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雪よ、山よと彷徨いてしまう

ダークダックスの訃報からYOUTUBEへと迷い込んだ。「山の歌」と来れば、日本の山々が出てきてしまった。特に記しておかないといけないのは、文部省が企画した「岩登り技術、岩登り技術基礎応用編」という教育映画である。当時の技術を伝えるだけでなく、若き日の重廣恒夫なども映っていて、後にEBシューズ姿でしか知らないが、流石に若いだけに身のこなしがしなやかである。剣岳のチンネと呼ばれる岩峰を登るときに、双子ザイルの使い方と二重ザイルの使い方を混合しているのは珍しい。現在ではハルプザイルの使用は一般的であるが、当時はドッペルザイルが全盛期であったからだ。1974年の撮影であるが、丁度技術や用具が変わる時代であった ― 例えば、道具以外にも確保の技術やザイルの結び方は大分変わってきている。特に基礎編3でのアッブザイレンの末端の処理は現在では二本別々に、止め結びにすることが推奨され、最も単純な止め結びが全盛である。

現代のクライミング基礎技術らしきもの、フランスの場合、フロリダの場合、英国の場合、ドイツの場合。

序に面白い練習風景を見つけた。宝塚で五月にシュタイクアイゼンと手袋をつけて登っているTさんと呼ばれる方、まさに当時からの技術を受け継いでいる人のようである。なにか用具も、毎年欧州に遠征していると言う割には、当時のまま古色蒼然としていて、まるでタイムマシンから抜け出てきたようだ。その経験度からして、何十年も伝統技術を継承しつつ、今もアルプス登山には必要な技術を絶えず磨いているのだろう。映像では結構長く中間確保を取らずに登っているが、もし爪が滑ったら痛い目にあいそう。

現代のクライミング入門者は、ロックとアイスのクライミング技術を各々洗練させてから、経験を積んで行くことになるのだろう。どのスポーツ分野に於いてもトップアスリートの技術から逆算して効果的な育成方法が考えられているので、細分化した現代の方法の方がやはり合理的に違いない。

そのアルプスにおける技術の到達点の一例として、先日紹介した昨年秋のアイガー北壁のジョン・ハーリンルートをフリー化したロジェール・シェーリの同じ西壁裾のロートシュトックでのフリー化の映像が出てきた。やはり聞いているように、石灰特有の岩質で全然悪くはない。この人の練習風景を見ているとどこかアルペン風で、体は重いのだろうが体力がありそうだ。

1999年のアイガー北壁登攀ライヴ放送の一部を見つけた。スイス放送も共同制作していたことは忘れていた。極一般的なクラシックルートの登山風景の一例としてそれを観る。ラムペ上部の中途半端な氷は嫌らしい。リュックサックがあると大変だ。生中継の記憶通り、この年は大分乾いていたようだ。

冬の登攀。どうも氷雪の状態さえ良ければ、冬の方が安全そうである。アイガー西壁?のスキー滑走

ウューリ・ステックは、二時間五十分を切る速さで北壁を登りきったが、頂上に出てきても足元が通常のの登山者よりも確りしている。なるほどヒマラヤを一泊で登りきってしまうにはこれほどの体力と速さが当然なのだろう。集中力は、その時間なら誰でも保つが、それまでに疲れ果ててしまう。マッターホルンも二時間以内、グランデジュラスを三時間以内。

滑落して親父さんが登れなかった北壁を登るジョンハーリン三世

1959年に二年間北壁で曝されたステファーノ・ロンギの遺体を回収した活動の映像発見のニュース

今日は外気温14度と暖かく、三十分ほど散歩をする。



参照:
夢を叶えるプラットホーム 2010-12-22 | アウトドーア・環境
by pfaelzerwein | 2011-01-09 07:28 | Trackback
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