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キリストの昇天に飲む「神の棺桶」

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フランスへ持って行ったヘアゴットザッカーは好評であった。特にワインを知っているフランス人からは、かなりの評価を頂いた。グラスを掌で包むように香りを楽しみ、パフューンなそれを確認した者もいた。如何にフランスの白ワインではなかなかここまで多彩でありながら、自然な香りを放つものは無いであろうことを示した情景であった。まさに辛口リースリングの真骨頂である。

もちろん私の魂胆には、地元民であるドイツからの仲間に、現在のミッテルハールトのリースリングが到達しているその高みに目を開いて貰う目的があり、これも予想以上に成功した。「ダイデスハイムからフォルストへの地所はもっともドイツで重要なグランクリュだろう」と、バート・デュルクハイムのワイン醸造所の娘に言わせた時は、我が意を得たりと思った。

地元に住んでいても、スーパーで適当なワインを購入したり、敷居の高く無い農協へと出かけて安いワインを試飲購入するのが普通であるからだ。もちろん経済的な背景もあることであり、地元の者にとってはワインなどは必需品の一部であって、嗜好品ではないので、価格が大切である。

しかし、同じような価格帯でも、そのワインが美味いとか不味いとかの議論を越えて品質に目を向けるとき、その質の違いに誰もが気がつくのである。当然ながら、それだけの苦労をして育てた葡萄であるからそれだけの価値はあるのだ。

また、ドイツ語のグローセスは、フランスのグランに比べるとそこまでの意味合いがないので上手くいかないと言う批判もあったので、それはクリストマンVDP会長にも伝えたいと断わっておいた。しかし、現実にはそうしたワイン、つまり現在のグローセスゲヴェックスの達している域が分かって無いだけではないかと逆に考えた。ワインを知らずに何を言っても始らない。まるでフランスのグランクリュワインの世界と同じである。

ジュラの石灰岩の岩場で一日楽しんだのであるが、その足元にはシャンペンになるロゼが植えられていて、多くは古い葡萄であった。モーゼルなどと同じで頻繁に植え替える事が出来ないからであろう。そのシャンパーニュ風の発泡酒は飲む事はなかったが、何時かそのセルドンと呼ばれるものを口にすることもあるかも知れ無い。高度も五百メートルにいたる高地であり、酸は十分であろうが、その土壌は所詮石灰であり、それ以上のものでは無いのは地所を見ていて良く分かった。

嘗ての仲間であり、既に亡くなっていた共通の友人が「いつも炭酸割りのリースリングを飲んでいたな」とその想い出話をしながら、「悪いワインを飲むには、人生はあまりにも短過ぎる」と言って、お互いに堅い握手を交わしたときが今回の旅行のハイライトだっただろうか。キリストの昇天に飲む「神の棺桶」_d0127795_3271778.jpg



参照:
やはり経年変化の少ない酒質 (新・緑家のリースリング日記)
(前編)ドイツワインの会 by yokunさん @銀座房's
(中編)ドイツワインの会 by yokunさん @銀座房'sさん
(後編)ドイツワインの会 by yokunさん @銀座房'sさん (くまさんの食日記)
ドイツワインの日本での現状について思っていること (ヨーロッパ、ドイツワインについてのいろんなこと)
シャルドネでは世界最高峰とされる畑の前迄やって来ました。 (saarweineのワインに関してあれこれ)
by pfaelzerwein | 2010-05-19 03:28 | ワイン | Trackback
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