人気ブログランキング | 話題のタグを見る

キャリア志向の俗物記事

無料でお試しでFAZ新聞日曜版が一月ほど配達される。このようなお試しは日曜版が出来てから数年ぐらいになるだろうが、五回目ぐらいだろうか。お試しの感想などを聞かれて、あれが無いこれが無いと答えて、購買する気は無いと断っている。無料であるから無為に断る必要もなく、こうしてネタがあればそれだけで良いのだ。

普通版にはあまり無い社会面でイザールの原子力発電所が取材されていて、所長から見習いまでが取材されている。内容は、二号機が世界で最も安全な炉としてシナや日本から見学に訪れるのとは裏腹に、福島を受けて、古い一号機ではその直前までは操業延長であったのが即時停止になった状況と驚きが語られている。

福島は只単にテプコが横着な津波対応をした故の人災であるとの見解に続いて、原発はそうした一億分一の確率にも備えていなければいけないと、イザールの原発の安全性が強調される。それどころか、世界で最も被曝量が少ない社会人は原発の従業員だと説明する。

なるほどそれを証明するかのように、使用済みの核燃料冷却プールの横で写真撮影とインタヴューが行われていて、プール水面の放射線量は自然の放射線量よりも少ないと豪語する。

福島を受けてモラトリウム処置で緊急停止をしたために通常ならば二年程が燃料棒を取り出すのに五年程掛かり、福島の爆発は十五分おきにTVで見せられたらたまらないとテプコを怨む。

記事の内容は、ありのままの反応とそこで働く人々の営みを伝えているのだが、所詮我々読者にはどうでも良いことなのである。

さらに社会欄を見ると更に酷い。スチュワート・ピゴというワイン評論家らしきが記事を受け持っているのだが、どうでも良いことを毎週「混ぜもの無しのワイン」と称して繰り返しているようだ。2011年産の出来をいろいろと語っているようだが、一体そうした内容を読んで興味を持つのは、ハムブルクとかベルリンとかミュンヘンに住む俗物人だけだろう。少なくともフランクフルトに居ればそのような情報は直接得られるもので、態々纏めて貰う必要などないのである。2010年産の出荷量が少なく売り切れたので急いで醸造出荷するまさしくヌーヴォーワインが2011年産ワインの価値を下げるだろうとか言うのは評論家が書くことだろうか?まるで、生産者に近ければ誰でもわかることを態々新聞に書いてみせるまるでなにか業界に近いような優越感を示したい芸能記者や政治記者のどうでも良い情報である。

日曜日にパン屋などでこの日曜日版を手に取る者の顔を見ることはあるのだが、一体どうした社会層が購読者なのかもう一つ分らない。メルケル首相が国賓としてワシントンを訪れた節に合衆国の新聞コンテストで優勝した日曜日版であるが、どうも平日に情報を入発信しているような人が読む新聞ではないらしい。日曜日までそのような読み物は必要ない。読み物はあり過ぎて困るのだ。そもそも日曜日に働こうとする心がけが間違っている。明らかに教養の低いシナ人のようなキャリア志向の向上心旺盛な購買層向けの俗物新聞である。もし次の機会に感想を求められたら、「私ども向きの新聞ではありません」と簡潔に答えてやろう。



参照:
襲い掛かる教養の欠落 2007-07-27 | 雑感
旧大陸での人権の保障 2007-02-13 | マスメディア批評
暁に燃えて、荒れ狂う 2005-08-30 | 歴史・時事
呵責・容赦無い保守主義 2007-11-19 | 文学・思想
啓蒙されたユダヤ人と大俗物 2009-11-01 | 文化一般
旨味へと関心が移る展開 2009-11-07 | 文学・思想
誉れ高いモンツィンガー 2009-10-06 | マスメディア批評
by pfaelzerwein | 2011-11-16 04:34 | マスメディア批評 | Trackback
<< 文化におけるズームイン効果 地盤に立ち上げれ、農民! >>