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ナーヘの谷へ戻る旅

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久しぶりにナーヘの谷に戻った。デーノッフ醸造所を訪問するためだ。昨年の秋も谷の奥へ試飲会に出かけるためにアルプス以北で最大の岩壁ロートフェルツに立ち寄ったが、その時は岩壁の上からの見学だった。今回は谷のオーバーハウゼンと言う町に立ち寄る。

戻ったと言うのはその町に近づくに連れて25年ほど前の記憶を思い出したからである。適当に走って辿り着いたのが今回出かけたオーバーハウゼンの隣町ウンターハウゼンだと気が付くまでそれほど掛からなかった。そして醸造所で土壌や地所の話をしているうちに隣町だと確信を持ったのだ。

当時訪ねたのはそこの零細の農家であったが様々な地所を持っているようで、何種類もの土壌の話をしていたのだった。そのワインと言えばリースリング以外にもやっていて、洪水で水に浸かる醸造蔵の水かきを手動でという様な話は印象に残っている。そしてその蔵の木樽の腐ったような臭いと、直に酢のようになってしまうリースリングは殆ど懐かしく一生忘れないだろう。要するに私のナーへ初体験だったのだ。

そして今、現在ナーヘでその品質から最も人気のある醸造所に遣ってきた。いつかTVで見たこだわりのアイスヴァインの話などをしていると、スイスからの予約客の相手にその親爺が出てきた。木樽で手動で絞り潰す作業は誰にもい任せないと言う頑固親爺である。しかし思っていたのと違って体の動きも頭も柔軟性があるように感じた。

今回は娘さんか嫁さんが御相手をしたが、御目当ての辛口リースリングは全て売り切れていた。高品質少量の2013年の特徴である。しかしなんとグローセスゲベックスを試飲出来た。三種類のなかでまだ予約以外に残りのあるフェルゼンベルクと言う火山性の斑岩の岩山である。

驚いたことに発売前から飲めるように開いていて、如何にこの土壌が特殊なものであるかが分る。似たような傾向のロートリーゲンスなど比較にならないほどの個性である。それにしても綺麗に上手に造っていて引っ掛かりが無いのが憎い。これだけのミネラルでくどくなっていないのはそれなりのノウハウがあるからだろう。見事である。

ピノブランも決して悪いつくりではないが10ユーロは高級だ。それに比較してシュペートレーゼのキルシュエックは16ユーロとそれよりも高価である。悪くは無いが昨今の軽い甘口に近い。更に高価なシュペートレーゼ「ブリュッケ」は立派だった。新鮮な甘口で、甘すぎずに尚且つミネラルを感じられるものは最近珍しい。エゴンミュラーの中ぐらいのものに近いだろうか?価格の21ユーロは大変価値があり、お得である。

顧客さんから聞いていた通り、決して甘口の醸造所ではなくて、立派な辛口を造っている。その土壌の多様性からしても潜在能力の高い醸造所であることは間違いない。アイスヴァインのマイスターだけではないことは十分に分った。培養酵母を上手に使っているのだが、それ以上に土壌感が確りしているので、決してつまらないリースリングとはならないのだ。

折角試飲できたのだからフェルゼンベルクを二本予約しておいて、秋にシェーンレーバーに立ち寄る際に取りに行くことにした。来年からは試飲会に出かけるところがまた増えそうだ。



参照:
裸の王様を斜に見ながら 2013-05-05 | 試飲百景
ナーへ渓谷の岩場を見学 2013-09-09 | アウトドーア・環境
by pfaelzerwein | 2014-08-14 05:14 | 試飲百景 | Trackback
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