価格に注目して貰いたい

今までで最も高価なドイツワインを注文した。先月の最も高価なグランクリュリースリング、フォルスターキルヘンシュトュックに続いて最高額を更新した。ブラウワーシュペートブルグンダー要するにブルゴーニュのピノノワールである。生産者はお馴染みのゼーガー醸造所である。一本120ユーロを六本発注した。残念ながら自分の分ではない。それでも発注したのはその価格だけのことは期待できるからである。

なるほど一本120ユーロのピノノワールは、価格としてはブルゴーニュの超一流のグランクリュの価格である。ドイツでは法律上はただのクヴァリテーヴァインベシュティムターアンバウゲビートつまりQbAであるからミットプレディカートにもQmPにも至らないワインである。それどころかVDPのグローセスゲヴェックスでもないのである。

高級ピノノワールの格付けが十分ではなかった悪法の弊害ともいえるが、それ以上に嘗ては赤ワインではラインガウ流のシュペートブルグンダーが歴史的な重みを以て、それ以外にはスレート土壌のアールや南バーデンのシュペートブルグンダーが特産物となっていた。そして気候温暖化が叫ばれるようになるとどんどんとピノノワールに力を入れる醸造所が増えて、その結果が2003年の偉大な赤ワインの年に成果したのであった。

その後の2005年を頂点に、容易な年度2009年などで、ふるいが掛けれれるようになって、国際競争力のあるつまりブルゴーニュとも対抗できるようなものが出来る醸造所しか残らないようになったのである。その他は元の木阿弥で、赤ワインを止める醸造所もあり、あるいは従来通りのシュペートブルグンダーを醸造するという棲み分けがはっきりしてきたのである。そこで今回発注した2009年のピノノワールは、三重リザーヴのRRRと呼ばれる商品で、良年であるだけに誰にでも喜ばれる赤ワインである。

さて、一本120ユーロをどう見るか?この価格以上で醸造所で直接買えるかどうかが問題である。ブルゴーニュであろうが、ボルドーであろうが中間業者であるネゴシアン組織がそこに入るからこそそうした高価格が維持されている訳で、そうした価格帯で直接買えるフランスワインは限られてくる。それに比べるとドイツの戦後はそうした世界の組織から解放されているので、価格も低く抑えられた反面高価なワインはあまり市場に出なくなってしまった。

つまり、ドイツの超高級ワインは今でも比較的安いのは確かである。しかしである誰がこれほど高価なワインを購入するかには大いに疑問が残る。30ユーロのものと比べて120ユーが特別旨い訳ではない、かと言って特にこの2009年物が特別気難しかったり分かり難い訳ではない。その差異は比較して初めて吟味できるようなもので、それだけを飲んでみても価格の評価などできる訳がないのである ― 勿論今回の商品の重ねられたRが示すように高価なものにはそれなりの長い賞味期間があるが、2009年はブルゴーニュにおいてもどうだろうか。要するにシナの富豪のように名前で美味いものと思って高価なワインを買い漁るしかないのである。

高級ワインが吟味できるようになるのは余程飲みつけなければいけないので、そもそも値踏みなどはプロフェッショナルな世界なのである。今回は手元を通り過ぎて北ドイツへと直送されることになる。その価値などは分かる訳がないのだが、少なくとも価格表を見て、ドイツの赤ワインがブルゴーニュの超一流と同等の価格をつけていることを確認して貰えばよいだけなのである。しっかりとエアーリングして飲めば不味い訳がなく、大満足することは間違いない。しかし、その価格に注目して貰いたいのである。



参照:
クローンはピノノワール 2013-06-23 | 試飲百景
週の始まりの肌寒さ 2013-09-17 | 生活
ブルゴーニュ吟味への投資 2013-10-05 | ワイン
悪くないNuits-Saint-Georges 2013-10-10 | ワイン
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by pfaelzerwein | 2013-10-16 13:31 | ワイン | Trackback
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