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もちつもたれつの熟成

記憶が薄れないうちに、レープホルツ醸造所での試飲について語っておこう。先ず驚いたのがオェコノミラートが売り切れていたことで、一本だけ残しておいてよかった。特に欲しかった訳ではないが、2013年の特殊性はそれほど否定的に働かなかったのが、このグランクリュ「イム・ゾンネンシャイン」の一角にあるガンツホルンの葡萄からのワインである。その最高峰にあるグローセスゲヴェックスの「ガンツホルン」は特殊な年で、6Gを超える残糖が突出している。とは言っても酸が9G台とスケールの大きなバランスを取っているので、巧く行くと記念碑的となるかもしれない。

味筋はいつもの傾向にあるのだが、貴腐が混ざっていたことから若干の蜂蜜臭がある。これは味の濃くとなっていて、一般には好まれる傾向となっていおる。そもそも2013年は対岸のグランクリュ「カスターニアンブッシュ」のそれは甘口のアウスレーゼまでの造りとなっていて、流石のこの辛口醸造所も他に手が無かったのだろう。

その中では、「ガンツホルン」もその下の「フォム・ブントザントシュタイン」も立派な辛口である。残糖があるといっても残糖感は一切無いが、貴腐に抵抗がある向きには難しいかもしれない。それでも娘さんが言う様に「長く楽しめる」のは「ここのワインは保存が難しいから、その分期待できる」と言い換え、「十分に承知している」ことだと切り返せたのは良かった。

パプリカ水になることの無いガンツホルンはそれだけで価値があると考える。三本予約していたが「決して間違っていなかったね」と自負した。製造者にととて見れば当然のことなのだが、素人のワイン評論家はその辺りを突っ込めないから専門家に馬鹿にされるだけなのだ。

ビュルクリン・ヴォルフ醸造所で一緒になった元裁判長が指摘するように、「レープホルツは割高」なのは事実で15%ほどはその質よりも高価で、メディアでの賞金がそこに加算されているとしてよいだろう。勿論そうした特産に付加価値が付くことは悪いことではなく、重要なのは市場がそれを認めるかどうかということだけなのである。

何年かに一度はこの孤高な路線のリースリンクが俗受けするように仕上がっていても決して悪くはないであろう。その他のブルグンダーもどちらかと言えば俗受け路線で、辛口リースリングの盟主としては低調な粘土であったろうが、グローセスゲヴェックス収集家にとって、このガンツホルンは将来を期待させる年度となった。醸造所のあり方を定める上でも重要な醸造年となったのではないだろうか。

前日のラインガウからのゲスト「ブロイヤー」のリースリングに関しても甘みを残した俗受けする路線を意識していることがよく分った。特にシュロースベルクなどはもはや半辛口で、我々からすると食事には向かない。今頃2011年を出してくるのはよいのだが、あえて言えばそれが最大の売りで、リースリングの質自体は過熟成の2011年ではあるがそれほどのものではなかった。

しかし2012年産のテラ・モントーザは今まで試したここのリースリングでピカイチだった。それはそのテロワールの出方と酸や糖のバランスなどが素晴らしく、そこに如何にもゴツゴツした土壌感を感じさせてくれて、決して繊細なリースリンクではないがこれはこれでよいだろう。2013年のリューデスハイム産のグーツリースリンクの価格は、分らないが、新鮮なものでこの程度なら、それはそれで良いのではなかろうか。

総合的に、この醸造所も恐らく亡くなった先代の遺志を引き継ぐ形で特異な蔵出しの方法をコンセプトにしているようだが、それで幾ら取れますか?と言う問いかけになる。なるほど長期の醸造と樽熟成は最近のドイツのリースリングのトレンドになってきているが、それにはそれだけの費用が掛かるので、価格に転換できる質のものであるかどうかが分かれ目となる。

話は戻るが、なるほどワイン評論家は市場価値とその糊代を同じくしていると知れば、リースリンクの本質などとは関係無しに俗受けして売れることを主題にして発言すれば良い訳である。それが、グラスを燻らしたときの香りでプルースト気取りでものを言っても、観光案内のプロモーションまがいの行いであっても結構なのだ。商業ジャーナリズムと言うのは所詮そうしたものなのである。



参照:
通にしか分らない質と価格 2014-09-16 | 試飲百景
雨のナーヘの谷を回遊 2014-09-14 | 試飲百景

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by pfaelzerwein | 2014-09-20 00:23 | 試飲百景 | Trackback

気の遠くなるような企業

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イエズイーテンガルテンと称するワインの地所がある。ドイツで最も高価なワインの出来上がる地所の一つで、実際にドイツで二番目に高価なリースリングを排出していた。嘗ては、恵まれた陽光と芳醇な土壌から高級甘口リースリングも造られていたが、最近はグローセスゲヴェックスの代表格で力強いながらもミネラル的には比較的素直なリースリングが排出されている。

そのような土壌の特徴から残糖以上に豊かな果実風味から甘さを感じるので、どちらかといえば厳しいリースリングよりも豊満なリースリングとなりやすい。フォン・バッサーマンヨルダン醸造所もその傾向で更に甘口も醸造している。辛口のフォン・ブール醸造所にしても、毎年栗入りのザウマーゲンと合わせるように、その栗の旨みと合うのだ。

そうした中で王者は、当然の事ながらビュルクリン・ヴォルフ醸造所のそれで殆ど倍ほどの価格である。それは、ヴァイオリンのストラディヴァリウスに匹敵するほどの鋼鉄のような明晰さが魅力であり、その価格を裏づけしていた。しかし2013年産はこれが出されなかった。記憶を辿れば刈り取られていた風景があったのだ。理由は、葡萄の状態が悪くなったということだが、特別良いことはなかったがそれほど悪いとは思わなかった。

出来上がりのリースリングを試飲しても、葡萄の実りを見てもそれほど悪いとは思わなかったので、完全に植え替えとなったのには驚いた。一本をあれほど高価に売れるならばそれほど大きくない地所としてもその売上額は可也のものである。みすみすと売り上げを切り捨ててしまう判断は、醸造所を購入して営利を追及するバッサーマンヨルダンやブールのような身売りされた醸造所では全く不可能なのである。ミッテルハールトで独自の資本でやっている大手の高級ワイン醸造所は一軒しかないのである。その規模もドイツで第二番目であるからその財力が異なる。

そうして少しでも品質が落ちれば品質改良のために土壌改良から始めて、新たに選り抜かれたクローンが植えられて、最低十年以上掛けて初めての収穫となるのである。このような気の遠くなるような企ては資本投下型企業では不可能であり、個人がその財産価値を次世代に亘って向上させて行くような営みでしかありえないのだ。

既に今後グランクリュ指定が疑問視されているルッパーツベルクの地所ライタープファッドの収穫は十五年以上なされていない。それは満足の行くリースリングとならないからであり、その品質管理の厳しさを語っている。なるほどGCからPCへの格下げの噂があるとすれば、これはその土壌の可能性への疑問であり、究極の品質管理となる。それがVDPを動かす。

テロワーを引き出すことが高級ワイン醸造所協会VDPの方針である。しかし、その土壌の差異を引き出すだけで高級ワインが出来上がると考えるのは間違いで、その土壌に魅力が無ければ価値が無いことになる。そうした品質管理を含めての最終的な高級ワインの質であり、簡単に投資して最高級ワインを排出しようとしても不可能なのはこうした事情があるからだ。



参照:
雨がちな十一月の週末 2013-11-04 | 生活
胃袋がザウマーゲンに 2012-12-27 | 料理
ひさびさのドイツ その23 (1)  (モーゼルだより)
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by pfaelzerwein | 2014-07-11 17:09 | ワイン | Trackback

偉大な2013年屑篭ワイン

2013年産PCを試した。予想に違わず熟成した酸が素晴らしく、その量感が輝かしい。2001年、2010年と比較して、特にその後者の林檎酸の割合よりもワイン酸の質の高さを認めたい。そして2010年産で石灰風呂を使わずに上手に減酸出来た醸造所などは指を折るほどしか存在しなかったのであるから、下手な除酸をしているワインはそろそろ石灰土壌産のリースリングのように丸くなってきている筈だ。つまり将来に亘って価値の出てくる2010年産などは希少品なのである。

その点、2001年の方が価値はあるだろうが、あの当時からすると天然酵母の扱い方などは大きく変わってきていて、2013年産の方が将来を期待できるに違いないのである。つまり、グローセスゲヴェックスでは二十年は間違いないものも出てくるだろう。PCつまり今年からドイツ読みでエルステラーゲと呼ばれるものもある程度期待できるのだ。

天然酵母と一部木樽でいつもより長い時間をかけて醗酵させられたビュルクリン・ヴォルフ醸造所のPCから先ず五種類が紹介された。ルッパーツベルクのホーヘブルク、ヴァッヘンハイムのゴルトベッヒャエル、レッヒベッヒャエル、ゲリュンペル、ボェーリックである。昨年まであったダイデスハイムのランゲンモルゲンはGCに格上げされ、アルテンブルクはまだ木樽の中で醗酵・熟成中である。

殆ど購入した覚えのない酸の弱く円やかなホーヘブルクも酸が美しく驚いた。これならば購入しても不満はないであろう。そしてゴールトベッヒャエルを試すと、その辛さの差を如実に感じる。そしてその果実風味は全く別なのだ。やはり間違いなく後者を選ぶ。そしてその黒胡椒のような鋭さは、この醸造所で最も辛口のこの地所のよさを示している。同じようにあまり惚れ込んだことが無いレッヒベッヒャエルも酸が果実味よりも感じられて清々しい。しかし最も驚いたのは、ゲリュンペルの柑橘系の味筋の余韻の深さと高級感である。これだけでも熟成した酸とその後の長い時間をかけた醸造熟成と五週間を置いた瓶詰めから紹介までの時間を享受可能となるのだ。

不思議なことに2013年はゲリュンペルは以前のように大量生産のリースリングではなくなって、ファン向きのアイテムとなっている。その理由は、良い健康な葡萄を一番用区画に限って摘み取ったようで、その他はオルツヴァインなどに流れたようだ。だから今までに無い高品質感で、価格も20ユーロを超えてしまったが、もはや普通のリースリング愛好家には渇望のワインとなってしまった。店売りが500本しか無いと言うから貴重品である。

お陰さまで地元民価格で入手できたのだが、GCが50ユーロを越える中では、このクラスのワインでも五年間ぐらい熟成を期待することになるかもしれない。そのような理由で、2012年度からすると完全に価格とともに底上げが為されていて、普通のリースリング愛好家はオルツリースリング、高級ワインを試してみたい人にはグーツリースリングで十分だろう。エルステラーゲンヴァインはもはや通向けの商品である。

2013年はプファルツに限らず、ザールやナーヘなども開花が疎らであったので生産量は落ちているが、その分押しつぶされる葡萄も少なく、健康な葡萄が収穫できた地域が多い。その反面、摘み取り時期の降雨などで、腐りも進んでいった。ザールなどでは一部を甘口にして醸造してしまったのはこの為である。

2014年は既に押し詰まった葡萄の房を見ても分るように、天候が悪ければ直ぐに破裂してしまう危険性が強い。2004年のようにある程度の成果が出ればよいのだろうが、可也難しい年となりそうである。十年に一度ぐらいの良年を逃す訳には行かないが、需要と供給で価格が高騰している。特に健康な葡萄と天然酵母の近代的な醸造法でもはや一人勝ちの感のあるビュルクリン・ヴォルフ醸造所であるが、2012年に供給が需要に追い付けなかったために大幅な価格高騰を齎した。



参照:
初の13年ラインガウ試飲 2014-05-31 | 試飲百景
2007年に鼻を突っ込む 2014-01-07 | ワイン
ひさびさのドイツ その14 (6) (モーゼルだより)
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by pfaelzerwein | 2014-07-01 22:16 | 試飲百景 | Trackback

2013年産の摘み取り風景

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十月十六日にはキルヘンシュトュックは摘み取られていた。ビュルクリン・ヴォルフ醸造所と並んでいるバッサーマンヨルダン醸造所の葡萄も同じであった。その横のより上部のフォン・ブール醸造所のそれはまだ下げられていた。数日の違いであろうが、その結果はどうなるか。最も斜面の上部にあるので風通しがよく、今年のような場合は酸さえ分解すれば決して条件は悪くはない。

兎に角、痛みが少しながら混じってきているので条件は決して悪くは無かったが、新鮮なうちに摘み取ればとてもよいワインになる可能性は十分にある。葡萄を食した感じでは、今年の葡萄はとても風味が良い。果実風味豊かな年となるのではないだろうか?2012年より期待が高まる。

果実の熟成とそれによる酸の分解、それで初めて必要十分な糖とワインを長持ちさせるワイン酸が十分に得られる。同時に貴腐の生える前の健康な葡萄であるからこそしっかりした天然酵母が得られて、ケミカルを加えることなく自然なワインが出来上がるのである。この二つの要素が揃って初めて偉大なグローセスゲヴェックス、つまり辛口のワインが出来上がるのだ。

勿論、そのように出来る白ワインとはリースリングでしかなく、それ以外の葡萄では偉大なワインとはならないのである。ピノノワールとの最大の違いは、一にも二にもその酸の分解の重要性だろうが、決してそれは酸っぱさや単純な酸性濃度とは異なるものなのである。

雨が降る前に綺麗に手摘みで収穫されて、痛みが除けられた葡萄は、それだけで十分な価値を持つ。あとは、その土壌の反映をしながら、どれほどその年の気候の恵みを受けたかということだけのことである。



参照:
冬模様の朝は寒い 2013-10-15 | ワイン
価格に注目して貰いたい 2013-10-16 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2013-10-21 21:29 | ワイン | Trackback

試飲会の後で開けるワイン

週末に開けたワインを飲み干した。ナーヘで新鮮なワインを樽試飲までして楽しんできた後に開けるワインを考えた。つまらないものを開けてももはや美味しくは無く、持って帰ってきたグーツリースリングでは物足りないことは分かっていた。とは言っても、試飲で鼻を使たので、右の鼻の具合は久しぶりに悪くなって、良いワインを賞味できる状態ではない。そこで2009年産の酸の弱い\比較的出来上がっているリースリングとして、ダイデスハイマー・ランゲンモルゲンを開けた。

グランクリュ並みのミネラルの特徴を持っているPCの地所であるが、2009年産の場合は繊細感があまりなくて評価は、2011年産のそれ並みに低い。それでも完熟の葡萄のうまさは独特の苦味を消していたので飲み易いリースリングとなっていた。そして、二年を半年も過ぎた今、先行きの最終判断が出来るというものである。

予想以上に美味かったが、もはや完成してしまっていて、現在感じる十分な酸が最後の華と思われる。これが落ちて行くと、一度眠りに入って、瓶詰後四年ぐらいには完全に終着点にいるだろう。それでも甘露飴の様なニッキのような独特のエグミが無く新鮮そのもので飲める今がとてもよい。特に二回目には豚の煮凝りと合わせたので素晴らしく、これほどの深みと煮凝りの奥ゆかしさが良い相性を示していた。

この程度の、つまりPCクラスのワインで、瓶熟成を思い存分愉しめて、同じワインの熟成を楽しめるのはリースリングの他にはないであろう。特に瓶詰直後から二年までの変化、そこから四年五年の円熟、その後の経年とこれほどに瓶熟成するワインは赤ワインを含めて無いに違いない。

なるほど、百年ほど前には、マルゴーなどよりもドイツワインの方が明らかに高価だったのは貴腐ワインが中心となっていたようではああるが、熟成の価値はその当時は現在のようなグランクリュのリースリングほどではなかったであろう。我々インサイダーでは、ドイツのグローセスゲヴェックスがその価値の上昇で抜きに出るだろうことは確証できている。

注文したワインが来ないので、痺れを切らしてファンフォルクセム醸造所に電話した。既に発想は始まっていたのだが、片っ端から送り出すということなしにおいてあるという雰囲気だった。この辺りがなんとなく大名商売らしく、流動資金に一切困っていない証拠でもある。なんてことない従業員もこれならば楽して催促が来るまで待っていればよいのである。そのような仕事ぶりがここのリースリングにもあるような気がする。まさしくスロ-ドリンクである。それにしても、注文が通っていたのを確認するときに、ゴッテスフースなどが出て来ると少し鼻が高い - どうも電話の相手はそれを勧めてくれたどこかの醸造所の娘さんのような従業員のようだったが ―、なぜならば、まさに何を先行予約するかこそが鼻利きを示しているからだ。



参照:
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いつも瓶熟成を待ちながら 2012-11-01 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2013-05-07 17:18 | ワイン | Trackback

今も続く摘み取り作業

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一昨日のホーヘンモルゲンの葡萄である。摘み取りは既に一ヵ月半以上続いているが、写真のビュルクリン・ヴォルフ醸造所のものも隣接のバッサーマンヨルダンのものもまだ残されていて、向かい側のモスバッハー醸造所のキーゼルベルクも摘み取り中であった。

要するにグランクリュは最後まで残されていたようで、今週末の気温低下と金曜日の雨の前に最後のグランクリュが摘み取られるのだろう。摘み取りが始まるまでは平均的な年度であったが、これだけ長く果実の熟成が為された例は最近は知らない。もしかすると、可也大型のグランクリュが期待できるのかもしれない。

そのように考えると今年の赤みの多い紅葉は、まさに酸が分解されて作られる寒暖の変化そのものであり、その紅葉の長さと同じく長い熟成が託されているのだろう。

先日来飲んだワインでは、何と言っても試しに開けた2009年産の中で、レープホルツ醸造所の雑食砂岩Sは素晴らしかった。酸の熟成だけでなく、落とした糖も、2009年の弱い葡萄で些か熟成が早まっている感じはあったが、春の最高潮を迎えていた2008年産の同じものに比較しても、とても品質が高かった。

2008年産の特徴は華やかな暴れまくる酸とその果実風味に尽きるのだが、それに比較すると2009年産はミネラル風味と落ち着いた引っ込み思案の酸が特徴であり、その質量から熟成もあまり長くは期待できないのであるが、現時点での青りんご系の味質と枯草風味は最高のリースリングの一つであった。

醸造所には飲み頃に関するサジェスチョンを与えているので、レープホルツ夫妻自体も私の言わんとすることを今回のSの瓶熟成でも実感していることだろうと想像する。顧客兼最高の理解者冥利に尽きる瓶熟成である。



参照:
センチメンタルな恋心? 2012-09-19 | 暦
何処までもついて行くわよ 2012-05-20 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2012-10-24 16:37 | ワイン | Trackback

グローセスゲヴェックス解禁日

なんだかんだと忙しくて、九月一日のグランクリュ解禁日には一軒しか立ち寄らなかった。試飲会に招待されていながら参加出来そうにないビュルクリン・ヴォルフ醸造所である。前日に駆け込みで三本ほど前注文をしておいた。そのお陰で入手は出来たのだが、どたばたさせられたと少し責められた。

売り切れてしまったのがウンゲホイヤーと聞いてびっくりした。一万五千本しか収穫だったそうだ。大分腐りを落としたということである。昨年の夏は雨が多かったから収穫時期に黴が繁殖したのだろう。しかしウンゲホイヤーは広大な土地に広がっており、何処の大手も十分な耕地面積を持っている。だから未だに信じられない思いである。

最高級品のキルヘンシュテュックが数が少なくて試飲不可なのは通常であるが、今年はウンゲホイヤーの試飲が出来ない。その他で試飲出来たのは、カルクオーフェンとホーヘンモルゲンとガイスボェールにペッヒシュタインであった。

PCクラスにおいても今年の出来は酸と糖の関係がギクシャクした感があって、なかなか飲み頃に出会えない2011年産であるが、やはりGCクラスも傾向はよく似ていて、比較的飲み易いのは単純なカルクオーフェンで、それにパワーを加えて複雑にしたのがホーヘンモルゲンである。

若干2005年産をも思い起こさせる傾向もあって、綺麗に熟成しそうなのは限られるような気がする。その意味からするとガイスボェールは無難であり、やはりペッヒシュタインはとても優れている。

減酸をとても丁寧に行った2010年産のような感動が無いのは、比較的凡庸な年度であったことから仕方ないのかもしれない。その意味からすると水不足で焼けが入っている葡萄の2012年の方が今後の進展によっては期待出来そうである。

2011年産に関しては、雑食砂岩のプファルツよりも、ザールやナーヘのリースリングの方が好ましく感じられるのは、やはり気象の影響があったとしか考えられない。その詳細はまだ掴みきれていないが、プファルツがもう一つうまく行っていない印象は正しいのだろう。酸は、寧ろザールやナーヘなどよりも鋭いのだが、分厚さが繊細さを壊しているという印象がある。来週はラインガウを試すので、その点もはっきりするだろう。



参照:
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グランクリュ解禁の反響 2007-09-14 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2012-09-03 04:12 | 試飲百景 | Trackback

鰻上りの高品質を堪能

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満を持して最後の一本のリースリングを開けた。2002年産ペッヒシュタインでである。十年前には何度も垂直試飲させてもらったワインなのだが結局後にも先にも一本しか購入しなかった。理由は特別なリースリングであって、最後の一本しか購入出来なかったからだ。何度も何度も試飲のご相伴に与って友人には勧めて買わせたのだが自分はこの一本である。

理由は単純で、自らは2001年産の繊細さと新鮮さを好むから、垂直試飲するとどうしてもこの特別にミルキーで豊満なそれに手が伸びなかったのである。それどころかその香ばしさは、― ワインは食事のご相伴がモットーの愛好家として ― もはや燻製の鰻しかあわせるものがないという結論が導き出されていたからである。ワインをちびちびと飲むという習慣が全くないものだから仕方がない。ビール党の人間だから仕方がない。

そこでその話をしておいたら、本当にその機会を作ってくれた。山仲間の兄が釣り名人で一週間前ほどに十分に淡水魚を釣ってきたというので、2002年産それと通常の川魚に合いそうな2004年産を持参したのであった。燻製の装置も新しく購入してお披露目となった。鰻も何匹もライン河畔で釣ってきており、コイ科の魚と山で釣ってきたマスの三種類が一週間以上にわたる準備の後燻製にされた。それ以外にもう一種類フリカデールにされてオードブルとなった。驚くべきことに全く臭みもなく砕けた骨が魚を感じさせたぐらいで、塩水につけていた分が残念ながら塩超過となった。

さて燻製の方は新しい装置だったので試し試しの部分もあったが、コイ科のそれだけが燻製が通らずにもう一度繰り返し煙にこめられたのを除いては完璧で、驚いたことにこんなに美味いマスを食したことはなく、やはり手間隙掛けた燻製の威力を感じさせる。そして、コイ科のそれはなるほど藻臭さをどこかに感じるのだが、丁度それは2004年産ペッヒシュタインのどこか曇った香辛料臭さに全く完璧な相性であった。

そして、お目当ての鰻である。これまた脂臭くしつこさの極みのようなこの長いものがこれほどミルキーでぽってり感があるのは知らなかった。やはり体験してみなければ分らない味の世界が幾らでもあることを知った。日本で食される鰻巻きや鰻鮨の程度ではないこの純粋な美味はどうしたことだろう?

それに寄り添う2002年産ペッヒシュタインには、これ以上の食事はないと思わせる相性であった。コルクを抜いてグラスに注ぐや否やその果実風味に確信を持った。幾らか不安があった鰻の油の灰汁にワインが潰されることもなく、ワインが強すぎて鰻の味を分離させることもなかった。このワインは全くフィルンと呼ばれるような黄昏には遠く、色合いも十年前と殆ど変わらない。そしてなによりも2002年の酸が心地よく口の油を綺麗さっぱり洗い流してくれるのである。なんという濃くのある殆ど燻製されたような果実風味だろう。

リースリングと魚の相性。先ずはここに完璧に示すことが出来た。そしてこのグローセスゲヴェックスに黄昏が訪れるのもまだまだ先の様子で万が一可能ならば十年ほど先に2001年産と比較して楽しんでみたいものである。それに比較すると冷夏の2004年産の限界は初めから定まっていたが、新鮮な香料味ではこれまた燻製魚の灰汁を綺麗に流してくれる清涼感がとてもよかった。2009年以降は完全天然酵母醸造となったビュルクリン・ヴォルフのペッヒシュタインであるが価格も上がったが、その質に関してはヒュージョンソンが自らセラーに買い込んだのも当然で、白ワインの最高峰に違いない。

次回は出来ればワインとは関連なく鰻の蒲焼に挑戦してみようかとなったので、色々と鰻の種類やレシピーなどを調べてみなければいけない。しかし、こうした高品質の燻製と比べれば蒲焼の味は殆ど野蛮としかいえないが上手に遣れば鰻そのものの味を引き出すことが出来るだろう。d0127795_22475739.jpg



参照:
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自主避難の自主判断基準 2011-08-14 | マスメディア批評
まさに春は虚の状態の季節 2011-03-05 | 生活
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by pfaelzerwein | 2012-04-23 22:50 | 料理 | Trackback

アルコールの乳酸への影響

朝の20分ランニングコースを走った。先週は、ボルダーリング、クライミングと通常通り二回に日曜日の道場破りの遠征が加わるところだったが、それが無くなって週末は大人しくしていた。先週は週末までワインをグラスに一杯とヴァイツェンビーアを一本しか飲んでいない。

肩の関節など通常は使わないところが張っていて、風呂に浸かっても直らなかったので、週末に走ればよかったのだが、疲れが残っていた。いつものようにパンを取って肉屋に行くまでの間に一走りである。

一週間前に上りを感じなかったので、今回は万歩計をつけてゆっくりと走り出した。直ぐに先週とは違って足に違和感を感じたので、様々な相違を考えたのだが、足場の悪さ以外にはあまり感じなかった。強いて言えばワインを開けたことぐらいだろうか?

それでも上りのテムポは遅めでも長めのピッチを切れて、上りをあまり感じなくなったのは先週と同じである。計測値は上り12分で凡庸な数値であったが殆ど一分近く短縮している印象があって、案の定下って時計を見ると22分しか経過していなかった。下りを急いだ訳ではないが、明らかに上りも下りも時間を短縮している。

さて、アルコールの影響であるが、頭脳労働の場合は緊張のストレスなどがあるので、アルコールは思考には役に立つこともあるが、スポーツには明らかに能力が落ちることは感じ取ってきている。以前は持久力にそうしたアルコールの影響を感じていたが、運動の能力限界を目指すとどうしてもアルコールは運動能力を落としそうである。量とか期間とかは分らないが、スポーツ選手には時々飲酒するぐらいが最適なのだろうか?

この間開けたワインについては期間が延びたのであまり覚えていないが、以下の2010年産の三種類は色々な意味で興味深かった。先ず何よりも、ミュラー・カトワール醸造所のピノグリで、通常は買わないこの独特の葡萄の味が強烈な酸と炭酸でこれほど軽い飲み口になったものを知らない。価格も手ごろであり、機会があれば追加購入しても良いかと思っている。もちろん安物のグラスに注いだらどんどんと酸化して臭くなってくるそれとは違って三日目にも全く問題なく楽しめる。酸が益々強く鋭くなってくるので恐ろしい。

酸が強い意味ではビュルクリン・ヴォルフ醸造所のPCリースリング「ゴールトベッヒェル」が物凄い。今まで歯に感じるような激烈の酸をあまり知らないが、十分に酸を分解していて、更に高度な除酸をしているのであるが、二口も口に含めば歯にがんがんと当たる。こうした醸造は失敗だったのかどうかはまだまだ回答が出ないであろう。しかし今飲んでも仕方が無い。基本は天然酵母と糖を落としたミネラルであるが、ここまで激性酸であると瓶詰め後九ヶ月ほど経っていてもまだまだ恐ろしい。

それに引き換え最もドイツで糖を落とす醸造で有名なレープホルツ醸造所のGC「ガンスホルン」は、試飲のときの印象を引き継いでいてとてもフルーティーでまるでぶどうジュースを飲んでいるようで飲みやすい。ここのリースリングにしてはとても万人向きのバランスであるが、まだワインらしくなっておらず、偉大な印象は無いが、今日現在までに飲んだ2010年産のワインの最高峰であることは間違いない。葡萄の糖の分解は綺麗に出来ている感じであり、それ以上に培養酵母を大変上手に使っているように思われる。除酸に石灰を使っている様子が無いので、これがセシウムをそれで置換した福島の米と同じように高価なカリウムを利用した除酸であろうか?兎に角、角が丸くなっていない上に、綺麗に酸が整えられている。フルーティーさも手伝って、例年の超辛口よりもフルーティーさが顕著のは2008年産と同じである。

酸が強かった2010年産は如何に糖を残してバランスを取って、将来の熟成につなげるかが、その除酸とともにどの醸造所も苦心した点である。そのお手本になる資料は、過去の父親などが残した手記が使われる場合が多くて、伝統のある醸造所ほどこうした特別な年度を将来を見据えて苦心して醸造しているのである。

2010年産は、四年ほど経ったときにその醸造所の実力がくっきりはっきり見えてくるような年度であったに違いない。天然酵母を使ってふっくらとしてなかなか収まりがつかないリースリングの方が、素人向きの培養酵母ですっきりと仕上げたものより遥かに将来性があると思うのだが、それは只の推測であって、少なくとも今現在美味い方が良いというのにも一理ある。要は除酸の按配である。



参照:
台地を越えて走り続けると? 2012-01-17 | 雑感
漬物味のハウスワイン 2011-09-22 | 試飲百景
ファンデルスワールス感 2011-11-09 | 試飲百景
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by pfaelzerwein | 2012-01-24 04:47 | 生活 | Trackback

高級な持続可能な環境

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承前)好天が続く中、腐りの危険を除去しながら、出来る限り葡萄を下げておく。それは一種の賭けなのかどうか?もちろん業務用に有料の天気予報は流されていて、降雨の前に摘み取ればよい。しかし、そこまですると何が違うのか?

ワインの味の深みとか酸の分解とかの熟成だけならば、最終的に消費者の都合で、そこまでのものを求めなくてよいのである。そうではないのである。絶対的な価値がこうして高まるのであるから、市場での売りやすさ以上に品質に拘る財政的な余裕があるからこそ出来るオーナーの判断なのである。

先ず、酸の分解が進んで経年変化に強いリースリングが出来上がる。これだけで、直ぐに市場で売り切れることがなくても末永く瓶の中で寝かしておくことで、素晴らしい熟成ワインを供給することが出来るのである。

2011年産の場合は、酸が2009年よりも効いていないということで、本当の意味で偉大なリースリングは期待できない。しかし生産量は、2008年などに匹敵するようになるようになるのではないだろうか。そのような時には、グランクリュは必ずしも急いで売り払う必要もないのであり、一年でも長持ちするようなワインとなると都合がよいのである。

そこでドイツで最大規模の私有のビュルクリン・ヴォルフ醸造所などは、早めに各々の葡萄を採取して、天然酵母として使えるように準備してあるというのである。そうすることで少々痛みが進んでも健康な葡萄からの健康な酵母で、その地所のワインが自然発酵で醸造できる準備が整っているというのである。

だから、若干下げてある葡萄に痛みが進んでも、それ以上に葡萄の熟成即ち酸の分解が進むことで、酸の量に如何によらず長持ちする深みのあるリースリングが醸造することが出来るのだ。

まさに、堂々巡りの話題となるのだが、リースリングに喉越しだけを求めて冷やし気味に飲んでばかりいると、ワインの本当の複雑さとか深みだとかも分らず、熟成したワインがどうしたものかも分らないのである。逆に、そうしたワインでないと、経年変化で新鮮さが薄れて、瓶で熟成させようと思っても全く上手に熟成しないのである。ドイツのリースリングがペトロール香の「加齢臭」が特徴だとか思っている向きは本物のグランクリュをまだ経験したことのない向きに違いない。

そうした相違に我々の地元が将来共によい持続的な環境を築けるワイン造がある。品質への拘りと一言に表してもその実は一つ一つの積み上げでしかなく、毎年毎年異なった課題への挑戦でしかない。(終わり)



参照:
久しぶりの六本木 (モーゼルだより)
ここでも効率から質への転換 2011-05-29 | 試飲百景
ヴァイル御一行様のご相伴 2010-10-01 | 試飲百景
気象温暖化の具体的な影響 2009-11-15 | アウトドーア・環境
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by pfaelzerwein | 2011-10-03 09:53 | ワイン | Trackback