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連邦共和国文化大使の死

ドイツ連邦共和国の最高の歌手ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウの死の反響は予想以上に大きかった。先ずはフランスのラジオでの特番の扱いはドイツのそれよりも早く以上であり、フランスでどこまでドイツ歌曲が理解されているのだろうと不思議に思ったほどである。

それは新聞の訃報記事にもあるように、先の戦争で壊滅状態となったドイツの中からそれを使命として音楽活動をしてきたこの歌手の成果に対する賞賛でもあるだろうか。

同じようにBBC3でも特集が組まれていて、まさしく連邦共和国が如何にその絶えることの無い文化ということでなんとか戦後を乗り切ってきたことを証明しているようなものである。

この歌手の録音を集めた覚えは全くないのだが、知らないうちに二桁のLPが手元に集まっている。引退してから長いオペラではフルトヴェングラー指揮「トリスタン」の名録音やベーム指揮「フィガロ」や水木しげるの妖怪辞典に出てくるようなパパゲーノ、「指輪」のギュンター、シュトラウスの「カプリッチィオ」、「アラベラ」での夫婦共演など、オラトリオではブリテン指揮「戦争レクイエム」、バーンスタイン指揮「大地の歌」など直ぐに見つかり、その中には掛買いの無い交換不可能な歌唱も多く含まれる。

ドイツ歌曲では、モーツァルトからフォン・アイネムなど数多く、アイヴスの歌曲集などと特殊なものも含まれている。その中でも貴重なのは、新ヴィーン楽派を集めたDGの一枚とその影響と称するEMIの一枚である。特に一枚目のとてもロマンティックなシェーンベルクの演奏は「リア王」の作曲家アリベルト・ライマンのピアノと相俟って、シェーンベルクの作曲がドイツ音楽の頂点にあることを実証している。

今後古い録音などが再発売されるかもしれないが、安売り物で狙いたいのは「リア王」やヘンツェなどのオペラなどの歴史的な録音であろうか。



参照:
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの逝去を悼む (日々雑録 または 魔法の竪琴)
フィッシャー=ディースカウ逝く (TARO'S CAFE)
フィッシャー=ディスカウ追悼企画、マーラー作曲、「さすらう若人の歌」 (yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真)
追悼:ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウ (時空を超えて Beyond Time and Space)
さようならフィッシャー=ディースカウ (庭は夏の日ざかり)
Das Genie der hohen Deklamation, Gerhard Rohde, FAZ vom 19.5.2012
by pfaelzerwein | 2012-05-20 21:54 | 文化一般 | Trackback
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