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ドロップアウトする人たち

先日、毎年のカソリック教会からの離脱が増え続けていると新聞にあった。昨年は、少年少女への性的暴行問題の顕著化で更に増加した。カソリックの場合その入信自体の動機が薄い信者を繋げおくのは難しいだろう。そしてなによりもその教会自体だけでなく、その紀律が現在の一般通年から隔離し続けている。しかし一般受けするような教会では直ぐに権威を失う。大変なディレンマである。先日泥酔運転で失脚したプロテスタントのケースマン女史がミュンヘンで開かれた教会合同の大会に堂々と出席していたことが伝えられていたが、これなどはあまりにも現在の社会のキャリア志向の人間が如何に無恥厚顔と密接に結びついているかというまさにこの宗教自体が現在の社会を体現しているのを余すことなく示している。

ドイツにおけるカトリックの信者数は間違いなく低下している。教会へ行かない教会税を支払わない者が増えれば、どうしてもキリスト教民主同盟の支持基盤も徐々に薄くなる。その政党のゆっくりとした支持低下率は、カソリック教会の信者数の低下に比例しているのかもしれない。

ヘッセン州知事ローランド・コッホの政界引退が今週の最大のニュースであった。若手保守政治家の旗手と言われながら、アンゲラ・メルケル首相の政治力に及ばなかった。この政治家への興味が全くないので専門的な解説は一切読んでいないが、彼の場合も典型的な保守政治と呼ばれるものの魅力のなさを体現していたように思われる。実際の政治手法は、ネオリベラリズムをも上手に使った経済運営をもとに保守的な政治思想を実現することであろうが、それは従来のエスタブリッシュメントの社会秩序の将来を担うどころか保守することには直接に繋がらないこともあり、こうしたところにチグハグな保守政治思想が右往左往するのは現在の先進工業国の社会に共通している。

住居の共同管理会の会合があった。吹雪の冬の日に特別に集まった件、即ち一人の持ち主である管理費未払いの者の所有するガレージと建造物の地下の競売の件の報告があった。こうした共同管理会が競売されるものに一体化して競売で落とす例はあまりないと言うことだ。長年、支払い不履行で負債に負債を重ねる自己破産者と関わってきたがこれで絶対回収不能な負債の山を議論することはなくなった。

そのご本人は、抜けぬけと娘に家業の不動産屋を継がせて、大きな広告面に会長として紹介されているのが面白い。裁判所にその広告面も参考物件として示されたようだが、その広告内容は本人の破産状況とは相容れない。それどころか、会の者が先日彼の車を見たと言う。それによるとメルセデスのCクラスでナムバープレートも確認された。おそらく娘さんの名義になっているのだろうが、破産者の方が破産していない者よりも豊かそうな生活をしているというのもなにも珍しい事でもなかろう。
by pfaelzerwein | 2010-05-29 14:05 | Trackback
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