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ありのままのワインの年月

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割引を使うために不要不急の買い物をした。前から欲しかったコルク抜きである。ツインブレードのコルク抜きである。ソムリエの手元などを見ていながら今まで使ったことがなかった。しかし、手元のボルドーが年代物になってきたので、通常のスクリュー型ではコルクが潰れてしまうから、どうしても試してみたくなった。ネットで探すとドイツ製のアハーと並んでオリジナルのラテリエ デュ ヴァン製のものが二種類出ていた。一種類は記念クロームのものと、オリジナルの黒いものである。黒い方が3ユーロ以上安かったので、それを注文した。

届いて手元にとってみると想像していたフランスらしいプラスティックではなしにメタルのずっしりしたものだった。鞘が左右の長さの違うブレードには合わないのがご愛嬌だ。さて実際に、1996年物メドックのムーリスからのサンテミリオンタイプのボルドーを開けた。一日前から立てて徐にブレードを差し込む。更に差し込もうとするとコルクが脱落した。慌てずに引き上げて上手に抜くことが出来た。可成り器用な器具である。しかしコルクの縁をブレードが削っていて、あまり落とし込むようなことがあれば屑が落ちそうである。そしてコルクを観察すると下の方の横腹に穴が開いていた。スクリューならば完全に破壊されていただろう。

序ながら、このカベルネフランの入っていない果実風味豊かなメドックは、18年経過していても抜栓早々香りが漂う。そして翌日も決して急降下していない。流石に96年物の一流シャトーのボルドーである。今回の15.27ユーロの買い物も、とても満足だった。序ながらその直前に七面鳥のカレーライスに開けたポイヤックのノンフィルターの98年物は開くのも遅く、もう一息だった。これ以上は残念ながらあまり期待できないようだ。やはり96年には遠く及ばないか。そろそろ順々に飲み干していかないとリコルクの必要が生じて来る。

ブラックフライデーの金曜日夕方、時間が空いたので暗くなりかけてから、山登りの急坂を走って緑のベンチまで往復した。往きに16分で2800歩ほどだった。その続きは日曜日の朝つづけた。頂上まで5800歩39分で、降りてくるときに、頂上直下で自転車に出会った。登る途中に声がしていた二人であろう。MBXを押しているところから弱い親子のようだ。更に降りて来ると禿の親爺にすれ違った。すごく立派で速い足取りだ。頂上の下の回遊している林道をいつも走っているようだ。比較的平坦だがそこまでどこから登って来ても可成りの高度差をこなしている。私自身はその場所であの足取りでは走れない。登山者に緑のベンチの上とその場所ですれ違い、さらに降りていくとかなり下でまたいい足取りで走ってきた男に出会った。頂上まで行くのだろう。駐車場でみるとザクセンアンハルトの車があった。65分1040歩であった。下り26分である。30分で登るのはやはり難しいか。

自画自賛となるが、このごろワインについて書く内容がとても高度で質が高くなっている。何も特別に学習したわけでもなく、経験や機会が増えたわけでもない、しかし、殊にリースリングに関しては、ここで述べているようなその質や価値について正直これほど明白に述べているものは見聞きしたことがないほど高度である。「質とか価値」というのは、リースリングがテロワーや年度を反映して ― そのワインを吟味することで ― 瓶詰めから落ち着いて、瓶熟成からフィルンになるまでを、比較的早めの時期に判断して値踏みすることに他ならない。ワインはそもそもアルコール度の割に高価であり、どこにそうした経済価値があるかといえば、水すら使うこともなく、ケミカルを使うこともなく、「葡萄を通した生のまま」を長く保存することにある。

「ギメルディンゲン」のオルツリースリングは、果実風味が素晴らしく、ミュラーカトワール醸造所のもう一つのオルツリースリング「ハールト」よりも酸がシャープである。オーナーによれば後者の方がリースリングらしいと言うが、前者の方が清涼感があって好ましいという人も少なくないだろう。同じように早めに飲み干してしまうワインとすれば、どちらも甲乙つけがたい。個人的には前者を喜んで食中ワインとするが、後者でも十分ワインを味わえることを考えると、とても難しい選択となる。後者の方が味わいが深いことも事実であろう。2013年は、まさしくありのままのワインの年であった。



参照:
なんと内容の濃い試飲会 2014-10-29 | 試飲百景
復活祭明けのある午前中 2013-04-05 | 生活
by pfaelzerwein | 2014-12-01 04:25 | ワイン | Trackback
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