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十ユーロ越えのテロワール

地元のワインを試飲した。2012年物である。ブュルクリン・ヴォルフ醸造所のグーツリースリングは、残念ながら甘い、なるほど12.5%の高いアルコールとの調和と言う意味では良いのかもしれないが、あまり熟れていない酸との均衡でやや荒が見える。この醸造所のリースリングが悪く批評されるときの典型である。PCや上級のワインならば経年変化を考えた醸造と言えるのだが、この程度では致し方ない。勿論、この程度のワインでもレープホルツ醸造所のラーゲヴァインの五年後よりも新鮮に飲めるかもしれないのだが、最初から最後まで冴えないワインを取っておいても仕方ないだろう。

新鮮なワインを果実風味豊かに気軽に飲むには、同じ価格帯で隣町のフォルストにあるゲオルク・モスバッハー醸造所のそれの方が遥かに気持ちが良いだろう。しかし、その上のオルツリースリングクラスになると若干事情は変わってくる。つまり、天然酵母が醸し出すそのテロワールは培養酵母ではなかなか綺麗に醸し出されないものだからである。

その意味からは若干チグハグさがあってもヴァッヘンハイマーリースリングは例年通り悪くはない。そして二年ぐらいかけて綺麗に瓶熟成してくれることは間違いないのである。しかし、二年の瓶熟成よりも新鮮な果実味風味豊かなリースリングの方が良いという人も多いのは間違いない。この辺りが高級ワイン指向とそうでない人の大きな分かれ道である。

私などがこのヴァッヘンハイマーを飲むとはっきりとその耕地場所により、セパージュの割合までがなんとなく分かってくるのである。典型的なケーニッヒスヴィンゲルトの少し苦味のあるようなミネラル風味やルーギンスラントのそれが両方同時に楽しめるのである。しかしそれをほかの人に分かってもらおうと思うと各々の典型的なワインと直接比べて貰わないといけないだろう。それも面白そうだとは思うので、フランス遠征には考えてみよう。

更に傾向の違うルッパーツブルクのオルツリースリングを比べると、いよいよライナップの幅が見えてくるのである。これはVDPのどこの醸造所もやっているような二系統の対抗軸を示すことでテロワーを良く分かって貰おうという手法であるが、そもそもそのような土壌を所有していないことには話にならない。それでも、土壌の重い軽いだけでこのような差は誰の口にも明らかになるので、それほど難しいことではない。

とは言っても下位のクラスであるオルツリースリングでこれだけのテロワーを表現しているのが実力そのものだろう。それに比較するとレープホルツでは今年からできたオルツリースリングではまだ頼りない。矢張りその上のPCクラスを待たなければいけない。そしてそれは二年ぐらい熟成しないと本当の味は全然出てこないのである。同じようにシェーンレバー醸造所においても分かれていてもテロワーとして楽しめるのはPCクラス以上となる。結論は、価格である定価10ユーロ以下では難しいということになる。それからするとロベルト・ヴァイルは高すぎる。

総じて、2012年は悪くはないが良い地域とそれほどでもない地域の両極端になりそうだ。そして熟成度は高いのでアルコール度は十分に高くその点からはお得である。



参照:
忙しかった週末を回想 2013-05-14 | 試飲百景
裸の王様を斜に見ながら 2013-05-05 | 試飲百景
by pfaelzerwein | 2013-06-07 02:53 | 試飲百景 | Trackback
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