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隠されている解放への障壁

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昨日は三十分ほど散歩した。ワイン地所ヘアゴットザッカーの上部にある石灰岩の岩肌に触れた。夜中には数時間に渡って停電があった。停電となると夜中でもなぜか町はそわそわする。隣町も真っ暗であった。それでも役所などの非常灯は輝き、どこかからピープトーンが響く。山の中にいたその暗さからすれば明るいのだが、暗くなると旧共産国のように町は不気味な雰囲気を醸し出す。少子化対策には最も効果があるのはこれだろうか?

オバマ大統領が差別問題の協会で演説した内容を伝えるものを読んだ。主な骨子は黒人層の被差別意識の是正である。現在においても差別が存在しない訳ではないがそれが社会的な不公平には繋がらないとする見解で、黒人家庭の親達に「子供には歌や運動にかまけさせずに勉強させろ」と訴える。更に、「PCにゲーム機を設置したりするな」とコンピューターゲーム機の子供への購入を厳しく批判して、「ゲームなどさせずに早く寝させろ」と説教する。しかしこれは世界中においての話しで、なにも合衆国黒人だけの問題ではない。親の教育程度やその含まれる社会層の問題であり、子供に勉強させて教養をつけさせろと言っても出来るものではないからである。コンピューターゲームへの重課税をしても達成されるものではない。

被害者意識は人を駄目にするだけでなく怠惰にするのか、教養がないからそうしたものが生まれるのか、とても難しい議論である。只そこには一種の不安のようなものもしくは本能的なものが隠されているのは確かであろう。

昨晩一週間振りに風呂に浸かったゆえか、肩から手首に掛けて病める。如何にそうした肉体的無理が直後には抑圧されていたかが知れる。そうした押さえられているものはなにも肉体的なものだけでなくて心理的なものであってもおかしくはない。

先日のザイルシャフトでは、二人のパートナーを得た。一人は三年ほど前にドロミテで同じように登った仲であり、大柄のブロンド男性でまだ四十に届くかどうかの年齢である。その時も一種の不安からルートファインディングにおいて不安定さを示していたのだが、それが理由で今回も私と組まなかった初日に最も弱い仲間と組んで更なる問題の遠因を拵えていた。

そこで最終日には私と組んで、彼の持っている潜在的な不安の克服が課題となった。私は彼の不安を目の前にして「野獣のように登れ」と発破をかけた。それは同時に私自身の不安感を対象化させた。要するにフリークライミングの領域では、嘗ての人工登攀では数多の岩肌に打ち込まれたボルトやハーケンによって空中へと放り出されずに固定される感覚が強かったのだが、現在においては限られた数の支点によってその空間に放り出されたときに落下を防ぐようなシステムへと質が変化して来ている。

つまり、嘗てはその支点によって岩肌に大きな繋がりを持っていたのが、現在は主に手足へとその接点が移って来ている事をさす。今回実感できたのはまさにその繋がりの接点の感覚である。如何に金物を通さずに要するに動くカラビナの距離感なく素肌で接点を持つと如何に身近でありえるかの感覚である。物理的に有利な事は言うまでもないが、その心理的なものは決して小さくない。

心理的な障害を除去して合理的にそれを捉えられれるかが鍵である。それが解放へと繋がる。



参照:
記憶にも存在しない未知 2007-05-27 | 文化一般
腰にぶら下げる山靴の重さ 2009-07-19 | アウトドーア・環境
永いフィットネスの精華 2009-07-17 | 生活
観光資源の無かった田舎の村 2009-07-18 | アウトドーア・環境
by pfaelzerwein | 2009-07-20 00:00 | アウトドーア・環境 | Trackback
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