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やらかしてくれる人

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予定より一日早く帰宅した。予想通り、あとで追加参加した家具親方がやらかしてくれた。石切り場でどうなるだろうと話していた通りになった。自分自身は準備しつつ慎重に完走の可能性を考えていたが、そこまで分かっている者ならばこのようなことにならないとは言えないのがこの世界であり、不慮の事故の可能性を下げることはアウトドーアスポーツの基本中の基本である。

早朝3時30分起床、4時30分に親方の家前で集合、40分四人同乗で親方の運転で出発、6時15分シュツッツガルト空港でスキー教師女性をピックアップ、ヒンデンランクの駐車場に到着、バスでオーバーストドルフへ移動、世界的に有名なスケートリンクの横のロープウェー片道で登山、そこから出発した。スキー場上部の新雪スキーの出来る斜面の横を登り、鞍部上のところから先へと進む。そして雪原を超えて向こうの谷への鞍部に登りつく。休止を挟んでニ時間半ほどだったろうか。

そしてシールを剥がして初滑降の準備である。自身の靴の調子は履き始めから気温が高かったのかとても良かった。期待が高まる。それでも最初の斜面では息が上がって仕舞った。滑りが悪い。それでも前回の総オープンとは違って三つ目のバックルを締めれるようになってきたので大分スキーがコントロール出来るようになっている。シールを付けたまま少し斜面を滑らせても安定している。荷物もこの程度ならば滑りには影響しないが太腿には堪える。

谷向こうの大きな斜面の頂上の岩山の下に今夜の寝床の小屋がある。先ずは降りる谷が覗き込めるようになるまで滑り降りた。降りてそして長い登りが待ち構えているのである。スキー場の荒れた上級者コースのような小さな滝があった。雪が悪いのかと思って落ちていったが重めだったが普通だった。そして親方を待っていると。躊躇しているようだった。そして意を決して降りると思うとこけて「糞ったれー」と、いつもの悪態をついた ― 大抵この使い方をする者は自分自身が「糞ったれー」であることに気が付いていない。何でもない歩くほどのスピードで膝を捻っているだけだったのだが、15㎏近い荷物で足を痛めている ― 技術が無いのに体力でどうにでもなると考えているのが話にならないのだ。そのようなことははじめから分かっている筈なのだ。それが予想出来ないのがこの手の人に多い。自分自身も「やらかさないことはない」のだが、流石に山に関しては経験が上回っているので大抵の状況は想定可能である。そして山登り関連では最もこの想像力が重要であることを習ってきたのである。だから通常以上に準備を怠らない。

厳しい山登りの経験があまりなく、そうした想像力が働かない者はかなり多い。所謂カミカゼ登山者と呼ばれる者で、それは独アルパイン協会のメソッドを網羅しても駆逐できない。それは全ての危険性が数限りないからで、経験値が高い登山者ならばそうした一つ一つの小さなエラーが致命的になることを知っていて、そのようにして初めて想定外の事象に備えることが可能になるのである。逆に言えば、そうした不慮の事象を如何に避けていくかのゲームもしくは確率論的な精査がアルピニズムの醍醐味なのだが、スポーツクライミングによる大衆化で嘗てのエリートによるそれが共有されていないのは致し方が無い ― 経験豊かな者がそうした手合いに厳しい眼差しを送るのはこれゆえであり、それらは自然淘汰される者と考えられても不思議ではない。一般社会を見ればわかるように、やはりそこまで想像力豊かな人々は広義の意味でエリート層でしかないということである。

結局親方はスキーを断念するどころか歩いて降りることもできない。下の林道の終わりに辿りつくまで、事故発生から救助隊のスノーボービルに収容されるまで二時間が経過していた。結局我々も10㎞ほどの谷を滑り、スキー靴で歩いて降りて来る。ヘッドライトで凍り付いた地面を照らしながら下の町に辿りついたのは19時過ぎだった。親方が収容されてから更に四時間以上経過していた。その後車までタクシー移動して、インネンシュターットの病院の緊急搬送棟に親方を迎えに行き、親方と夕食にする。ギリシャレストランでラムを食した。

スキー教師の友人のインターン女医の住んでいる看護婦寮に皆で泊めてもらう。本来の夕食であったスパゲティートマソースを食して雑魚寝する。薄着では寒かったが山小屋よりは暖かかっただろうということで、朝食も予定通りのものを各自が食する。予定外のシャワーを同行の弁護士は浴びたが、殆んど山小屋と同じような感じで二日目を迎えることになる。

親方は松葉杖で街に居残ってもらい我々は軽装で一日だけの代替の目的地を目指すことにした。朝食も充分の量が取れて、予定外に前日にラムと赤ワインまで楽しめたので、想定外の長い下りの疲れなどはあるものの体調を壊すことはなかった。



参照:
完走するための栄養分 2017-02-20 | アウトドーア・環境
メスナー爺さん世代 2017-02-19 | アウトドーア・環境
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by pfaelzerwein | 2017-02-20 21:26 | アウトドーア・環境 | Trackback