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悦に入る趣味の良さ

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先月末に催されたミュンヘンの劇場でのコンサート中継録音を聞いた。予想に違わずニコライ・メドナーのピアノ協奏曲二番の演奏が素晴らしかった。こちらの放送局でもそこでピアノを受け持ったフラコーネカナダ人マルクアンドレ・アムランのショパンの葬送ソナタが車中で流れていたが、なるほど一挙に注目を浴びている訳が分かった。ハイぺリオンレーベルでソロアルバムが出ていて、ミュンヘンのARDコンクールにも課題曲を作曲していたようだが知らなかった。リンリンランランの業界においてその対極をなす本格的なピアニストに違いない。ソロコフやアームストロングにはない超絶技巧があるようだ。

曲に関しては、折角楽譜をDLしていても、時間が無くてものの数分で最初から最後まで超早送りで目を通した。勿論正しい音が取れる訳でもなく動機の扱いを中心としての全体の構成を見通しただけに過ぎないがとても役立った。あれでも役立つならばやはり知っているような曲でも最初から最後まで目を通しておくだけでも、音楽の認知の仕方が全く変わるのだなと今更ながら改めて思った。何というか数学や物理などと同じで音楽も言葉では表そうとすればするほど本質から離れて夾雑物が纏わりつくことで更に内容から離れてしまうようだ。

そのように最初からトッカータ主題の扱いなどに大きな期待をしていたのだが、予想以上に素晴らしかったのである。ラフマニノフに捧げたとあったが、なるほどそのラフマニノフとはああしたピアニズムをマスターしていたピアニストなのかなと思い、ラフマニノフの自作よりもなにかラフマニノフのピアノ演奏技術が彷彿されるような気がする。そのようなピアノをアムランは弾く。ロマンツェにおいても思い切ったアーティキュレーションと自然なフレージングは、指揮者キリル・ペトレンコとの間で十二分に打ち合わされたに違いない。今まで聞いたソリストとの競演の中でも特にスリリングだった。あそこまで柔軟に器楽的なアクセントをつけられると、管弦楽の方も負けじと合わせなければいけないのだ。ディヴェルティメントも見事としか言えない。ロシア音楽の歴史的なものと同時に民謡的な要素も織り込まれていて、こうして正しく演奏されると、圧倒的なロシア音楽文化の懐の深さを感じることが出来るのである。

2013年オェールベルクを堪能した。三日間ほど残しておいたが、流石に新しいワインなだけに全く変化はなく、最後の一滴まで新鮮さと熟成を楽しめた。2013年はリースリングにおいても難しく悪い年度と思われているが、あの薬草のような風味は2004年産にも通じて、とても嬉しいリースリングの年なのだ。なるほど20年寝かすとかいう年でもなく、寧ろ早めに柔らかくなってしまうのだが、それはこのシュペートブルグンダーにも全く当てはまる。30ユーロで簡単にこれだけの香味を楽しめるピノノワールはブルゴーニュでもなかなかないだろう。それほど涼しさもある赤ワインだった。色も既に縁が剥げてきていてワインを知っているものなら誰も寝かそうとは思わないのだ。だからこれを今開けて楽しむのが愉悦なのである。本当の贅沢というものではあるまいか?そしてとても趣味が良いなと自画自賛して悦に入るのである。なるほど30ユーロのワインは決して安くはないが、日常消費ではなくここぞというときに開けるワインとしては消費可能な価格であろう。そしてこれだけの価値のワインはなかなか見つからない。芸術も全く同じで、趣味が良くなければどんなものでも全く価値の無いものなのである。



参照:
日曜は一寸した祝祭気分 2017-03-06 | 暦
まろみが嬉しい自然な呼吸 2017-03-05 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2017-03-09 00:33 | ワイン | Trackback