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モスリム生徒解放への教育

先日のモスリムへの啓蒙活動は連邦共和国の重要な教育指針となっている。これがモスリム教徒を少なからず抱える国の教育であり社会的に欠かせない対し方なのである。勿論そこで目されているのは、啓蒙ではなくて、イスラム主義の区別とイスラム過激主義サラフィズムから生徒を護ることにある。

連邦共和国の場合、教育は州に委ねられているので、州によってその政権によってその処方箋も大分異なるようだ。一番多く輩出していて、300名のモスリムが要注意人物とされ、41人がシリアから帰国しており、そのうち10人は凶暴化しているとされているのがノルトライン・ヴェストファーレン州である。そのために二年ほど前から64人の教師が92の学校で6500人のモスリムにイスラム教育を施している。ドイツ語で、現代的な宗教教育がなされている。緑の党のレェールマン教育相は、ドイツでのイスラム教育の認知と意義を示すものだとしていて、同時に過激派養成予防教育となっているようだ。

先日のパリでの事件を受けて、七歳から十二歳までのフランス語の授業の中で、イスラムとイスラム主義の違いが議論されて、正しい信仰が報告されたが、モハメッドのカルカルチャーについては、「センスがない」とか「行き過ぎだ」との意見があっても、誰も「報道の自由に関して制限すべき」とはしなかったようだ。

ドイツでは1990年代前半には、生徒の服装などをして極右などとは誰もわからなかったが、今日も教師はそのような判断材料を持っていない。誰がジハディストになる恐れがあるのかなど、予防教育に力が注がれていて、バーデン・ヴュルテンベルク州などは警察と学校の協調作業が進んでいる。そのためには、警察のみならず、教師もイスラム過激思想を学ぶ再教育が受け、緑の党と社会主義者の政府でモデルケースとしてイスラム教育も行われている。

スイスとの国境のボーデン湖のコンスタンツにあるギムナジウムの15歳の少女サラが、アルカイダとしてまたISISのメンバーとして、ワッツアップに声明して話題となったように、このアルジェリア移民の娘のようなことを防がなければいけない。パリの事件後に教師たちに教育相ストッホから五ページにわたる警告と予防教育への協力が呼びかけられたのである。バーデン・ビュルテンベルクからは約30人の生徒がジィハドに参加しているというから、当然の処置であろう。

ライランドプファルツの社会主義者と緑の党の政権は、今まで問題となるような事例は幾つかあったとしているが、イスラム主義の情報はないとしている。その背景には、イスラミ主義の問題を他の過激思想などと区別せずに、教育においては自主独立と自己批判を予防としていることがある。ここ十年、宗教教育にも宗教的な生徒には特別なプログラムを提供しており、そこでは違う立場の見解や理解を養成して、過激思想への免疫としているという。これが、イスラム主義を扱うばかりに嫌モスリムへと導かないための処方箋でもあるに違いない。要するにフランスのライシテに近づく。

先日、解放の日に伴ってメルケル首相の声明と今後生徒が授業の一環としてアウシュヴィッツなどを訪れるようにするという意見がラディオで流れた。ドイツの若者にとっての教育はそれほど難しいことでもなく、それでも極右へのシンパシーを皆無とすることなどは出来ない。その意味からも、モスリムを教育することで、イスラム主義から解放することなども完全には出来ない事だろう。あり得るのは、イスラムの教えが近代化されて、丁度カトリックがその教義を譲歩することから弱体していったように、モスリムを啓蒙していくしか方法はないのであろう。



参照:
Alternative zum Dschihad, FAZ vom 27.1.2015
Das Land der Meinungsfreiheit zensiert sich selbst, FAZ vom 8.1.2015
己の文化程度を試す踏み絵 2015-01-14 | 文化一般 
by pfaelzerwein | 2015-01-30 00:35 | 文化一般 | Trackback
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