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青赤つける山の明確さ

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ゲーテが絶賛したモンツィンゲンで始めて試飲会に参加した。このシーェンレーバー醸造所を前回訪れてから四年ほど経つが、試飲会でグローセスゲヴェックスの垂直試飲をするのは始めてである。

青シーファーのハレンベルクの2011年の試飲が今回の目的であったが、遡って2009年、2008年、2006年、2004年、2003年と比較することが出来た。前回の訪問で試した2008年が思いのほか良くなったのは現当主の感想でもあるが、先代もそのミネラルを強調していた。なるほど2008年の試飲の際もその研ぎ澄まされた薬草のスパイシーさは抜群であったのだが、若干濁りのようなものを感じたので購入しなかったのである。濁りは2004年も2006年も若干共通しており、また2003年だけはやはり酸が弱くふにゃふにゃになっていた。2003年のリースリングで今飲める物は限られていて本当に貴重品であろう。

さて、2011年も酸は弱いのだが、2009年と比較すると格段良い。ミネラルの強さが違うのだ。その傾向にあることは、五月にバッサーマンヨルダンで試した「ミネラル」の塩味で分ったのであり、2008年産のRなどとの比較で十分に予想していた。あの青い清涼感はとても素晴らしく、恐らく青シーファ土壌のワインの最高峰に違いない。そかし、競り用にい一番上部の区画のアウフデアライのこれまたラインガウ的な、とても繊細極まりないヤマモモの香りや味筋には打たれた。

既に売り切れていたのはフリューリングスプレッツェルのグローセスゲヴェックスは売り切れていたのだが、試飲は出来た。決して悪くは無かったのだが、やはり輪郭が暈けるのはこの土壌の宿命であろう。そして甘く感じてしまうのは仕方が無い。「レンツ」が極端であるが、購入を迷ったフリューロングスプレッツェルの辛口も甘過ぎるのだ。やはり食事のワインとしては難しい。そして酸が少し荒い。

その意味からヘレンベルクの樽寝かしのRも2009年産よりもクリーミーな2008年産の方が遥かに良かった。

おまけに、友好の醸造所アデナウワーのシュペートブルグンダーを親爺さんの酌で四種類試したが、正直ベーシックな物は安物臭く、高価なものはバリックが浮いている。なるほどシーファー土壌のぬるっとした感覚が特徴なのだろうが、その質に関してはゼーガー醸造所などの足元に及ばないばかりか、バニラ味の付け方の上手なクニプサー醸造所にも劣る。勿論ベッカーなどとは比べられないであろう。クリストマン醸造所の方が質は高い。あれならば、明らかにアスマンハウゼンの日本でも有名なアウグスト・ケセラー醸造所の方がこくがあってよい。

最高のみものは、積水?などのある工業地帯から望むシーェンレーバー醸造所の地所で、青シーファーの土壌のハレンベルクは青く見えて、赤シーファーのフリューリングスプレッツヘンのほうは赤く見えることであろう。土壌の変化に富んだナーへの谷であるが、これほど明確さはこの醸造所の味筋にも似ている。

そう言えば、若旦那に今年の実り具合を尋ねると、今までは順調でここ十年ほどのアヴェレージにあるということだ、そして健康であることを付け加えた。もしかすると最初に伺ったときの私の批判を覚えているのかもしれない。批判された側は、それが的外れでない限りとても強く頭に残るのが常だからだ。勿論非難した方も真剣なものであれば実感として覚えているのだが。



参照:
立ちはだかる一途な味覚 2009-09-27 | 試飲百景
ゲーテには難しい青粘板岩 2012-05-13 | 試飲百景
批判的に処する冷静な感覚 2012-05-16 | 雑感
熟成の秋を待つ初夏の日 2009-05-18 | ワイン
by pfaelzerwein | 2012-09-08 15:05 | 試飲百景 | Trackback
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