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一足先に秋枯れの市場

恒例の落穂拾いのCDを発注した。明らかに業界の状況が変わってきている。指揮者キリル・ペトレンコのような才能が録音を開始するまで業界がもつのかどうか、とても疑わしくなってきた。新譜の種類や量だけでなくて、市場の影響を最も受ける安売り物が出なくなった。この一年間での変わりようは偶然では無いだろう。勿論八月を挟んだこの四半期は最も薄い市場であるのだが、割引を受ける最低金額30ユーロ相当分のCDを集めるのにこれほど苦労したことはなかった。

通常ならば八枚や九枚は簡単に集まっていたのが、この半年ほどは苦労している。一番に興味が向かったのはヨハン・アドルフ・ハッセ作曲のバロックオペラ「マルクアントニオとクレオパトラ」である。この作曲家の宗教曲をウィッシュリストにあげていたので、見逃せなかった。彼の虚勢の名歌手ファリネリがナポリで初演したとなると、断然興味が湧く。なぜ六割引きにもなっているのかは分からないが、バロックオペラは数が売れる可能性がある市場なのだろう。

序に、LPで持っている作品ながら、同じバロックのヘンデルのオペラ「アシスとガラテア」を発注した。クリスティー指揮の音楽も録音もよさそうで、LPのガーディナー指揮のものとは大分印象が異なる。これも以前から安売りになっていたが今まではフランスものしか興味がなくて手を出さなかった夏の火鉢であった。

もう一つはそれほど安くは無いが、マウリツィオ・ポリーニ演奏のシューマン曲集の一曲をフォン・カラヤン時代のベルリンの交響楽団をクラウディオ・アバード指揮で伴奏しているものである。交響的練習曲は当時このピアニストが頻繁に演奏していたもので名までは聞いていないがエアーチェクでお馴染みのものである。最近のこのピアニストの録音などと比べると遥かに永久保存版だと思わせる録音がこの当時は多い。

それでも30ユーロに達さなかったので、以前から籠に入れていたSACDのスタジオ録音で、クリスティーナ・オルティーズがベートーヴェンの名曲ソナタ三曲を入れたものを発注した。それで漸く30ユーロを超えて、割引すると六枚で26ユーロ程度にしかならなかった。一枚辺りでは決してそれほど安くは無いのだが、それ以上急いで購入すべき商品は見つからなかった。

野外は陽射しが戻って気持ちよいが、市場の方は一足先に秋枯れである。クリスマス商戦に向けて、次の四半期に期待したいが、もはやそれほど期待できなくなったのが現実である。



参照:
増設しなければいけないのは 2015-06-06 | テクニック
久しぶりの新鮮な食感 2015-08-26 | テクニック
ヘンデルの収支決算 2005-03-20 | 歴史・時事
by pfaelzerwein | 2015-08-26 22:53 | 雑感 | Trackback
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