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カーネルさんのサマーコート

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昨晩受け取った洋服の着こなしを考えていた。丸一日掛かったが、なんとか解決した。写真の縞模様をみて分かるように、ケンタッキーフライドチキンの小父さんのそれでしかない。そうである、ランディー・バースの身代わりになったカーネル・サンダース小父さんの格好で町を歩くことになるとは思わなかった。

正直、箱を開けてこの生地をみた時には驚いた。送り主から派手とは聞いていたが。繊維会社の開発担当の人とは色々と話したこともあるが、まさか自分がマヌカン(間抜け?)になるとは昨日の昨日まで考えてもみなかった。

興奮気味に袖を通すと余計に汗が出て、ますますシックリと来ない。色々とシャツを着替えて試してみるが似合う似合わない以上に、サイズが一つ大きく更にそのあとにレギュラーを意味するRが付いている。自慢ではないが、比較的小柄な英国人に比べても私はSつまりシュートである。当然であろう。なんとか長い袖をどうにか片付けようとするがとても難しい。

約束の女性が来るのを待っていた。彼女の意見を参考にしようと思ったからである。しかし全く駄目である、こちらが感じている滑稽さはどうしようもない。大き過ぎると言い出す。要するにジャケットか半コートかなにかわからないと言うのである。しかしこの視点は役に立った。結局は、サマーセーター代わりのサマーコートなのであるから、適当に着たいのがハッキリした。おしゃれ過ぎて素材も良く、形も綺麗なので、どうしてもシックに着たくなってしまうのだ。すると、コメディアンの道を進むしかない。

そこで初めから気がついていた、通常はジャケットの場合縫い付けてある長い袖の掛けボタンを外して色々と巻き込んでみたりしてみた。しかし裏地の色は良くても生地感が魅せるには合わないのである ― 裏地が人絹で無く本絹ならそれはそれで余計に難しくなったであろう。そこでやけくそになって、腕まくりしてみた。そして適当にボタンを掛け外したりして見た。すると、なんと袖が蝶のように開いて、更に風通しが良くなって急に気心地が良くなった。

そして袖の「遊び」が決まると、あとは早い。そうである六十年代のようにポップさせれば良い。ミック・ジャガーやローリング・ストーンズではなさそうだが、エルトン・ジョンか、私は?靴も、帽子も、眼鏡もトンボの停まるようなものにしなければいけないか、もしかすると車も尾が長く伸びているオールディーズを買わなければいけないかと興奮して更に汗を掻く。そうなると芸の一つも出来ないと具合が悪いかと、胸元に鳩ならずチキンを隠しておくべきかななどと真剣に考える。

そして落ち着いて、Tシャツなどを合わせてみると、なんてことはない、気心地も最高で涼しくて快適そのものなのだ。自分が落ち着くと、見ている人も落ち着く、何もかもシックリといくのである。そうなのである、このモードのコンセプトがこれで完成した。結果からすると、なんていうことはなかったのだが、コロンブスの卵である。これで胸元から卵を取り出す必要も無くなった。
by pfaelzerwein | 2010-07-07 04:14 | 生活 | Trackback
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