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備えあれば憂いなしの気持ち

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再びオペラ「タンホイザー」の版について書く。ミュンヘンの新制作のプログラムに新たな情報があったからである。なによりも重要なのは、どうもパリでの1861年初演では序曲が演奏されて、改めてバレーの幕が開いたようであるということだ。つまり先日言及したモンテカルロでの上演が1861年版ということになる。それ以外のパリ版と称される楽譜はその後の「編曲」されたヴィーン版ということになる。つまり1861年版とドレスデン版の改正版とは基本は同じで、フランス語に合わせた改正とバレーのヴィーヌスの場を加えた版となる。今回見直したのは、そこでエリザベートを演じているジス・ファン・デアリンデンの歌唱で悪くはなかった。この人は声が通りそうでドイツ語でも歌えそうだ。

するとヴォルフガンク・ヴァークナー博士の書籍で、指揮者シノポリと合意したという1985年にバイロイトで上演された1861年版とは、ドイツ語で歌われて序曲の後で幕が上がる形で演奏されたということだろうか。同じ書籍で言及されている1978年のゲッツ・フリードリッヒ演出の公演はYOUTUBEで観れる。それは序曲からバレーへと繋がっていて、この部分ではヴィーン版となり、二場になると旧版の、そして二幕歌合戦もヴァルターの歌が復活しているドレスデン版となる折衷版である。

余程気に食わなかったのか、ヴァークナー博士は一言も指揮者コリン・デーヴィスについては名前を挙げておらず、コーミッシェオパーの演出家主導で事が進んだかのようだが、上の折衷案の主旨は音楽的には不明である。歌手陣では、二幕の合唱のエリザベート役でもまた一人二役のヴィヌス役でもジョーンズの声は際立っているが、ヘルマン役のハンス・ゾーティンを見聞きすると今回のミュンヘンでのツェッペンフェルトは歌演技とも比較できないほど巧い ― 批評にはどんな役でも際立たせるとあるが、決して浮き上がらないのが見事である。

このところ暑くなったので日曜日には初めて窓を開けて就寝した。月曜日も暑く、更に開け放って就寝したので、起床後フラフラしていた。それでもランニングの足取りは軽く、そろそろ調子が戻って来たかと思うようになった。歯茎の調子は昨年と同じでどうもこの時期を抜けると快方に向かいそうだが、さてどうなるか?

このような時期なので、先日ナーヘの川沿いのガーデンで食事をしている時に蚊に刺された。そしてフランクフルトのアパートメントでも蚊に刺された話を聞いた。今年は昨年ほどに雨は降っておらず異常発生はないと思うが、備えあれば患いなしで、先日日本から蚊取り線香吊りの豚の置物を持ってきてもらった。来るなら来てみろと言いたい。

来週火曜日にはミュンヘンからのラディオ生中継がある。今秋日本でも演奏されるマーラー第五交響曲の前にラフマニノフのパガニーニ主題によるラプソディーが演奏される。この曲は十代の頃のラディオ放送で聞いて以来中々聞く機会の無かった曲でとても楽しみにしている。それもイゴール・レヴィットが弾くので興味津々だ。早速楽譜をダウンロードした。



参照:
引導を渡す線香の刹那 2016-08-08 | 文化一般
身を焦がすアダージェット 2017-05-10 | 音
楽匠の心残りから救済されたか 2017-05-15 | 音
モンテカルロのやくざな上演 2017-05-15 | 音
by pfaelzerwein | 2017-05-31 19:08 | 生活 | Trackback
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