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葉緑素味の2009年産との出会い

本来ならば2009年産リースリングの飲み比べをするところだったが、まだ体調が不十分で、断念する。その比較対象の一つバッサーマン・ヨルダン醸造所のグーツリースリングの感想なりとも書き留めて置こう。

先ずは何よりも色が違う。まるで青草のように緑がかっている。そして、その味はその色の影響か、まるで葉緑素味なのである。そのクロロフィルの「味質」は別として、その含有量の多さは開花時期の疎らや秋の実りの葡萄の緑の美しさに記憶に新しい。

2007年産における生物学的未熟性とは異なった生物学的成長をその葡萄が経て、天然飲料であるワインにこうして反映されていると考えて間違いはないであろう。あと数種類のリースリングを飲めばそのことも断定できるが、先ずはここでは印象としておこう。

その青臭い印象が早摘みのこのクラスのリースリングだけの特徴だとは言えないのは、カビネットクラスの収穫時期も青々した新鮮な葡萄であったからだ。反面最後まで残していたグランクリュクラスの葡萄にはこの傾向は少ないのではないかと思われる。

心配されていた酸の量感は決して低くはないが、先日飲んだソーヴィニオン・ブランの糖過多に見られるように、どちらかと云えば例年に比べ引っ込み思案な繊細な酸である。つまり、2008年産の押し付けがましさがない分、より多くの人に好まれるに違いない。しかし、2007年産のあの新鮮さに欠けるのも特徴である。

さてこの嘗てはサマーワインとして売られていたグーツリースリングであるが、名前が変った分アルコールが12%に上がっており、暑い夏に飲むにはもう合わなくなっている。かといって深みがあるかというと、青臭くさらに酵母味の日本酒のような醪感が頂けない。

百周年を迎えたVDPの現行のカテゴリー分けとして入門者向けの手軽なワインであるグーツリースリングであるが、なかなかうまいワインには巡り会わない。これとオルツヴァインやラーゲンヴァイン、グローセスゲヴェックスなどを比較する対象としては良いが、これがVDPの考えるように「出会いのワイン」となるかどうかはなんとも分からない。年毎の特徴を出して、おかしな手練手管を加えていないことでは自然派ワインには違いはないのだろうが。

音楽など芸術も、自動車などの工業製品でも皆同じであるが、これらグーツヴァインと上位クラスとの差異が判る者には判り、判らない者には判らないとなるのかもしれない。問題は、その判らない者にこうしたワインがパイロット的な価値を持つかどうかである。

おそらく、こうしたワインを自らの口で的確に批判出来る者はそれが判る者に違いなく、その批判点が見つける事が出来るとどうしようもなく上位のものが欲しくなるに違いない。そこに見つかるのは深みであって、容易に判断のつかない深遠であって、それに気がつくと病み付きになってしまうのである。そうなれば一本のワインに三十ユーロの投資も厭わなくなるのである。逆にこれで満足出来る者は要らぬ苦労をしないで良い訳で経済的にもその方が宜しい。高級車とは違って、ワインの場合は一食の外食を我慢するだけで、誰にでも買えてしまうだけにやはりこうした裾物の商品で批判力を養うのも重要であろう。



参照:
昨日の記事のGutsrieslingです。 (saarweineのワインに関してあれこれ)
エチケットの守護聖人 (新・緑家のリースリング日記)
ユドロ・ノエラ ACブルゴーニュ 2007 (ワイン大好き~ラブワインな日々~)
初夏の夕餉を思い浮かべながら 2010-03-03 | ワイン
by pfaelzerwein | 2010-03-08 03:15 | ワイン | Trackback
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