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解禁なったPCリースリング

漸くPCリースリングが解禁になった。ドイツでブルゴーニュシステムを導入した本家ブリュクリン・ヴォルフ醸造所のPCである。毎年解禁日はずれるが、ザールなどを除けば何処よりも遅い感じになりつつある。勿論満を持しての解禁にはそれなりの意味がある。勿論それなりに質が高くなければ意味がない。

さてルッパーツブルクのホーヘブルクからである。評判を聞いていたので楽しみだったが、酸が丸くなっているだけで、重くはないがその酸が酢酸系になっていてちっとも面白くない。なるほどこうした丸みが通常のワイン飲みには愛されるのかもしれない。

次のゴルトベッヒャルは香りからして待ちわびていたものであり、ミネラル風味が強く出るこのPCシリーズの中では最も残糖を落としたものである。落としたといってもレープホルツ醸造所のそれと比べると一桁も違う。

それに比較すると更に標高の高いダイデスハイムのランゲンモルゲンは、酸も強くシャープである。ここまでシャープな酸のランゲンモルゲンは覚えがないので、量感を補うために早めの収穫となったのかもしれない。とても危険な酸で、六種類を試しただけで歯が知覚過敏になってしまってピーナツなどは到底噛めなくなった。2012年産でこのような体験は、ナーヘのシェーンレーバーなどで若干あるだけでこれほど少量でこれほど攻撃的な酸は知らない。

そもそもこのドイツのリースリングを牽引する醸造所のリースリングが今ひとつ人気の的とはならないのは、伝統的に強い酸と強い清潔感であって、一面では都会的な繊細をよく出しているのだが反面厳しすぎる強さと価格が倦厭された。そして酸が弱い筈の2012年のこの出し方こそが、正しく誤解を生みやすい瓶熟成という将来へ向けた醸造方法なのである。

基本的には酸が十分に分解されてから収穫しないことには二十年後の瓶での成熟を考えると駄目なのであるが、GCでないPCにおいてはその必要もないのである。恐らく二年から五年の通常の愛飲が計算されている。つまりこの最初のリンゴ酸系の鋭さが二年ほどで落ちたときが最大の山ということである。

その意味からは、最初のものにはなんら関心がないが、次のレッヒベッヒャルは予想以上に酸が鋭くおかしな香味がなくて、枯れた藁の感じや薬草臭がよかった。もう一度家で試してから考えてみたいが、その隣のボオェリックは年末頃に山になるのであろう。そうなると、蔵出し小売定価19ユーロは可也高価なワインとなる。もちろん待降節の料理にあわせてとなると、現在の酢酸臭も変わってくるので決して高くはないだろうが、間違っていまこれらを購入して飲み干してしまうと文句しか生じない。

同じような意味で、そもそも細身でストレートさのあるゲリュムペルの酸が弱く丸みを帯びているがまあまあ糖を落としているので俗受けする味となっている。この辺りはその量産体制と市場のターゲットとの関係で醸造事情で明白だ。

正直、最初のものをこの通常価格でも買わなければ割引価格でも買わない。同じだけの価格を出すならばロベルト・ヴァイルの下の価格のものの方が良い。しかし、興味深い三種類となると16ユーロのレープホルツ醸造所のどれをとっても、これらほど瓶づめ後二年間を刻々と楽しませてくれるものはない。要するにお買い得なのである。六本を開ける度に喜びや期待が膨らむ。それに比較すると、レープホルツのそれは二年待った方が得策なのである。

ワインを選択するだけでなくて、その飲み頃をなんだかんだと楽しめる高品質のリースリングとしてこれらほど素晴らしいものはないのである。来週まで一本づつ家で開けながら、最終的にGCまで含めて何を購入していくかを選択していかなければいけない。それにしてもドイツのリースリングのインフレ率は激しい。その質の向上もここまでの数年の様には急上昇は期待できないながらも、まだまだフランスの白からすれば割安感が強い。とうとうフォルストのキルヘンシュトュックの辛口リースリングが蔵出し小売価格で100ユーロになった - グローセスゲヴェックスの最高価格商品である。マルゴーなどに追い付く日もそこに見えてきている。



参照:
試飲会の後で開けるワイン 2013-05-07 | ワイン
十ユーロ越えのテロワール 2013-06-07 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2013-07-04 20:22 | 試飲百景 | Trackback

いつも瓶熟成を待ちながら

ピノノワールの2007年産を開けた。上位の価格帯のようにロマネコンティー周辺の本物のブルゴーニュではなく、ボーヌの外れの地域のオー・コート・デュボーヌなのでボーヌのそれとも大分違うが、少なくとも2007年産の特徴の一端だけは把握できた。

サンジョージにあるドメーヌ・アントニ・ロデのシャトー・メルクリで瓶詰めされていて、その意味からはある程度はスタンダードなブルゴーニュである。価格も8ユーロほどと必ずしも安くは無いが高くも無いので、駄目はもともとでUマルシェで購入したものである。

その栽培地域の特徴から色も薄く、アルコールも11.5%と薄旨系のピノノワールであるが、あえて言えば酸が効いている分同じ程度の同じ傾向のシュペートブルグンダーよりは特徴があるのだろう。しかしその酸の出方はまるで北方の赤ワインのようで、ドイツのそれと間違えるほどである。

要するにブルゴーニュの天候はそれほどドイツワイン街道などと変わらないということかもしれないが、反面2007年産の高級シュペートブルグンダーに特徴的な獣臭さが無いのが理解できない。考えられるのは、その程度のピノノワールではあまりテロワールや年度の特徴が表れないような醸造技法を用いていて、寧ろドイツの醸造所の方がその与えられた葡萄の中で精一杯の特徴を出そうとしているのかもしれない。

6ユーロ以下のピノノワールでは明らかにブルゴーニュに軍配を上げるが、8ユーロ周辺の価格帯となると、高級シュペートブルグンダーを排出しているゼーガーなどのスタンダード商品の方が遥かに品質や風味とも上である。その理由は簡単で、生産量がブルゴーニュの大量生産とは比較できないほど少ないからである。勿論そうなると、両地域の近くに住んでいない限りその差異を確認するのは門外漢には不可能となるである。

2009年産が双方ともある一定程度以上であるのは確認できているが、シュペートブルグンダーとして上質なモスバッハーのそれとその半額ほどのブルゴーニュを比較した場合、後者のタンニンの出し方など技の優れ方を確認した。

2011年産は現在のところ上位の商品は出ていないが、来年ぐらいになると徐々にエセゾなどの商品が棚に並ぶので、30ユーロほどと些か高価であるが試してみたいと思っている。本格的にブルゴーニュに買い付けに行く心算で何年も経過しているが、先ずは市場に出ている商品を色々飲んでみて焦点を絞るにフランスのスパーマーケット市場の商品は決して悪くは無いと気がついた次第である。

先日、ダイデスハイムのランゲンモルゲンの2011年度産を再び開けた。瓶詰め後数ヶ月以上経って漸く飲めるようになってきた。明らかに2009年産よりは繊細で、2008年の酸の押しの強さも無いが、2007年産には及ばない。なによりも酸がもう一つなので、あまり長持ちは期待できないだけでなく、ある程度熟成が始まらないと旨みが出ない。あまり熟成させると苦味に傾くことが2006年産にはあったが、それに比較すると健康でありミネラルが綺麗に出ているので、瓶詰め後二年までに頂点を迎えそうである。決して悪くは無かった



参照:
ポストモダンと自嘲した男 2012-10-30 | 文化一般
雲海上のピクニックを愉しむ 2012-10-23 | アウトドーア・環境
フランススーパー売りのワイン 2012-10-09 | ワイン
嵐の中での中身の熟成 2012-07-15 | 暦
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by pfaelzerwein | 2012-10-31 22:35 | ワイン | Trackback

収穫量の少ない夏の日の収穫

結局人待ちの日になって仕舞ったが、早朝に散歩して、床屋にだけは行けた。この時期になるとサマーカットにするタイミングが重要になってくる。上手い時期に短くすれば秋まで気持ち良く過ごせるからである。

「長く顔を見せなかったね」と言われて、「フランスに行ったあと来たわけだから六月終わりか七月には」と答えた。「八月初めにこれほど涼しかった覚えはなく、観天望気では天気となっているのだがどうしたものかな?」とふると、「観天望気の天気は正しく、必ずしも暑い必要はないからね」とその通りである。

もちろんのこと涼しいことは良いことで、「2007年から続いている良年が今年も続きそうだね」と喜ぶと、「今年は質は兎も角、量は大分落ちるらしいよ。60ヘクトリッターだから」と、それなら「全部がグランクリュじゃない」と笑った。

実は床屋に入る前に、葡萄を全く落としていないのに気が付いていて、不思議な感じがしたのであった。要するに、収穫量制限どころではなくて、収穫が悪いのである。覗いてきたダイデスハイムの地所「パラディースガルテン」や「ランゲンモルゲン」もグランクリュ地所であろうがなかろうが殆ど様子は変らない。ただ一軒、クリストマン醸造所のグランクリュなどに良く手が入っていることは確認出来たが、その他の葡萄は二桁に至ろうかという房が付いているものまであった。これはどうしたことかと思ったのである。

要するに2008年の豊作と比べると三分の一ほどの収穫になるのではなかろうか。簡単に想像すると、安いワインはあまり良いものが出ないだろう。2004年産のように酸が強い、熟成度の低いものになるのだろうか。少なくとも現時点での葡萄の粒は皮もしっかりしているようで期待が出来る。上等のワインはそもそも収穫量が少ないからその影響見少ないだろうが、裾ものの売り上げはやはり落ちるに違いない。今年の内に来年も楽しめる適当なワインを仕入れて置くべきかも知れない。

パン屋もバイエルンのケーニッヒゼー辺りで休暇を過ごしてきたようだ。しかし、いつもとは限らないこんなに美しい夏のワイン街道を、リースリング片手に楽しまないと言うのはあまりにも惜しく、全く灯台元暗しに違いない。
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by pfaelzerwein | 2010-08-11 12:57 | 生活 | Trackback

高級リースリングの質を吟味

昨晩はヘッセン州のエルステスゲヴェックス検査に落とされたバイケンの残りを飲んだ。前日のこれほど美味いリースリングはないと思わせるそれは一気に消え伏せていた。審査において24時間時間をおくことはないだろうが、強制的にエアーリングをデキャンタでさせて試飲するのだろう。要するに初日のバイケンの開いたような時点を本当に開いたと勘違いすれば、二日目のそれは酸化し易い還元醸造法のそれとなるに違いない。それが不合格となった理由と納得できた。

しかし、バイケンがエアーリングぐらいで一挙に開くワインならば愛好者などがいる筈がない。そもそもエアーリングで強制的に開くことが出来るグランクリュなどしかるべき期間を寝かして飲む価値も無いのである。フォルストのペッヒシュタインもその通りであり、ミッテルハールト地方のグランクリュでそんなものがあれば眉唾物である。そこにヘッセンのエルステス・ゲヴェックスとプファルツのVDPグローセス・ゲヴェックスのレヴェルの違いが存在するのだ。

その二日目の落ち方も、安物ワインによくある残糖感が目立ち可笑しな香りが漂ってくる腐りやジュースのように気が抜けてしまうそれと、只単に香りや華やかさが去って液体の中に塊となって華が閉じてしまうバイケンのそれとの差は甚だしい。わかんねェだろうナ!

ドイツで有名なグルメ誌ファインシュメッカーがミュンヘンの最高級ホテルバイエリッシャーホーフで2009年リースリング杯の授賞式パーティーを開くと案内状が来た。本年度の受賞五十醸造所が集い、立食パーティーが開かれるそうな。その参加者の顔ぶれを見れば所謂ドイツ高級リースリング醸造所の面々が出席しているのが一目瞭然である。日本の情報通の方にはいちいち挙げる必要もないだろう。

それでも気になるのが、バーデン地方のデュルバッハのそれなどは良いとしても全部でバーデンが七軒で水準以上の数がそこに含めれていることだろう。カイザースシュテュール周辺でそれほど良いリースリングはない筈なのだ。ザールから三軒、ルーヴァーから二軒、甘口のモーゼルから十二軒、ナーヘから四軒となっている。それに比較して、ラインガウの五軒は多いと見るか少ないと見るか?プファルツでは、ミッテルハールト四軒、それ以外で四軒は2008年の出来としては十分だろうか。フランケンから三軒も、ミッテルラインから二軒も妥当であろう。ヴュルテンブルク一軒、アールから一軒などというのもリースリングとは関係ないのではないか。ラインヘッセン三軒も許容出来るだろうか。

五百人のゲストが集いバンドをいれて夜中までパーティーは続けられるという。こうして案内を受けた醸造所の顧客は安くパーティー券が買える。ワイン栽培地から遠く離れたミュンヘンに住んでいれば冬のパーティーとして楽しいのかも知れないが、我々がミュンヘンまで泊まりに行く価値はないだろう。もちろん11月の初スキーを兼ねてと言うならば分からなくもないが。

そして今、2006年産ダイデスハイマー・ランゲンモルゲンの最後の一本を開けた。夕食に合わせて、少し熟成したものが飲みたかったのだが、早熟の2006年産にしてもグランクリュを開けるにはそれなりのいい訳が必要だ。それならばとピルュミエクリュに白羽の矢がたった。開けて大成功であった。試飲以降飲み惜しんで飲み頃を逃がし通しだったが、六本目にしてやっと追い付いた。

色は可也強くなっていて、完全に熟成段階に入っていることは視認出来た。案の定例の白檀香の甘露味の苦味が消えて、マスクメロンやら黄桃の味そして黒砂糖の虎屋の羊羹の味に変わっている。これならば女性にも奨められる。そして不思議なことにあれだけ低かった重心が高くなって、活き活きとして来ているのである。これは美味い。夕食は予定通り栗入りのザウマーゲンだ。2006年産はこれで無くなったが、2007年産は二本残っている。これだけで少し幸せな気分になれるのが嬉しい。



参照:
わかんねェだろうナ 2009-10-13 | 試飲百景
待てば甘露の日和あり 2008-08-19 | ワイン
森の泉の渋味の世界 2008-05-19 | ワイン
画竜点睛を欠かさない充実 2009-03-06 | 試飲百景
お好み詰め合わせのGC 2009-05-21 | ワイン
盛夏過ぎて、調子を落とす 2009-08-18 | 料理
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by pfaelzerwein | 2009-10-25 04:46 | ワイン | Trackback

画竜点睛を欠かさない充実

「よーみよ」五本印のビュルックリン・ヴォルフ醸造所で試飲して頂いた。実は私自身それほど数を買っていない。どうしてもその価格を考えると慎重になってしまうからであり、なによりも普段のワインの愉しみからすると、それほどこのリースリングは特に必要も無ければ愉しむ精神的経済的余裕がないと言ってしまう方が正しい。

しかしそれでもここの醸造所のワインを知っているという点では、彼のヒュー・ジョンソンでも私の足元にも及ぶまい。醸造所の中でも私より長い期間に及んで飲みつけている者は数が限られるであろう。

今回の狙い目は十分に数のある2007年産のグランクリュを試飲して購入して貰う事と、飲み頃と言われる2001年産のそれらを比較する事であったが、後者の玄武岩土壌のペッヒシュタインは数が少なくなっていて試飲出来なくなっていた。友人も買い占め、私も十分にご相伴で試飲させて貰ったから文句を言うまい。

それでも今年オーナーの蔵から放出された1999年度産の幾つかを試飲出来て、更に友人が支払った割り増し送料からのキャッシュバックが手に入り、僅か二ユーロでランゲンモルゲンを購入できると言う実質上の隠れリべートの恩恵を受けた。「セールスマン」として売り上げで千ユーロも達成できれば当然のご褒美であろうか?

先ずは、お奨めであり典型的なこの醸造所の切れの鋭いリースリングであるヴァッヘンハイム自慢の地所ゲリュンペルと、ルッパーツベルクのその正反対の膨らみと余韻のある土壌ホーヘブルクが比較される。既にその前の試飲やピクニックからどちらを選ぶかは、前者の切れの良さと分かってはいたが、後者のリースリングにもザウマーゲンに合わせれるような雑味の無い良さがあるのだ。しかしそうなるとどうしても他の醸造所の旨味との比較になり、フォン・バーサッーマン・ヨルダン醸造所のより廉価な早飲みの物の方に長がある。逆に言うとバッサーマンがもう一つ良いリースリングをルッパーツベルクの土壌で造れていないのが問題なのである。

第二ラウンドは、ペッヒシュタインとカルクオーフェンである。まだまだ開かない前者の真価知るのは難しいが、後者の石灰質のミネラルは感じて貰えただろう。これはその比較的手頃な価格からしてもお勧めである。

次ぎは、ルッパーツベルクのガイスベールとダイデスハイムのホーエンモルゲンの比較である。前者の若干土の土壌感のあるボディー感と後者の膨らみ感ではやはり後者に軍配が上がる。しかし、ある意味ここまで来ると殆ど好みなどの問題ではなく、お客さんに言わせると「ここのワインはあまり日本人向きではない」となるのだろう。

恐らくアルコールに匹敵するだけの充実感という事で、酸にしても他の要素にしても中身が几帳面に詰め込まれている「ドイツ臭さ」を感じ取られたようだ。それは、フォン・バーッサーマンの旨味と比べる時に、よりつき詰めた形であるに違いない。それだけに、「メードインジャーマニー」の俗に言う画竜点睛を欠くことの無い印象がここのワインにはあるのだろう。

その後、系年変化の熟成例として2003年産カルクオーフェンや2002年ライタープファードを比べる。前者は酸の弱い大味なヴィンテージを反映して尚且つ恐らく瓶が開いてから時間も経っているようで完全に逝って仕舞っていた。後者はその独特の土壌がキャラメル味を醸し出していたが、とても続けて飲めるような代物ではなかった。

その点、1999年産のランゲンモルゲンは素晴らしい。まだまだ酸味が利いていて尚且つ巧く熟成しているのである。即購入したのがこの二ユーロである。そして家で開けても明くる日もちっとも衰えないのを確認する。ただ感じたのは、恐らく十年前のシュペートレーゼ(アルコール12.5%)は今のピリュミエクリュ(アルコール13.5%)ほど収穫量を落としていなかった様子で、現在のそれの逆に熟れた甘露風味の凝縮感はない。そしてこれを書きながら比較のために開けた2007年産は、開けるや否や所謂白檀系の最高級のフランス製香水の香りが一面に放ち出すのである。こんなのは初めてである。恐るべきワインである。

さて最後に試したのが、1999年のレッヒベッヒャルであり、これは流石に古くは感じなかったが、新しいとき同様感心はしなかった。

さて、ここまで来れば、お奨めは2007年ゲリュンペル、カルクオーフェン、そしてホーヘンモルゲン、さらに2001年のそれという土壌としても多彩な選出となった。最後のそれは十分に高価であり、自らが試していないので気にはなったが十分に価値があったと言うことで羨ましく思っている。

そうした腹いせもあり、今晩はランゲンモルゲンの醍醐味を味わっているのだ。古い旧家の床の間のある部屋や箪笥階段の横に居座って昔話を聞いているような落ち着いた気持ちになるこのリースリングは本当に素晴らしい。決して、ホーヘンモルゲンのようなグラマラスな体躯ではないが、それでいて結構そこかしこの美しい曲線に魅了される。一人でちびちびと味わいたいリースリングなのである。恐らく、この醸造所一旨味のあるワインに違いない。



参照:
試飲百景我慢し切れない美味さ? 2009-03-03 | 試飲百景
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2009-03-06 04:07 | 試飲百景 | Trackback

待てば甘露の日和あり

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先週は赤ワインを開けたいような涼しい日々であった。久しぶりの牛ステーキに、試飲出来ずに購入したピノノワールを試した。

2005年産のA・クリストマン醸造所のSCと呼ばれる上位から三番目のシュペートブルグンダーのワインである。前回は、厳しい夏であった2003年産を絶賛したが、それに比べると酸が強くてバランスはあまりよくない。一般的に2005年産の赤ワインは評判であるが、このレヴェルのワインでは2003年に劣るかも知れない。格上の2003年産のオェールベルクを思い出すと、これだけの酸味があるならば、よりアルコール度が高い格上のシュペートブルグンダーなら期待出来る。2005年産のオェールベルクに期待しよう。

その次には、同じ醸造所のオルツリースリングと呼ばれる2007年産ギメルディンゲンを豚ステーキに合わせて開けた。これはケーニヒスバッハのイーディックの茶室跡での試飲会で食事に最も楽しめたものである。

なんといっても爽やかな酸味と新鮮な柑橘類の風味が食を進ませた。その風味は十分に高級ワインであるが、その価格の9.20ユーロは決して食事の相伴としては安くない。問題は、このリースリングから繊細な味覚を感じられないことで、そうなると容易に飲める日常消費用のワインとしては高価過ぎるのである。9ユーロを出せば、バッサーマンヨルダンの一級の地所のキーセルベルクなど、どんなに繊細な食事にも合わせる事が出来る素晴らしいワインがある事を考えると、競争力はない。

さて、春にも試して、その節は難かし過ぎる印象を得た2006年産ランゲンモルゲンを再び開けた。これは、その酸のバランスから比較的早飲みが勧められて、実際に前回の印象は旨味があまりにも少なく、香木の味やあまりにも肌理の細かすぎる酸が気難しい印象を与えていた。

それが今回は、香りは殆ど変わらないながら、そこはかとない蜂蜜香がその味にも出てきて、甘露として旨味を付け足してきているのに気がついた。

食事に合わせるとなると、その甘みが邪魔するかもしれないが、ぺパーミントやロズマリンなどの香料がほのかに効いたデリカテッセンがよいかも知れない。

そうなると、今まで気難しさを与えていた複雑なミネラル質と香木の香りがより以上楽しめるのである。それは丁度、お汁粉に塩をいれると甘さが増すようなものなのである。

今までの時点で、2006年産リースリングの内で最高の品質の一つであると感じた。そして、三か月の内にこれだけ評価が変わるリースリングであるからこそ、試飲の時にその品質確信を持てれば、最低六本は購入する必要がある事がこれで判るだろう。



参照:
ランゲンモルゲンとはこれ如何に (新・緑家のリースリング日記)
ドイツ旅行記2008年5月 (DTDな日々)
たとえ試飲が出来なくとも [ 試飲百景 ] / 2008-07-22
気付薬は廉い方が良い? [ ワイン ] / 2007-08-13
ワイン三昧 第一話 '05II [ ワイン ] / 2005-11-08
ワインの時の三位一体 [ 試飲百景 ] / 2007-05-11
趣味でミクロを宣う文化人 [ 文化一般 ] / 2007-07-18
対人関係の社会計算説 [ 女 ] / 2007-10-09
桜は咲いたか未だかいな [ 試飲百景 ] / 2007-11-30
非公認ガイド修行の午後 [ アウトドーア・環境 ] / 2008-06-06
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by pfaelzerwein | 2008-08-19 03:59 | ワイン | Trackback

森の泉の渋味の世界

ブュルックリン・ヴォルフのランゲンモルゲンをアスパラガス料理に開ける。この2006年産ワインの少量収穫の中、その一部を逸早く確保したのである。醸造責任者の勧めに応じて、まるで水のように流れるこのリースリングを購入した。

その後落ち着き始めると、初めに感じた静的な印象が強調されて、アルコールやミネラル味の裏に酸が隠れるような不思議な味となった。個人的には若く弾けるようなリースリングが好みなので、こうした着物を着た大和撫子のようなワインは苦手であり、既に三本以上を試したが一度も満足出来なかった。

そのような趣向もあり、元々若年寄りのような謂わば舞妓さんのような雰囲気のリースリングであったので、どうも手が伸びずつまらない思いをすることが多かった。しかし、先日2007年産を試して、その強く元気な酸に興味をもって半ダース購入したので、比較対象にこれを試すことになった。そして、もうそろそろ飲み干すべきだと言われたのである。

今回は、最初からハーブティーで口を整え、デキャンタをして一滴も無駄にせずに試そうと思ったのである。その味の傾向からアスパラガスが合うことは分かっており、万膳を期した。

今までの印象は覆されること無く、その森深くにあり人知れず水を湛えた泉のような静的なおとなしさは変わらないが、評価は変わった。何よりも深みが違う。決して底無し沼のような深みではないのだが、ざわめき一つない平らな面の下にいくつもの層が眠っているようだ。

全く酸が表に出て来ない不思議は、村の七不思議のような趣があり、今まで感じていた苦味はまさに玉露の甘みである。そして何を思い出したかといえば、日本でご馳走になった熟れたザールのスレート土壌のリースリングである。あの海藻のような代わりにここにあるのは、雑食砂岩の基調であるが、あたかも珊瑚礁のような静けさである。

あとに出て来る酸の重い圧力にゆったりと揺らぐ味の中には様々な土壌の味が滲み出てくる。是非、日本食にも合わせて頂きたいと思わせる。

このように考えてくると、人の好みも様々でそれはそれで良いのだが、上のような静的なものに見出す美観は、受ける方が見出してやるものかといえばそうとも言えない。動的で弾けた若さを受け止めるのは、こちらに体力があれば必ずしも難しくは無く、それを判断するのは容易である。

しかし、動きの少ないものを観察して細かく受け止めるのは、試験者に同じように平静さが求められる。試験者は生物であるので、全く静止することは出来ないのだが、こうした細やかさを受け止めるだけの自己コントロールが出来ていないと判断出来ない。

まるで、「雪国」を一向に読み進める事が出来ない読者が、渋味の世界を探っているようなもので、そうした良さが解るようになるには個人的にはまだまだ四半世紀ほど掛かりそうである。


参照:ランゲンモルゲンとはこれ如何に (新・緑家のリースリング日記)
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by pfaelzerwein | 2008-05-19 14:53 | ワイン | Trackback

対人関係の社会計算説

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昨日の試飲百景を書いていて急に試飲を思い立った。朝からベートーヴェンの最後のピアノソナタ三部作を調べていたが、十日前から前からご近所の不在ために預かっている階段に置きっ放しにしてある大きな荷物が気になる。その東独出身の若いブロンド女性宅には、恐らく東独の博士号を持った勤め先が遠い中年男性が同棲して居り、しばしば子連れで訪れる。その女性が犬を連れて散歩するのを、ホ長調の作品109番をざっと見たあとに髭剃り中に見つける。呼びとめようかと思ったが遅かった。

三十分ほど窓辺で書類に目を通し戻ってくるのを待っていたが、一向に姿を見せない。それ以上窓辺にいる用事も終わったので、変イ長調作品110へと目を移す。そしてある程度目星がついた所で昼食とする。

その後も、昨日の記事をアップすると、今年は訪れていない醸造所のことが気になり出した。その理由は、この近辺一体に最も優れた地所を保持する醸造所だけに、今年になって設置された地所名を書きいれた区画を示すポストが散歩するときに大変目立ち、その昔の権勢が急に蘇ったような印象を与えていたからだろう。

そのグランクリュの多くの地所は毎日の散歩道でもある。夕方五時には店仕舞いとあるので、四時過ぎに散歩に歩く靴をトランクに入れて向う。予想に反して、試飲質はひっきりなしに人が尋ねてきて、シーズン終りにしては大変盛況である。適当に混んでいる時を狙って、もし買うものがなくても試飲無しになにかを取ってこようとしていた思惑が外れた。そして略二時間に渡る試飲を終えて、葡萄畑の中に車を止めると既に六時半であった。

そこにも暖かな日曜日の有終を飾る散歩の人々がチラホラと、色づいた景色を飾っていた。結局三十分ほど一回りをして戻ってくると、流石に暮れてきていた。家に戻り、早速ワインを蔵に仕舞い落ち着いて、髭剃り器の洗浄充電などを整えていると、子供連れで犬を連れた彼女と旦那が暗闇に見えて、高い窓から顔を出して声をかけた。

早速、彼女が取りに来たが、重くはない大きな箱を抱えて階下まで持っていくと、恐縮して、「荷物の伝言を見なかったか」と何気無しに尋ねると尚一層、申し訳ないと先週は取りにこれなかったことをまるで日本人のように説明し出した。

そして、階下の玄関まで開けさせて荷物を渡した。ただそれだけのことであるのだが、以前の車の番号や言葉つきから中部ドイツのチューリンゲン南部地方の人であると思っている。そして、なぜかあの地方の人あたりと言うようなものを感じた。旦那の社交下手と言うか、そこに一種の自由社会の人種を恐れているような、管理された共産圏社会出身の人種を見ている。

もしかすると、資本主義社会の我々人種の方が様々な商売がそこここに成り立っていて、管理された人種とは違う独自の社会関係を成立させているのを気がつかずに生活しているだけかもしれない。

写真:秋のランゲンモルゲン
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by pfaelzerwein | 2007-10-09 09:45 | | Trackback