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価格に注目して貰いたい

今までで最も高価なドイツワインを注文した。先月の最も高価なグランクリュリースリング、フォルスターキルヘンシュトュックに続いて最高額を更新した。ブラウワーシュペートブルグンダー要するにブルゴーニュのピノノワールである。生産者はお馴染みのゼーガー醸造所である。一本120ユーロを六本発注した。残念ながら自分の分ではない。それでも発注したのはその価格だけのことは期待できるからである。

なるほど一本120ユーロのピノノワールは、価格としてはブルゴーニュの超一流のグランクリュの価格である。ドイツでは法律上はただのクヴァリテーヴァインベシュティムターアンバウゲビートつまりQbAであるからミットプレディカートにもQmPにも至らないワインである。それどころかVDPのグローセスゲヴェックスでもないのである。

高級ピノノワールの格付けが十分ではなかった悪法の弊害ともいえるが、それ以上に嘗ては赤ワインではラインガウ流のシュペートブルグンダーが歴史的な重みを以て、それ以外にはスレート土壌のアールや南バーデンのシュペートブルグンダーが特産物となっていた。そして気候温暖化が叫ばれるようになるとどんどんとピノノワールに力を入れる醸造所が増えて、その結果が2003年の偉大な赤ワインの年に成果したのであった。

その後の2005年を頂点に、容易な年度2009年などで、ふるいが掛けれれるようになって、国際競争力のあるつまりブルゴーニュとも対抗できるようなものが出来る醸造所しか残らないようになったのである。その他は元の木阿弥で、赤ワインを止める醸造所もあり、あるいは従来通りのシュペートブルグンダーを醸造するという棲み分けがはっきりしてきたのである。そこで今回発注した2009年のピノノワールは、三重リザーヴのRRRと呼ばれる商品で、良年であるだけに誰にでも喜ばれる赤ワインである。

さて、一本120ユーロをどう見るか?この価格以上で醸造所で直接買えるかどうかが問題である。ブルゴーニュであろうが、ボルドーであろうが中間業者であるネゴシアン組織がそこに入るからこそそうした高価格が維持されている訳で、そうした価格帯で直接買えるフランスワインは限られてくる。それに比べるとドイツの戦後はそうした世界の組織から解放されているので、価格も低く抑えられた反面高価なワインはあまり市場に出なくなってしまった。

つまり、ドイツの超高級ワインは今でも比較的安いのは確かである。しかしである誰がこれほど高価なワインを購入するかには大いに疑問が残る。30ユーロのものと比べて120ユーが特別旨い訳ではない、かと言って特にこの2009年物が特別気難しかったり分かり難い訳ではない。その差異は比較して初めて吟味できるようなもので、それだけを飲んでみても価格の評価などできる訳がないのである ― 勿論今回の商品の重ねられたRが示すように高価なものにはそれなりの長い賞味期間があるが、2009年はブルゴーニュにおいてもどうだろうか。要するにシナの富豪のように名前で美味いものと思って高価なワインを買い漁るしかないのである。

高級ワインが吟味できるようになるのは余程飲みつけなければいけないので、そもそも値踏みなどはプロフェッショナルな世界なのである。今回は手元を通り過ぎて北ドイツへと直送されることになる。その価値などは分かる訳がないのだが、少なくとも価格表を見て、ドイツの赤ワインがブルゴーニュの超一流と同等の価格をつけていることを確認して貰えばよいだけなのである。しっかりとエアーリングして飲めば不味い訳がなく、大満足することは間違いない。しかし、その価格に注目して貰いたいのである。



参照:
クローンはピノノワール 2013-06-23 | 試飲百景
週の始まりの肌寒さ 2013-09-17 | 生活
ブルゴーニュ吟味への投資 2013-10-05 | ワイン
悪くないNuits-Saint-Georges 2013-10-10 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2013-10-16 13:31 | ワイン | Trackback

ブルゴーニュらしいピノノワール

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足の筋肉に張りがある。だから、涼しくなったこともあり、ステーキを食した。通常のステーキを買うところが、古くなったフィレを同じ価格でオファーしてくれたので試してみた。牛フィレを購入することもないことはないが、価格もあり通常は本当に小さな欠片だけである。そして今回はその端の場所を250G以上購入した。

いつも食べる欠片が幾つも皿に乗ることになった。ワインは、先日開けたブルゴーニュとの比較で、ゼーガー醸造所ハイデルベルクのヘーレンベルク2008年ものSを合わせた。2008年は、熟成をさせることで特にその上のRが飲み頃であると奥さんから聞いていた。だから飲み頃は既に過ぎている瓶を開けたのだ。

アルコールは13.5%とかなり高めに醸造されていて、ベーシックの2008年の強さを想起させたが、内容は大分違った。その当時は知らなかったのだが、SはRに比較すると樽などによる仕上げに手間が掛かっているだけでRほどには良くはない。だからあまり期待していなかった。

さていざ空けてみると直ぐに開いてくるので、完全に瓶熟成していることが伺えた。しかし香りや味は決して全開と言うのではなく、繊細さがあって驚いた。前日試したジャンボール=ミュジニーの村名ものとは全く比較にならないほどブルゴーニュのピノノワールなのである。そのミントの葉に隠れるようなとても奥ゆかしいカシスなどの風味は、とても上品であり、先日の未成熟の果実の混合品のようなものとは比較にならない。それどころか細かな石灰質のミネラルが十分に感じられて、如何にその葡萄の木の質が違うかを如実に示してくれる。

2008年はドイツの赤にとっては決して容易な年ではなかった。とても難しい年だったからこそ、ベーシックのワインはアルコールの押しが強くて若干悪酔いしそうな雰囲気が強かったのである。しかし、流石に手間をかけた上位のものはそのような点を感じさせない仕事振りを示しているのである。比較にもならないが、ネゴシアンの集めたジャンボール=ミュジニーの村名ものの2010年の葡萄は未熟で酸に満ち溢れているのとは異なって、そうした酸などを一切感じさせないどころか、確りと背後で全体を支えているのである。

なるほど、Rクラスに比較すれば、奥行きに欠けるかもしれないが、2008年のクリストマン醸造所のシュペートブルグンダーSCを思い出せば到底比較にならないほどの瓶熟成とその質の高さを証明している。ゼーガー醸造所のピノノワールはドイツでは抜きに出ている。それどころか中途半端なブルゴーニュよりもはるかに本格的なブルゴーニュのピノノワールである。

さて、フィレの方は、流石に念を入れて焼く必要が無いので、青胡椒と塩で焼くことにした。古くなっているので味の熟成は進んでいるから、少々強めに焼いたがその柔らかさはまったく変わらなかった。このあたりがフィレのよさである。付け合せには塩じゃがで、簡単なサラダを合わせた。最高のソースは、バターと肉汁にピノノワールなのである。



参照:
早落としの村名ピノノワール 2013-08-01 | ワイン
クローンはピノノワール 2013-06-23 | 試飲百景
セメントが柔らかくなるように 2011-01-29 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2013-08-12 19:07 | ワイン | Trackback

クローンはピノノワール

ピノノワールをハイデルベルクで購入した。いつものゼーガー醸造所である。2011年産はあまり良くなさそうであるが、ブルゴーニュのクローンを使ったドイツ唯一の本格的なピノノワールであるから、とてもよい試金石なのである。ここでは拘りでブラウワーシュペートブルグンダーと称される。これでブルゴーニュの年度やその瓶熟成なども可也多くのことが分る。

そしてなによりもこの8ユーロ程度の日常消費ワインは、フランスのネゴシアンが扱ったブルゴーニュではありえない価格と品質なのである。そのことも奥さんにも話した。なるほどブルゴーニュでも零細農家や地元で飲まれているものには高品質の低価格なものもあるだろうが、よい土地柄となるとネゴシアンがよい葡萄を買い付けてしまうので難しいのではないだろうか。

しかしリースリングを見れば分るように、よいワインになる原料は全てそれに見合った労働が必要になるので、いかによい土地柄でも放っておけば高品質な素材が生まれるのではない。毎年の栽培の積み重ねで始めて土地も葡萄もよくなる。

ブルゴーニュの場合は、リースリングとは異なりネゴシアンの市場がありにもはやそうした余地がないほどに、あまり良くない葡萄も買い付けてしまう市場があるだろうから、品質の悪い素材も同じように売れてしまうに違いないのである。そこから低価格商品では品質が悪くなる傾向があるに違いない。

その点は、ドイツのシュペートブルグンダーにおいては、少量零細生産であり - ゼーガー醸造所は僅か7ha - 先落とした素材も十分に商品化しないといけない現実があるからだろう。同時に購入した2010年産のそれは36ユーロと比較的高価であるから、ブルゴーニュとよい勝負になるに違いない。価格からするとブルゴーニュのPCにどれほど迫れるかと言う感じで、村名ものより割高と言った感じであろう。恐らく、ブルゴーニュものなら20ユーロ台で比較的似たものが買えると予想する。近々、飲み比べをしてみよう。



参照:
久しぶりの寒いランニング 2013-01-15 | 生活
セメントが柔らかくなるように 2011-01-29 | 試飲百景
どちらが七十年先に旨いのか 2009-02-09 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2013-06-23 13:07 | 試飲百景 | Trackback

個人で態々訪れる価値

ドイツ高級ワイン協会VDP会長クリストマン氏と肉屋でまた出会った。前回は催し物のためのザウマーゲンなどの買い物のようであった。それで「今日はプライヴェート」と聞くと「そりゃ、個人でも買うよ」と土曜日の朝早くからそこまで二十分近くもかけて来ていることを表現していた。

丁度前日にクリストマン醸造所の2005年産のピノノワールを開けたところであった。2003年よりも良い年だと言われる年度であるので何本か残してあるが、流石に比較的単純なSCは飲み頃かと思って開けた。基本的には若干苦味が感じられるほど酸が弱っていたようで、少し飲み頃を過ぎていたようだ。同じように残してある上級のオェールベルクの飲み頃を予想するには重要である。

その一週間前ほどには2009年産のゼーガー醸造所のスタンダードなピノノワールを開けた。印象は若干言われてみるとジャム風であった。ここの醸造所としては珍しく果実風味がよく出た2009年だからそのようになったのだろう。しかし独自の石灰の土壌は綺麗に出ていて八ユーロもしない価格としては最高品であった。

シーズン34日目と35日目を終えた。34日目の金曜日は大成功だった。先ずは新たに設置された短い四から六級程度の三ルートを登りつくした。最後のそれは右へへ左へとジグザグになっていて、高度の割には長くて、比較的複雑であった。そして、満を持して庇越えに挑む。その場所に二年ほど前から試していたが、確か七級で核心部で辛苦を飲まされていた場所である。現在は弱点を縫うような六級上があって、登れることは自信があったが、形状も複雑で試してみなければわからなかった。案の定庇の乗り越しが複雑で、島に両足を揃えてようやく上の手掛かりに届いた。乗り越しも容易ではなかったが、そのあとのか垂壁からかぶり気味の終了点までも手掛かりが少なく難しそうに見えたのだが落ち着いて熟せたのはとても自信になった。如何に乗り越しで腕力を使わずに乗り超えられたかの証明だからだ。

日曜日は、支部の会長や眼鏡親方、若いリーダーなど八人ほど集まったので各々が練習をした。再びトップロープの七級マイナスを試したが、まだ完ぺきに決まらないところがある。それでも、金曜日の成果を踏まえて、七級へとグレードアップしていく準備は着々と整えつつある。



参照:
フランススーパー売りのワイン 2012-10-09 | ワイン
二年目の真価を示すとき 2012-07-13 | ワイン
距離の伸びそうな冬模様 2011-10-25 | 料理
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by pfaelzerwein | 2013-02-04 20:02 | 生活 | Trackback

肌理細かな高CPピノノワール

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赤ワインを試飲にベルクシュトラーセまで行った。こちらからするとライン平野の向こう側の山懐であり、ハイデルベルクからすると南の町である。コンクリートの採石場工場で有名なライメンである。毎年開かれる試飲会なのであるが参加するのは初めてで、つまらなそうなのを除いて一通り試飲した。

白ワインで購入する価値のものはなかったが、ピノグリなどは上手に造っていた。バリックではなしにフーダーのようなものを使っているのでそれなりの細かな作業が可能になっているようだ。丁度この醸造所から対岸にあるレープホルツ醸造所のバリックものなどと比較すると買えるかもしれない。しかし個人的にはブルグンダー種の白ワインに10ユーロ以上出す用意はない。これならばフランスの白ワインに幾らでも安いものがあるからだ。

リースリングは流石に土壌感が出ていたがコンクリート味は不味い。質は悪くないので飲んでも気持ち悪くはならないだろうが、この種のリースリングしか飲んでいないと本当の白ワインの良さは分らないだろうと思われる。

さて本命の赤ワインであるが、電話であらかじめ聞いていたように、凶作の2010年産が主体であった。レムべルガーも日常消費用から高級まで三種類あり、中間のものが酸が強く、最高のものが緑の香辛料のような独特の香りを放っていて面白かった。悪酔いするかもしれない。

シュペートブルグンダーは、日常消費用のものが酸が強く2010年産をそのまま反映しているが、2008年産の毒の強さはなくて自然な酸が喉越し良くしている。更にその上位のものはタンニンを強く出しており、その反面セメントのミネラル質がとても綺麗である。しかし更にもう一つ上級のRクラスを試すと、更に澄んでいる反面色が薄い。これが2010年の結果であろう。売れ残りの2009年産の最上のRRを試すと今度は色もよく流石に良年の出来が分るが更に数年寝かせて64ユーロの価値があるかどうかは疑問であった。結論からするとRクラスぐらいがとてもよいが、何と言っても最も単純なシュペートブルグンダーのCPに勝てる赤ワインは知らない。

フランスのピノノワールならばこの味質ならば倍の価格は間違いなくするだろう。この価格でフランスで赤ワインを求めてもこれだけ高貴なものは見つからない。とても零細な赤ワインの名醸造家であり、セメント仕立ての土壌感はドイツで稀に見る本格的なピノノワールを排出していることは間違いない。

プファルツのそれのような砂ではなくて、石灰の泥のような濡れる足裏にとこびりつくようなあれである。この単純なワインをフィレステーキに合わせた。食事にあわせると逆に酸が強く感じられたが、開いてくるに従ってバランスが良くなって来る。同じバーデンのデュルバッハ辺りのシュペートブルグンダーにも似ているが、肌理の細かさで秀逸である。



参照:
距離の伸びそうな冬模様 2011-10-25 | 料理
セメントが柔らかくなるように 2011-01-29 | 試飲百景
麗しのブルゴーニュ、待っててよ! 2010-03-26 | ワイン
ハイデルベルクの親方の地所 2010-02-01 | 試飲百景
鹿肉を食らって朝の二時まで遊ぶ 2010-01-30 | 料理
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by pfaelzerwein | 2012-05-07 23:27 | 試飲百景 | Trackback

あとの祭りにならないように

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昨晩は半リットル以上2010年物を試飲して、帰宅してラインガウのエルトヴィラーを開ける。流石にそれほど飲めなかったが、お陰で早めにベットについて腰の痛さで目が覚めるまでぐっすりと寝込んだ。腰の痛さは金曜日にザイルにぶら下がっていた時間の長さを思い出させて、やはり蝶番が外れそうになるような運動は出来るだけ避けねばいけないと感じている。ちょうどヘルニアと反対の症状なのだろう。二週間前の墜落での左手中指の捻挫もまだ違和感がある。これだけ傷だらけになったのは十代の半ば頃以来だろうか。

久しぶりで開店前からパン屋に押しかける早起きで、先日初めて完走出来たいつものコースを今日も駆け足で完走した。思えば、下りだけでも完走する前に休んでいたルートなので、登りに続けて休みなしに駆け下りることなどは遠い目標だったが、今それを遣っている。しかし、行程時間は歩いていたときと変わらないどころか、いまだに最短記録を出していない。

胸突き上り7分、そして水平道からの上り13分で、20分を少しだけ加速して、19分で登り終えた。なるほど、最初の胸突きの所要時間は変わらなかったが、息がとても楽で、前回の喘ぎはなかったのだ。しかし、下りに15分掛かってしまっていて、駐車場まで34分と、標準的なタイムしか出なかった。

下りを早くすることは出来そうだが、どこでスピードを加速出来るかが問題であろう。心肺系よりも足に堪えていたので、いづれは強化されるのだろうが、30分を割る日はいつ来るのであろうか。なるほど先日教えて貰ったようにつま先走りが定着すればスピードは上がることは分かるのだが、それだけの脹脛の力がないのである。

昨夜のアルコールがどこか体に残っているの厭きながら走るのだったが、今日も昼からベルクケーゼやローストステーキにシュペートブルグンダーを楽しめる快適な気候に感謝するのである。遠景は、白い水蒸気を上げるフィリップスブルクの第二水蒸気塔である。MOX燃料のあれが壊れてからではどうしようもないのである。あとの祭りなのだ。

ゼーガー醸造所やハイデルベルクセメント工場のあるヴィースロッホは、恐らく二十五キロ圏内、ハイデルベルク市内も三十五キロ圏内になるのである。
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by pfaelzerwein | 2011-07-03 21:43 | アウトドーア・環境 | Trackback

セメントが柔らかくなるように

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明日日曜日はハイキングに出かけるので、昨晩の買い物で、本日は余裕が出来た。思い立って懸案の2009年産のピノノワールをハイデルベルクに取りに行った。白を三種類と、赤を三種類試飲した。それ以外で現在購入出来るのは白三種類で、新旧赤六種類だけなので、精神衛生上良い気持ちである。春には全てを試飲出来る機会もある。

さて、昨年秋に蔵出しレストランで飲んだリースリングが格段2008年よりも勝れていたので、それとピノグリ、ピノブランを試した。本当にこの質の高さでこの価格は信じられないばかりである。マルクに換算しても決して悪くない。ドイツの醸造所で土壌の悪さにめげずに立派な仕事振りを見せる三つの二つにレープホルツ醸造所と並んで入る醸造所がこのゼーガー醸造所に違いない。つまり、おみあげとしてそこの土地の特産物として購入するワインではなくて、まさにワイン街道から態々購入しに行くワインなのである。この価格で地元で何が買えようか?

リースリングはその価格からしても買えるのだが、ピノノワールの美味しさも格別で、ピノグリの薄く掛かった樽味がまたまた素晴らしい。昨晩飲んで感動したシャルドネを髣髴させる手練手管と、更に美しい酸を見せ付けられると、好きでもない葡萄であるが買わずにはいられなかった。レープホルツでさえピノグリは今ひとつであるからだ。

さてお目当ての赤は、シュヴァルツリースリングとレムべルガーのキュヴェーは甘みがちょっと多く丸過ぎたが、如何に2009年産が2008年産よりも勝れているかを如実に語っていた。そしてそれを奥さんにも認めさせた。レムべルガーも悪くはないが、この程度ならヴュルテンブルクにもないことはなく、醸造所にとっては銭函的存在なのだろう。さて、お目当てのピノノワール、甘みの多いそれ以外のあとに飲むと厳しさがあるが、2008年のどうしようもない硬さのそれとは全く違って、気持ちよく幾らでも飲める気がつくとアルコール13%がボディーブローのように来るワインとなっている。d0127795_38922.jpg

なるほど2008年産と比べると明らかに酸が効いているのでアプリコットやカシス系の味につながる糖も残してあるが、そこにミント系の味とハーブが強く押し出されるので、安物シュペートブルグンダーと一線を隔している。早速、裏山に上って地所や土壌を確認に行った。

流石に、ドイツで最も有名な1895年から稼動するセメント工場があるだけに、その地所は固まっている所はコンクリートの如く硬く、濡れている所は細かからドロがとても滑りやすい極端な土壌である。石灰の含有量は知らないが、貝殻石灰交じりの黄土である。フランスのそれを思い浮かべても不思議ではなく、ブルグンダーのそれはやはり良い。

昨晩に引き続き考えれば、如何にリースリングが種の主張の強い難しい品種であり、手軽に本当に勝れたワインがなかなか当たらないことも不思議ではない。ゲテモノのリースリングを十本飲むぐらいならば、シャルドネを一本飲んだ方が簡単にワイン通になれる。同じように、少々の価格でピノノワールのまともなものは当たらない。しかし、ここにスーパー価格でブルゴーニュの十倍ほどするピノノワールの品質が楽しめるのである。d0127795_385748.jpg
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by pfaelzerwein | 2011-01-30 03:10 | 試飲百景 | Trackback

ハイデルベルクの親方の地所

お土産に持ち帰った鹿のフィレ肉を温めて食した。ワインは、敢えて先日合わせたベルクシュトラーセのものに手を出さず比較のためにギメルディンゲンのクリストマンVDP会長のシュペートブルグンダーSC2005年を開けた。

2005年産は決して飲み頃ではないのだが、2003年に続く良い年でこのクラスのピノノワールでもかなり潜在能力を持っている。印象は一言で言うと、堅さの割りに甘みが気になった。要するにタンニンが柔らかくなっている分ミネラル質の堅さにジャム風の果実風味が乗っている印象は免れない。また獣臭みのようなそれに本当の獣集の鹿肉は余りにもくど過ぎる。そのような印象をもつようになったのもベルクシュトラーセのゼーガー醸造所のワインにその印象が少なかったからである。

セメント工場の横を走りぬけ、正面にワイン地所を見ながら街道筋に開いているの店を訪ねた。赤ワインで大変有名な醸造所である。ヘシッシェ・ベルクシュトラーセのそれは良く知っているのだが、それよりも南のバーディッシェ・ベルクシュトラーセの北端に位置する二キロの間に転々とする地所で高品質のピノノワールを醸造している。

前日の電話に続いて奥さんに一寸したインタヴューをして、リースリングから試飲を始める。この家族経営の小規模醸造所は試飲と称して次から次へとコルクを抜くようなお店では無い ― カードを受けつけないばかりか領収書すら出さない。続いてやって来た街道に逗留中の若夫婦に、「週のうちに開けて、週末に飲みこすことなど出来ないから、合わない」というのである。もしかすると家庭では取っておきのブルゴーニュを飲んでいるのか?それは上のクリストマン会長であった。

驚くべきことに雑食砂岩の地所も上部にちょっと出ているというが、下に行くに従って黄土になる典型的なオーデンヴァルトの土壌である。そして貝殻石灰土壌。先ずはこの三種類で最低の種類の土壌は確保していると言えるだろう。

六ユーロから二十五ユーロに至る五種類のリースリングの中で最も単純なそれは典型的なベルクシュトラーセのそれであるが、州立醸造所の癖のあるテロワーの出し方とは異なる丁寧な作りが一種のエレガントさに繋がっていて、六ユーロならばと思わさせる。しかし、ナーヘのシェーンレーバー醸造所のそれの個性には及ばない。土壌の差異である。

二つ目にヴァイスブルグンダーを試すが、30%-70%の比率で新しいバリック樽を使っているらしい。次ぎのグラウブルグンダーと合わせてなかなか厳しい糖を落とした作りは平野の向こう側のレープホルツ醸造所を髣髴させる。

いよいよその厳しさが炸裂するのは本命のシュペートブルグンダーであるが、単品で飲むとすると2008年産はタンニンも強く口が直に麻痺をしてくる。しかし、そのハーブ香なども夕飯に予定されている鹿との相性がどうしても気になるものであった。そうこうしているうちに若い夫婦連れがやってきたので、此方はせっせと口をシビラセルのだが、奥さんの対応がちょっと違うのに気がついた。

はじめは分からなかったのだが、なるほどと思った。要するに、「ホテルで聞いて」とか言いながら、「クニプサーが」どうだとか如何にも評価本の熱心な信奉者のようである、こうしたお店を訪れる高級なワインスノッブであることが匂ったのだろう ― 私もこの二人に最初からそのように感じたのだがそれはなぜか?。その証拠にちらしにリストアップされている評価本アイヒェルマンの説明を読み出してこれはあるとかないとか言い出したのである。

そのちらしは、私が指定したお土産のプレゼントの箱に私には分からないように隠してあり、もちろん私はそれをこっそっと抜いて自分のために持ち帰った。一体、どこでこの私が前日から血圧を上げながら「評価本などを見て情報などとはなんたる事」と嘆き、怒鳴っていたのを見ていたかのだろう。

それは冗談としても、こちらもある程度経験を積んで発言や行動に無駄がなく結論へと近づく事が出来る訳で、最初から手洗いを借りて、蔵を一見して質問する事がやはり違う。あちらは此方以上に接客のプロであり、乗ってきた車のナンバープレートから前日の話の持って行きかたから何から何まで一瞬で察知するものがあるのだろう。此方は正真正銘のとうしろうなのだが、まさに評価本の隠密のような小喧しい客と思われたのには違いが無い ― VDP内偵、もしくは自称私設秘書の面目躍如である。

なるほど若夫婦への客扱いを見ているとまるで油が指したようにすんなりと上手に勧めているのである。その意味では最後まで鴨扱いされなかったのと同時に警戒感も滲ませていた。

偶々開栓されていた上級のSクラスを試飲出来て、その石灰成分も感じることが出来た。そしてバリックの使い方も自由自在のようで感心した。キュヴェーの女性向き「アンナ」のレンベルガーにもそれは感じられて、クニプサーより上手だと感じさせた。

シュペートブルグンダーのジャム臭さはアールのマイヤーネッケル醸造所などよりもなく、全くああしたものとは違うエレガントさと男っぽさは大したものである。レップレヒト醸造所のそれも先日感心したが、恐らくゼーガー醸造所のシュペートブルグンダーは、アスマンハウゼンの分厚さはないとしても、現時点ではドイツ最上質のものである事は間違いない。まさに、赤ワインにおけるレープホルツだと感じた。ハイデルベルクの地所ヘーレンベルクが必ずしも上級の地所で無いにも拘らずこうした高品質のワインを醸造する腕は大したものである。そして、赤ワインに感じる膨張するような酔い心地がないのが何よりも素晴らしい。スマートなピノノワールである。



参照:
本来はピノ系に強い生産者だそうです。 (saarweineのワインに関してあれこれ)
マヴィのランチでお口直し (新・緑家のリースリング日記)
鹿肉を食らって朝の二時まで遊ぶ 2010-01-30 | 料理
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by pfaelzerwein | 2010-02-01 01:27 | 試飲百景 | Trackback