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夢を叶えるプラットホーム

アルペン協会の機関紙にアイガー北壁の新たなフリー化成功の記事が載っている。フリー化の可能性はまだあるに違いないが、ロッククライミングでなくて、冬に英米隊とドイツ隊が競い、ジョン・ハーリンの墜落によって合同で登攀した典型的な冬のルートである。これのフリー化を長く目指していたシュヴァルツヴァルト南部ショップハイム在住のドイツ人ヤスパー氏(昨年日本人ルートのフリー化に成功している)とスイス人シャーエリ氏によって九月下旬になされたようだ。

未だにこうした試みがあるのも驚くのは、昔ながらのアルピニズムの方法によって、二十年間も何度も失敗を重ねながら達成されたことであり、結構執拗な試みをする人がいるものだと感心する。それでその結果は、凍りついた登攀自体は素晴らしかったようだが、八級に至る氷混じりの岩壁を、クレッターシューへとシュタイクアイゼンをメータ単位で履き替えながら登ったというから大変である。

古いボルトを使っても、メカニックな楔フレンズも使い難く、確保の条件が悪くて自身二度と登りたくないというから、よほど用具の改良でもない限り、今後も誰も登らないに違いない。それでも本人は、誰もが今更と思うアルプスでも夢は膨らむと語る。

改めて映画「アイガーサンクション」などの画像を観ると、場所によっても大分岩壁の状況は変わりそうで、やさしい場所でも危なっかしくと言うのも、ルートによっては素晴らしい岩壁であるというのもどちらも正しいのだろう。

何時ものように天候の悪化から、雪田である通称「蜘蛛の巣」上部はヘックマイヤーのクラシックルートに逃げたとある。

日付を見ると、丁度我々がスイスで岩登りしていた時で、気温は低く、最終的には雪が降った時である。最初は氷が良かっただろうが、雪が降る状態で回避したのだろう。



参照:
Die Alpen bieten so viel Platz für Träume, PANORAMA Heft Dezember 2010
世界を雪崩で洗い落とす 2008-10-25 | マスメディア批評
秘密結社フライマウワーに肖る 2010-09-04 | 雑感
情報巡廻で歴史化不覚 2008-10-27 | アウトドーア・環境
遥か昔の空の下で 2006-07-19 | アウトドーア・環境
腰にぶら下げる山靴の重さ 2009-07-19 | アウトドーア・環境
パイプを燻らすパイオニアー 2010-10-04 | アウトドーア・環境
そこから始まる上級志向 2010-09-28 | 試飲百景
Der Eiger, Der Berg, auf dem man niemals ankommt (SWR)
by pfaelzerwein | 2010-12-23 04:37 | アウトドーア・環境 | Trackback
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