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芳醇なバラの香りの白ワイン

ソーヴィニオン・ブランを試飲しにいった。フォルストのゲオルク・モスバッハー醸造所である。近年は一等地のリースリングと同じぐらいに素晴らしいブルグンダーを作る醸造所として貴重な存在になってきているが、その中でもこのソヴィニオン・ブランは、南パシフィックのそれと対抗する新たなドイツのワインとして高品質なものである。メーヴェンピックが買い取っていたので地元の消費者には長く幻のワインであった。

個人的には毎年正月に前々年のものを新春として楽しむが、最近は飲食店などの固定客も増えているようである。今年飲んだ2010年産はやはり気象の厳しさがあったが、2011年産は新鮮さが際立つ。やや青っぽい感じがするのは先週試したバッサーマン・ヨルダン醸造所のそれと似ているが、質はこちらの方がはるかに高く、なによりも風味がある。

西洋スグリよりも青ピーマンや胡椒を想起させるが、そもそも夏の暑い時期にリースリングが鬱陶しくなったときのテラス用の冷やした飲み物なのでこれで正解だろう。2007年の果実風味には劣るが、2009年のトロピカルよりも2011年の緑系の方が清涼感が高い。

同様な傾向はその他のリースリングにも表れていて、グーツリースリングは若干果実風味よりもアルコール飲料風味なのは何処の醸造所とも同じである。オルツリースリングは各々半辛口と甘口に仕上げられていて、前者の方は風味が良かった。

酸が欠けて風味がないのが特徴の2011年産であるがその中でエルスターやムーゼンハングが良くて、ラインヘーレの酸とミネラルが優れていた。期待したモイズヘーレは2009年産ほどのミネラルが出ておらず、酸が弱い分若干物足りない。瓶詰め後八日目なので、まだ販売になっていないが再度試飲しなければ判断は下せない。但しその傾向は変わらないであろう。

現在盛んに手が掛けられているLヴォルフ醸造所から譲り受けたアルテンブルクは来年ぐらいには収穫できるだろうとしていた。根付のときから見ているのでペトロール味をどのように出してくるか楽しみである。

その他は、ヴァイスブルグンダーは悪くはなかったが、新しいグラウブルグンダーは昨年購入したミュラーカトワール醸造所の2010年物と同じく酸が効いていて良かった。そして驚きはゲヴュルツトラミナーである。2011年の四月を活かすと同時に五月の霜を乗り越えて出来上がったのがゲヴュルツトラミナーであった。

辛口のこれは何度も試みられているが2011年ほど魅力的な年度はなかったのではないだろうか。バラの香りのそそぎに続いて、アルコール13%のそれは殆ど甘さを除いたミラベルのシュナップスの趣すらある。芳醇、それでも決して重みから遠いからシュナップスなのである。さてどのように楽しむかは一度購入して試してみなければいけないであろう。



参照:
棘ある酸塊味の葡萄酒 2007-04-09 | 試飲百景
時を隔てた趣向の方向 2007-08-21 | 試飲百景
西洋酸塊の棘にやられる 2008-02-27 | 試飲百景
チーズの付け合わせ葡萄 2008-09-05 | ワイン
疎まれるようでありたい 2009-02-20 | 試飲百景
辺境の伝統の塩味ピーマン 2009-05-26 | 試飲百景
レタスに美味しいアヒルの子供 2010-01-14 | ワイン
初夏の夕餉を思い浮かべながら 2010-03-03 | ワイン
葉緑素味の2009年産との出会い 2010-03-08 | ワイン
これで結構真剣勝負なのですよ 2010-04-11 | 試飲百景
毒が体中に回った元旦 2012-01-02 | 暦
by pfaelzerwein | 2012-03-24 00:51 | 試飲百景 | Trackback
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