としたリースリングだ。こうしたライフスタイルに似合うエリート女性のようなワインということになる。



参照:
スレンダーながら多層的な23歳 2014-10-16 | ワイン
刺激するための方策 2015-02-14 | 生活
原発警備強化の物的根拠 2016-03-26 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2017-03-10 02:49 | ワイン | Trackback

悦に入る趣味の良さ

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先月末に催されたミュンヘンの劇場でのコンサート中継録音を聞いた。予想に違わずニコライ・メドナーのピアノ協奏曲二番の演奏が素晴らしかった。こちらの放送局でもそこでピアノを受け持ったフラコーネカナダ人マルクアンドレ・アムランのショパンの葬送ソナタが車中で流れていたが、なるほど一挙に注目を浴びている訳が分かった。ハイぺリオンレーベルでソロアルバムが出ていて、ミュンヘンのARDコンクールにも課題曲を作曲していたようだが知らなかった。リンリンランランの業界においてその対極をなす本格的なピアニストに違いない。ソロコフやアームストロングにはない超絶技巧があるようだ。

曲に関しては、折角楽譜をDLしていても、時間が無くてものの数分で最初から最後まで超早送りで目を通した。勿論正しい音が取れる訳でもなく動機の扱いを中心としての全体の構成を見通しただけに過ぎないがとても役立った。あれでも役立つならばやはり知っているような曲でも最初から最後まで目を通しておくだけでも、音楽の認知の仕方が全く変わるのだなと今更ながら改めて思った。何というか数学や物理などと同じで音楽も言葉では表そうとすればするほど本質から離れて夾雑物が纏わりつくことで更に内容から離れてしまうようだ。

そのように最初からトッカータ主題の扱いなどに大きな期待をしていたのだが、予想以上に素晴らしかったのである。ラフマニノフに捧げたとあったが、なるほどそのラフマニノフとはああしたピアニズムをマスターしていたピアニストなのかなと思い、ラフマニノフの自作よりもなにかラフマニノフのピアノ演奏技術が彷彿されるような気がする。そのようなピアノをアムランは弾く。ロマンツェにおいても思い切ったアーティキュレーションと自然なフレージングは、指揮者キリル・ペトレンコとの間で十二分に打ち合わされたに違いない。今まで聞いたソリストとの競演の中でも特にスリリングだった。あそこまで柔軟に器楽的なアクセントをつけられると、管弦楽の方も負けじと合わせなければいけないのだ。ディヴェルティメントも見事としか言えない。ロシア音楽の歴史的なものと同時に民謡的な要素も織り込まれていて、こうして正しく演奏されると、圧倒的なロシア音楽文化の懐の深さを感じることが出来るのである。

2013年オェールベルクを堪能した。三日間ほど残しておいたが、流石に新しいワインなだけに全く変化はなく、最後の一滴まで新鮮さと熟成を楽しめた。2013年はリースリングにおいても難しく悪い年度と思われているが、あの薬草のような風味は2004年産にも通じて、とても嬉しいリースリングの年なのだ。なるほど20年寝かすとかいう年でもなく、寧ろ早めに柔らかくなってしまうのだが、それはこのシュペートブルグンダーにも全く当てはまる。30ユーロで簡単にこれだけの香味を楽しめるピノノワールはブルゴーニュでもなかなかないだろう。それほど涼しさもある赤ワインだった。色も既に縁が剥げてきていてワインを知っているものなら誰も寝かそうとは思わないのだ。だからこれを今開けて楽しむのが愉悦なのである。本当の贅沢というものではあるまいか?そしてとても趣味が良いなと自画自賛して悦に入るのである。なるほど30ユーロのワインは決して安くはないが、日常消費ではなくここぞというときに開けるワインとしては消費可能な価格であろう。そしてこれだけの価値のワインはなかなか見つからない。芸術も全く同じで、趣味が良くなければどんなものでも全く価値の無いものなのである。



参照:
日曜は一寸した祝祭気分 2017-03-06 | 暦
まろみが嬉しい自然な呼吸 2017-03-05 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2017-03-09 00:33 | ワイン | Trackback

海原にそよぐ潮風のよう

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車中の朝のラディオ番組で音名の作曲を特集している。印象に残ったものを紹介しておこう。一つ目は、天才作曲家ジョスカン・デ・プレの作品である。フランドル派の作曲家の循環ミサの基礎音型については留意していても、その多くは俗謡などであるその出所についてである。Missa Hercules Dux Ferrariaeの場合は以下のようになっている。

レドレドレファミレである。これがどこから来ているか?

Hercules Dux Ferrariaeの母音を取り出すと、eue、u、eaieとなる。これをラテン語の音名に置き換えると、re-ut-re、 ut、 re-fa-mi-reとなる。

2012年フリューリングスプレッツヘンを開けた。最後の一本なのでグローセスゲヴェックス用のパイロットワインとして残していたのだ。しかし飲むワインが無くなったので開けてみた。瓶詰後四年になるのでこの辺りで判断したいとも思った。

初日は駄目だった。その土壌からか香りも強く押しつけがましく分厚いもので、熟成香はないものの熟れた感さえあった。しかし味筋はまだまだ綺麗なのだが、果実風味による甘みすら感じさせて食事には合わせにくかった。これならば稀に見る貴腐のは要らない良年といわれるナーヘの程度が知れる。しかし翌日は香りは変わらないものの甘みに若干のニュアンスが広がってくる。そして味筋は果実風味や前日に感じたペパーミントの風味とは違って、後味に塩味のミネラルを感じたかと思うや否や、海の潮風の清々しさが広がって来た。これならば全く問題はない。清涼感といい、その優しい鮮やかさは想像を大きく膨らましてくれる。



参照:
我々が被った受難の二百年 2010-04-04 | 音
'12年グローセゲヴェックセ? 2013-09-11 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2017-03-02 02:59 | ワイン | Trackback

苦み走るようでなければ

旅行に出かける前にリースリングを飲み干した。早くから開いていたファン・フォルクセム醸造所の2015年アルテレーベンである。残りが少なくなってパイロットワインとしての機能を果たすかどうか怪しくなってきたが、一本ごとに変化があるので楽しく、参考になる。酸はしっかりしているが、ミネラルは全開になってきて、若干粉っぽいのだが、スレート特有のおかしな味筋ではなく、底に固まっているような焦点の定まらないミネラルである。地所もアルテンベルクなどに近いことから赤スレート系の暈けたミネラルで、辛口にはどうかとも思わせるが、それはそれで開いてくると楽しいだろうと思わせる。それを感じさせるだけ充分に糖を落として醸造するようになってきているということで、モーゼル流域でも上質の辛口として恥ずかしくないものである。

そして苦みを感じさせるそれがまた深みを与える。苦み走ったとかいう言葉もあるが、これは比較的女性的な味筋であるので全開になって果実風味とのバランスが楽しみとなるということである。日本などでは甘いリースリングが云々とか批判されたモーゼル流域のリースリングであるが、酸とバランスをとるその残糖以上に重要なのがこの苦み成分であるミネラル風味である。このミネラル風味が綺麗に表出されない限り高級ワインとしての体を成さない。

食文化の味の中で「旨味」だけは日本の専売で世界語になっているが、嘗ては日本でも味の極意として苦みが愛されていたと思うのだが、ファストフードや人工甘味料などの味覚の汚染でアメリカ風の苦みなどの無い味が好まれるようになっているのかもしれない。そうなると苦みの極意などというものも分からなくなってくるのだろう。土井勝先生の「甘みは旨味」はあらゆる意味で誤りであったというのが結論となっている。

再び音楽に戻って、作曲家リヒャルト・シュトラウスの自作自演の「アルペン交響曲」を久しぶりに聞いてみた。ここに「苦み」はないのだが、ミュンヘンの宮廷座付き管弦楽団の音が良い。その楽器を駆使して楽譜に書き込んだ音符を忠実に弾かせているのでそのもの作曲の意図がよく分かる。そして指揮者としても一流で、朴訥としたテムポ運び乍ら揺ぎ無いテムポ運びとなっている。それにしても戦前のドイツの管弦楽はこうした響きだったのかと思わせ、現監督ペトレンコもこうした響きを可能な限り取り戻して後に伝えていくことにも留意しているのだろう。弦楽の合奏だけでなくて、木管も金管もツボにはまった音色を再現するための努力をしているのはオペラ公演でも聞き取られて、それなりの尽力をしているのが分かるからである。

そのように推測していくと、ベルリンのフィルハーモニカ―もクラウディオ・アバドの時代に音響の機能性をものにしたが、サイモン・ラトルの指揮でもまだまだ音響面でつるつるてんてんな面も残っていて ― ランランなどと共演しているようではどうしてもそうなる ―、今後はピエール・ブーレーズが示したような弦の強靭なサウンドの特徴にもう一つ今日的な深い音色などが試されるのだろうか。少なくとも楽譜の読み方が20世紀後半のようなフォン・カラヤンを代表するような流線型やまたは一筆書きの落書きのような読み方からは変わってきているので、管弦楽団の音響としても文化芸術的な成果を期待したくなるところである。北アメリカや極東などにもあるような音響だけでは欧州文化としては成立しない。そのためにも新しいサウンドを含んだ同時代の作曲家の作曲を遅れずに演奏していくことが重要なのである。



参照:
2015年アルテレーベンの出来 2016-09-17 | ワイン
苦みの余韻の芸術 2017-02-11 | 音 
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by pfaelzerwein | 2017-02-13 00:43 | ワイン | Trackback