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日本政府に「最大限の透明化」

ヴルフ大統領の日本訪問は国賓としてのようである。福島県をヒロノの避難所を中心に訪問したようで、いわき市の海岸なども見学したようだ。

ARDは、先日の「死の地帯での営み ― フクシマ後の日常」のディレクターのアッブレッシュ氏が独第一放送のカメラを担いでいるようで、その時の取材がこの訪問にも生きている。そして当然のことながら駐東京大使の同行する姿も見える。そして、事前調査は内務省の犯罪捜査班が受け持ったようで、訪問地の放射能を測定して問題のない事を報告したとある。東京の大使館にも専門の技官が居ると言う事だったが、形式上なのかそれとも実質的ななにかを調べたのか。外務省ではなく内務省が先行調査したのはテロなどの面もあって形式的に予算が出ていることもあるのだろう。

元自衛隊員のハヤブサ氏は、大統領の訪問に感謝して涙して、放射能の怖さを強調しつつ、何時になれば元の生活に戻れるのだろうと将来への不安を吐露する。

ユキモリマサオは、情報の錯綜と先の見えない今後への不安を語ったようで、FAZ紙によると82歳の老人が「沢山の外国の政治家は日本を訪れたが我々を訪ねてくれたのは初めてだ」と奥さんと共に深々と感謝の意を示したとある。

また農民イガリは、引き離された彼の土地を一体どうしようとしているのだと怒る。除染とか言って豊かな表土を剥がれてしまって、どうやって何を耕せと言うのだと、帰宅するためになにか他の方法は無いのかと訝る。そもそも家や土地だけでなく、なくてはならない地元との強い繋がりが、もう一度築けるものかどうかと益々不安に見舞われていると語る。

マスヒトネモトは、九月に避難解除が出されたが不安で仕方ないと言う。立ち退いた家は何度も洗浄されて土地も剥がされたのだが、幾つもの数値が踊っている状態では何を信用してよいか分らないと、「ある人は一ミリ、ある人は二十ミリ、ある人は百ミリと、一体、ドイツではどうなっているのでしょうか?」と単刀直入に氏の疑問を大統領に投げ掛けた。

それに対して大統領は慎重に、「難しい状況だから、経験値がないので」として、「チェルノブイリとは比較できない」と逃げたようだが、まさしくこの大統領の性格を良く示した一シーンだったように思われる。

それどころか、筑波大学での名誉博士号授与式の演説や政治家への日本への言葉を使い分けながら、日本政府には「最大限の透明化」をこれまた慎重に推奨したとある。



参照:
Ein Zeichen der Anteilnahme für die Tsunami-Opfer (ARD)
Wulff besucht Tsunami-Opfer in Japan (ZDF)
Aus Trümmern Großes bauen (FAZ)
夢ではない、目を覚ませ! 2011-10-26 | マスメディア批評
独駐日大使からの福島報告 2011-06-29 | 雑感
とても怪しいセシウムさん! 2011-08-30 | マスメディア批評
by pfaelzerwein | 2011-10-27 04:51 | マスメディア批評 | Trackback
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