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夏の夜の街中の熱い抱擁

突然の来訪だった。下から私のファーストネームを呼ぶ声が掛かって直ぐに誰の声か分かった。会うのは二十五年ぶりぐらいである。そのあとも時々電話が掛かってきていたが、人の嫁さんと会っても仕方がないのでご無沙汰だった。親密に付き合っていた期間も短いのだが、先日マインツを通った時に、どうしても夏のマインツの夜の街中の熱い抱擁を思い起してしまった。それも可成り感覚的な記憶だったので驚いてしまったのだ。

その後彼女を見たのは大統領官邸からのTV中継で、迎え入れていたのは恐らく先ごろ亡くなったヘルツォーク大統領だと思ったが、在独大使の謁見式風景だった。それが視覚的には最後だった。久しぶりに顔を見て、抱き合うと想定よりも小柄に感じた。そうだったのだと感じた。それでも歳を重ねた割には昔の感じはあまり変わらなかった。そしてなるほどこうした雰囲気に惚れたのだなと思い、それはそれで納得した。

つまり若い時の感覚で惚れたからと言っても結局は見ているところは見ていて、必ずしも自己の許容範囲が広かったわけでもなく、狭かったわけでもないことを悟るのだ。するとその後のチョッカイを掛けた女性陣を思い出してもそれはそれで彼女のようなタイプはいなかった訳で、下手をすると若い子に近づこうとするばかりにあまりに窓口を広げ過ぎているのではないかとも反省した。まあ、こちらも包容力は大きくなっていることも確かであるが、年嵩を重ねてもあの時に魅力に感じていたものは変わらないのを感じた。

要するにやはり彼女は、その辺りのおばさんとはやはり違っていて ― 同行の二人のおばさんとも ―、あの当時のキャリアー女性の雰囲気は和らいでいるものの芯があってやはり普通の高学歴女性とはまた違っていたのであり、女性外交官的な雰囲気が魅力だ。彼女の父親は海軍の将校であったと語っていたことは今になると素直に認識可能なのである。

昨年は国の方へ暫く帰っていたようで少し日焼けしていたが健康そうだった。電話で身辺のことなどを話したときは、適当な女が居たら行ってしまえと発破を掛けられたことがあったのを思い出すが、なるほどよくこちらのことをよく見ているなと思うと同時に、なかなかそう簡単に行きませんよと反論しなければいけないと感じたのだった。

これで、倦怠期を行って帰って来ているような、恐らく海外出張中の外交官夫婦のカンフル注射のような、お役目は果たせたのだろうか? ― なにか、古臭いがエマニエル夫人の情事のようだが。



参照:
取り付く島もない女性の様 2017-03-10 | ワイン
ヴァレンタインの朝の夢 2017-02-16 | 女
by pfaelzerwein | 2017-06-02 16:07 | | Trackback
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