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六月とはこれ如何に?

週末は三件の醸造所で試飲をした。通常ならば五月に開かれるマイシュピッツェンと名づけられたVDPプファルツの新酒発表プログラムである。既に二回も試飲会を開いていたバッサーマン・ヨルダン醸造所や有料の試飲会しかしないフォン・ブール醸造所、2010年産は秋に本格的発売となるビュルクリン・ヴォルフ醸造所などの試飲会はこれには含まれていない。それでも、南ワイン街道のレープホルツ醸造所、フォルストのゲオルク・モスバッハー醸造所、VDP会長のクリストマン醸造所などの見逃せない試飲会が開かれる。

その中でも、多くの雹被害を受け、さらに酸の分解を待ち続けたレープホルツ醸造所での恒例のレープホルツ氏の講話つきの古いワインなどとの飲み比べをについて特筆すべきであろう。

最初にブラインドで90年産のリースリング・シュペートレーゼが供された。10年産と比較して、酸が強い年度ながらアルコールが11%と低く抑えられているのが似ているのである。その通りである、リースリングのアルコールが抑えられていて、酸が効いているのが今年の特徴で、その将来性を予想させてくれるものだった。なるほどフィルン臭とその色は明らかだが結構新鮮味があるのだ。次に2008年産のブントザントシュタインのシュペートレーゼ。予想以上にこれがまた良くなってきている。そして2010年物である。一蔓に四つしか房がついていないというまばらな開花の影響を受けた「不作」だったのだ。三月二八日まで麹に浸かっていたと言うからアルコールが薄くとも濃くが出ている。

次に、2004年産ムスカテラーのアルコール10%と、2010年のそれが比較された。2004年の当初薄く感じられたワインが現在結構評価が高いのと、2010年との比較なのである。なるほど酸が効いていた年度らしくこうした品種でも今でも新鮮味があって食事に推薦されていた。

90年のゲヴュルツトラミナ-と96年の11%のピノブラン。特に後者の10グラムを越える酸が今でも飲めるピノブランとしていた。つまり2010年のヴァイスブルグンダーは、アルコールは少なくとも、将来があるということなのだ。最後に再び2004年のピノグリで、一般的に「むかつくようであまり量が飲めない品種」と紹介されながら、こうした「日陰の年度」のそれが枯れると食事に合わせやすくなるとのお話であった。

2010年は決して容易な年度ではなかったが、秋の酸の分解や丁寧な醸造が求められて、高級ワインとそれ以下の差が顕著に出るように思われる。VDPの中でもそれぞれに腕の見せ所を要求されていて、どのようなワインを提供するかの業務上のコンセプトまたワイン造りの哲学が示される。

レープホルツ醸造所では、ジルファーナーの様に買い付けが必要な多大な被害を受けながらも売り物を確保して且つ、昨年のナテューアシュプルングのようなすばらしいリースリングに慣れた客にもアルコールは低いながら昨年の「フォムブントザントシュタイン」よりも味の良い商品を出している。この辺りのマネージメント感覚がいつも憎いのだ。

ブルグンダー種では、香りなどは全く無くそっけないがソヴィニオンブランの塩味には唸らせられた。流石である。

秋に発売されるグランクリュウのガンツホルンを早速抑えておいたことはいうまでも無い。
by pfaelzerwein | 2011-06-07 12:59 | 試飲百景 | Trackback
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