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堰を越えたメトロの大衆

金曜日の抗議行動は更に盛り上がった。予想通りだろうか?それにしてもあれだけの人数が一堂に会して事故一つ起こらないのは殆ど科学的な分析や理論を覆すほどの快挙である。IWJのUSTREAMでの放送はそのサーヴァーの力不足から途中でダウンしてしまったが、行動自体の秩序は保たれた。

流石に秒感覚でメトロを乗り降りする東京人である。日頃の訓練の賜物としか言い様がなく、世界中で憧憬と驚異の眼差しを以って今後とも語り継げられるような快挙である。

大衆が群集とはならずに、各々の意志を制御しながらの行動は、正しくメトロの大衆なのである。群集とはならない市民なのである。メトロの乗客には其々の生活があって其々が独立しているのは当然なのである。それどころか家族内においても独立した意志を尊重して自己の意志で集うとても自我の確立した市民なのだ。このような賢明で思慮深い市民は世界中何処を探してもいないだろう ― 正しくこの国民性こそが世界の経済の奇跡を起こした驚愕すべき国力そのものなのだ。

各々のインタヴューすると、其々が様々な思惑をもって、それでも居ても立ってもいられないという気持ちに後押しされて集まる人々が語られる。なにも自分がと、態々出かけるのはとても大変なことなのである、しかしそうした煩わしさを振り切らす意志の強さが人数以上の熱いメッセージとなっている。

しかし、最前線に陣取っていた田中龍作が、もっと緊迫した雰囲気を伝えている。最前線には旗を掲げたセクトがかたまっていたと言われているが、そうした群集が騒乱を引き起こさないとは限らない。政府・行政は、こうした抗議行動でガス抜きが出来ると考えており、野田政権がソフトランディングを準備しているのはFAZが伝える通りだろう。

だが、この行動の広がりや盛り上がりは、その津波の高さ同様に想定外に違いない。怒りの力は溜めに溜められている、それでも事件は起こらない。主催者の言うように津波の力は蓄えられてまだまだ続くのである。防波堤はもはや超えてしまったと感じた抗議行動であった。

もはや描いていたソフトランディングすら不可能となったに違いない。そこで、知識人が何らかの形でこの現象を科学して、かたちを示さなければいけないのであるが、科学の出来る知識人が日本には居ないのである。本当のエリート教育を怠った日本には知識人が不足している。ジャーナリズム以前の問題なのである。



参照:
「再稼働反対」叫ぶ20万人の洪水 機動隊車両が官邸突入防ぐ (田中龍作ジャーナル)
6.29 官邸前15万人超集結抗議!大飯原発再稼動を撤回せよ!
2012/06/29原発再稼働反対抗議に20万人!!!紫陽花革命@首相官邸前  (YouTube)
もう一息の紫陽花革命 2012-06-23 | マスメディア批評
節度が保たれる抗議行動 2012-06-27 | アウトドーア・環境
それでも生きていたいのか? 2012-04-09 | 文化一般
by pfaelzerwein | 2012-06-30 05:13 | 歴史・時事 | Trackback
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